越前といえば大岡....ゴホゴホ。(←時代劇好き。)もとい越前蕎麦ですな。
越前のお蕎麦といえばおろし蕎麦。昭和天皇が福井行幸の折に食された蕎麦がたいそうお気に入りで、
「あの越前の蕎麦が...」
と帰京の後にしきりに仰せになったことから越前蕎麦の名がついたといいます。
名前の由来は案外新しいんですね。
越前の蕎麦どころは数あれど、越前市郊外の旧今立町、南条郡南越前町の旧今庄町が特に有名ですね。
ぼちぼち蕎麦の花も咲き始めて、一面が真っ白になった蕎麦畑があちこちに見られます。
雨美さんのお店を訪ねがてら、今立にある越前蕎麦の名店「森六」さんにおじゃましました。
越前おろし蕎麦をいただくなら是非1度は!!と思っていた名店です。
北陸自動車道武生ICから10分ほどの田舎町にお店はありました。
有名店ですがめっちゃ地味な昭和の店構え。それがまた雰囲気があっていい感じですな。
で...電話番号が3桁!!...ゴホゴホゴホ。
行列もなく、がらりっと玄関の引き戸を開けると、お店の方々はお昼ごはんの最中でした...しかもお蕎麦。笑
土間に椅子席の円卓と座敷にも円形の座卓、基本的に相席のみ、先客はお1人だけ。
ズラリと壁に色紙が飾ってありますが、有名店に胡坐をかいた感じでなく、接客は丁寧です。
座敷の方に席をとっていただきました。
お品書きは3つ。「越前おろし蕎麦」・「極めつけ越前せいろ」・「スペシャルせいろ」。
越前蕎麦でせいろとはめずらしいですな。スペシャルとは薬味が違うのだそうです。(ネーミングが...)
せいろも気になりましたので、おろし蕎麦と両方注文しました、もちろんスペシャルの方ですよ。
その特別な薬味とは...わさび・ねぎ...柚子の皮・塩うに、いったいどんな味がするんでしょう??
まず、極めつけせいろから。越前蕎麦のイメージを覆す細くて白っぽいお蕎麦。
しかし、独特の強いコシ、お蕎麦は収穫前の端境期なのですがきちんとお蕎麦の香りがしますね。
やや固めのお蕎麦なのでしっかり噛みしめながらいただきます。
おかげで、なおさらお蕎麦の香りが感じられるのかもしれませんな。
さて、気になる薬味ですが...基本的にお蕎麦の薬味のネギやわさびはいただきません。
ただ、この塩うには気になりますね。おそるおそる試してみるとこれが意外と合います。
ちょっと辛めの蕎麦つゆでしたが、甘い蕎麦つゆだとこうはいきませんな。
アルコール漬じゃなく塩うになのもポイント高い。
味の例えようがありませんので、これはお試しいただくしかありません...
ただ、お蕎麦に潮の香り...これは不思議な組み合わせですねぇ。
柚子の皮もさわやかでこれも意外に合います。
お蕎麦と一緒に蕎麦湯が出てきます...「お茶代わりにお飲み下さい~。」
〆に蕎麦湯が出てくることが多いのですが、お茶代わりの言葉通りお茶やお冷はなしで蕎麦湯のみ。
純粋に蕎麦の味だけを楽しめるわけですな。
さてさて、こちらが越前おろし蕎麦、お皿に載ってでてきます。
これでけでは、物足りないかもしれませんね...ちなみにおろし蕎麦だけを注文した嫁は大盛。笑
こちらは丼に入って出てきます。こちらのお皿ちょうど2枚分が大盛のようです。
たっぷりの大根おろしに刻んだねぎ、そしてどっさりのった削り節。これぞおろし蕎麦ですな。
お蕎麦自体ですが、私好みの黒っぽいお蕎麦、そして...驚愕の割り箸サイズ!!
出雲蕎麦も太めですが、ここまで太くはありません。
かかっている蕎麦つゆは、せいろのそれとは違ってごくごくあっさりしたもの。
最近辛味大根を使ったおろし蕎麦をよく目にしますが、やはりおろし蕎麦は大根のやさしい甘味がいいですな。
森六さんでは全国の4種類の大根を使い分け、またブレンドしているそうです。
しかし、せいろ以上のコシの強さで、かみ締めるあごもだるくなりそう。
このあたりは案外好き嫌いの分かれるところかもしれません。
でもけっしてお蕎麦そのものが固いわけじゃありませんよ。
たくさん口を動かすので、少なく見えて案外おなかいっぱいになるかもしれませんね。
まわりの蕎麦の花が蕎麦粉になった頃にまたおじゃましたいです。
■越前おろし蕎麦 森六
越前市粟田部町26-20
北陸自動車道武生IC 下車10分
JR北陸本線武生駅からバス20分「二日市」下車すぐ