あの名勝負をもう一度

あの名勝負をもう一度

生観戦記ではなく過去の名勝負映像を見返して感想を書いていきます

 

 

HERO’S 2006年8月5日 有明コロシアム

ライトヘビー級トーナメントの開幕、桜庭和志のHERO’Sデビュー戦が

行なわれた大会は11900人超満員札止め。

 

トーナメントの他にも前大会で開幕したミドル級トーナメントの

準々決勝が行われ、宇野薫・ヤヒーラ・カルバン・メンジバーが

準決勝に進んでいる。

 

注目のライトヘビー級トーナメントは4試合。

秋山成勲vs金泰永

メルヴィン・マヌーフvsクラウスレイ・グレイシー

大山峻護vsホドリゴ・グレイシー

桜庭和志vsケスタティス・スミルノヴァス

 

次回大会で準決勝と決勝の2試合が行われる日程。

ファンも主催者側も「桜庭vs秋山」に期待しているのは明らかで

準決勝でのグレイシー狩りを経て、決勝で秋山に勝利がみんなの

望む最高のシナリオ。

 

桜庭は5月の前大会でスーパーバイザー前田日明の呼び込みで

タイガーマスクのマスクを被りリング上で参戦表明の挨拶。

決して円満な移籍では無かった様で、高田延彦には

「彼とはもう酒も食事もする事はない」と絶縁されている。

 

このトーナメントは桜庭の為のトーナメントとも言われ、

桜庭の要望により各R5分の3R制から1Rは10分、2Rは5分の

2R制のプライド寄りのルールに変更となっている。

 

先に青コーナーから入場の桜庭。

タイガーマスクを被って入場しリングインと同時にマスクを客制に

投げ入れる。

赤コーナーから入嬢のスミルノヴァスは高田延彦の

入場曲「トレーニングモンタージュ」

高田や桜庭に憧れていたとの解説だが、意図的な心理戦なのか。

 

第1ラウンド、打ち合いに応じた桜庭だったが左フックを顎にくらいダウン。

スミルノヴァスは追随してパウンド。

ロープ際で滅多打ちの桜庭だが、片足を掴んで何とかテイクダウンに。

スミルノヴァスはマウントポジションからパウンド、後方に回ってスリーパー。

後方から側頭部を滅多打ち、桜庭じゃなかったら完全にストップ。

 

解説の谷川さんが言う様に無意識で闘っている桜庭。

右フックを被弾してフラフラ。

残り6分、それでも打ち合いに応じる桜庭に攻め疲れなのか、

両者スタンディングの距離で見合うシーンが続く。

 

桜庭がパンチを打ちながら突っ込み、右フックから右アッパーの連打。

スミルノヴァスはかわす事が出来ず、防戦一方で受け続け、

倒れたスミルノヴァスにサイドポジションから腕十字。

コーナー付近で腕を切りのばし続けるとスミルノヴァスはタップ。

6分41秒 腕ひしぎ十字固めで桜庭の大逆転勝利。

 

「真夏の夜に季節外れの桜吹雪」と大興奮の実況。

「HERO'Sのみなさん、始めまして桜庭です。」

「ちょびっと何で僕がここにいるのが半分くらい記憶が飛んでるんですけど、

これから頑張りますのでよろしくお願いします」

この試合は桜庭を勝たせる為の八百長試合ではなかったが、

あのパウンド滅多打ちでストップしなかった事で桜庭を勝たせる為の

試合といえる内容になってしまった。

 

10月の準決勝で秋山との対戦が決まったが、9月末の練習中に嘔吐。

脳に異常はなったが、「推骨脳低動脈流不全」との検査結果で欠場。

トーンナメントは桜庭の代わりにスミルノヴァスが準決勝に出場するも

秋山に3分でKO負け。

準決勝で大山をを倒したメルヴィン・マヌーフと秋山が決勝戦を闘い、

秋山がわずか1分58秒、腕ひしぎ十字固めでマヌーフを倒して優勝。

大晦日にあのヌルヌル事件となる桜庭との一戦を迎える事になる。

 

 

 

 

 

 

PRIDE.5 1999年4月29日 名古屋レインボーホール

PRIDE.4でヒクソンに連敗を喫した高田の約半年振りの復帰戦。

全6試合と試合数は少ないが豪華ラインナップ。

 

第1試合 豊永稔vsイーゲン井上

第2試合 本間聡vsフランシスコ・ブエノ

第3試合 小路晃vsイゴール・ボブチャンチン

第4試合 エンセン井上vs西田操一

蛇5試合 桜庭和志vsビクトー・ベウフォート

第6試合 高田延彦vsマーク・コールマン

 

高田・桜庭の師弟揃い踏みに修斗世界ヘビー級王者・エンセン井上の

PRIDEデビュー戦。

そして元UFC世界ヘビー級王者・マーク・コールマンのPRIDE参戦。

 

コールマンはUFCで6連勝を飾りヘビー級王者になったものの、

UFC14・17・18と3連敗を喫した状態での来日。

この時点では知る人ぞ知る的な存在だったと記憶している。

 

この試合が数年後に脚光を浴びる事になるのは「八百長試合」。
大会前記者会見後、コールマンが知り合いの格闘技通信記者に
「すまない、この試合はフェイクなんだ」
「女房が病気で俺にはマネーが必要なんだ」と告白。
 

ヒクソン戦連敗の汚名を払拭したい高田と奥さんの治療費が必要だったコールマン。
お互いの利害関係が絡み合った試合だったなんて当時の自分は知る由もなかった。
第5試合前にはヒクソンとホイラーの柔術エキシビションマッチが行われたが、
ヒクソンはどんな気持ちでメインを見ていたのだろうか。
 

青コーナーから先に入場の高田。
「UFC初代ヘビー級王者」の紹介の後、赤コーナーからコールマン。
第1ラウンド コールマンのタックルに対してロープをつかんで逃げる高田にイエロー。
再びタックルから豪快に倒され、上からパウンドのコールマン。
「効きましたね、きつそうです」と解説の谷川氏。

右ボディ3発からサイドポジションをキープし脇腹に膝。
マウントポジションを取られ、顔面に一撃からバックに回るが、
高田は立ちあがって回避、大歓声の名古屋レインボーホール。
下から逆十字を取ろうとするも失敗に終わり、袈裟固めを耐える形でラウンド終了。
 

一方的に攻められ続けた第1ラウンドを経て運命の第2ラウンド。
1ラウンドは決めない程度に攻め続け、第2ランドで大逆転が八百長の
シナリオだったのか、別人の様に消極的になるコールマン。
ローキック連発の高田に会場大歓声。
タックルで倒した高田に上からちょこちょこ殴り、
今見返すと不自然に左足を出した所にヒールホールド炸裂。
 

ケガさせたくないのか、それほど力を入れている様子はないが、
コールマンはしばらく耐えてから、力なくタップ。
2ラウンド 1分44秒 ヒールホールド
で高田の大逆転勝利。
一瞬の大逆転による敗北で「強さ」の印象を残し任務を完了したコールマン。
 

そんな中、小川直也乱入。
お得意のマイクアピールにこの日いちばんの盛り上がり。
握手を求める高田の手を払い、Tシャツを脱いでアピールする小川を無視し
冷めた表情でリングを去る高田。
リングに残り「根性無しが、この野郎」と吠える小川。
 

約2ヶ月後のPRIDE.6で初参戦した小川はゲーリーグッドリッジに勝利。
残念ながら、この試合も八百長になりそうだった試合。
(詳細はまたの機会に)
同じ大会で高田は霊長類最強のマークケアーに3分秒殺負けを喫し、
2人がその後も交わる事はなかった。

 

 

 

修斗 2003年8月10日 横浜文化体育館

夏は横浜、冬はNKのビッグマッチが定番だった修斗夏のビッグマッチ。

この日は3階級王座戦。

 

ヨアキム・ハンセンが五味隆典のウエルター級世界王座に挑む試合がメイン。

セミはノゲイラ(ペケーニョ)vsパーリングのライト級王座戦。

セミ前は大石vs松根のフェザー級王座戦という豪華ラインナップ。

 

3月大会でルミナをわずか2分で葬ったハンセンとここまで13戦全勝で

無敗街道を突き進んでいた五味の試合とあって超満員の横浜だが、

この日は興行戦争。

 

さいたまスーパーアリーナではPRIDEGP2003開幕戦。

メインはシウバvs桜庭、セミは田村潔司vs吉田秀彦という

超豪華カードで超満員札止め。(自分はこちらを生観戦)

 

1R、ゴングと同時に打ち合い。

猪木アリ状態からハンセンの下からの蹴り上げに「アゴ引け」と五味のセコンド。

再び激しい打ち合いからハンセンが引き込んで終了。

 

2R、タックルで倒せなかったハンセンは再び引き込み。

バックに回る事に成功し足を胴に絡めながら後方から殴り続ける。

残り2分でスリーパーに入り苦悶の表情の五味に会場からは悲鳴に近い歓声。

 

3R、このラウンドも打ち合いから始まり、引き込むハンセン。

上から殴ろうとする五味だがハンセンの顔に当てる事は出来ず、

立ちあがった五味の顔面を下から蹴り上げた所で終了。

 

終了と同時にガッツポーズのハンセン。

1Rは五味、2Rはハンセンだが3Rはどちらが取ったのか微妙な内容の中、

判定は29-28が2名、28-28が1名の2-0でハンセン勝利。

 

無敗の王者敗れる。

試合後「結果は受け入れるが、自分の中で負けた気はないです」と

判定にやや不服なコメントを残した五味。

 

この試合を最後に修斗を離れ、海外でBJ・ペンに敗れ連敗を喫した後、

2004年からはPRIDE武士道に主戦場を移し、10連勝。

武士道のエースとして興行を引っ張って行く事になる五味。

 

現在も引退していない五味だが戦績は52戦36勝15敗。

修斗時代を中心とした前半は破竹の勢いだったが、UFCを中心とした後半は

20戦8勝12敗と負けのイメージが強かった。

 

 

修斗 2003年3月18日 後楽園ホール

後に修斗世界王者、DREAM世界王者となるヨアキム・ハンセンの

国内2戦目。

 

来日初戦は前年12月14日、年末ビッグマッチのNKホールで

タクミを相手に判定2-0の辛勝。

「無名のツワモノを連れて来る」修斗とはいえ、さすがにルミナ相手では

厳しいだろうと誰もが思っていた2戦目。

 

一方のルミナは2001年12月に五味隆典に敗れた後、

2002年6月の復帰戦でも敗れ、自身初の連敗を喫した後、

11月のタクミ戦ではドロー。

そのタクミに辛勝したハンセンとの一騎打ち。

 

いつもの黒のガウンではなく新しい赤いガウンに身を包み、

後楽園ホールの南側客席後方から入場のルミナ。

この頃の金髪ルミナは鳥肌が立つぐらいのカッコよさ。

 

ゴング直後、引き込むハンセンにバスターからパウンド。

そのまま足関節を取りに行き、ヒールからアンクル、膝十字と流れる様な

足関節に会場は大歓声。

 

しかし、ハンセンは足を取られながらも長いリーチを活かしてルミナの顔面に

パンチをクリーンヒットさせ、動きが止まるルミナをボコ殴り。

頭を抱えた状態で殴られまくるとセコンドからのタオルと同時に

レフェリーストップ。

 

1R 2分9秒 TKO

足関節を取りに行ってボコ殴りされるという現在のMMAでは

考えられない戦略も当時のルミナだったら期待値が高かった。

 

試合後のインタビューで

「分かってるんだろうなと思ったけど、それでも取るつもりでやったんで」

「意地というか一番自分の得意な技なんで」

「もらうのは覚悟してて、2、3発もらってもいいから極めちゃえと」

と足関節へのこだわりを語るルミナ。

 

この試合の次戦、8月大会で五味隆典からウエルター級世界タイトルを

奪取する事になるハンセン。

12月にシャオリンに敗れベルトは失うが、2005年のHERO’S旗揚げ戦では

宇野薫を左膝でKO。

 

修斗時代は日本人相手に全勝。

PRIDE武士道、DREAMとキャリアを積み重ねて行った「北欧の処刑人」。

個人的にはこのルミナ戦がいちばんのベストバウト。

 

 

リングス MAELSTROM 4TH 東京ベイNKホール

田村潔司のリングス移籍初戦という事で6700人超満員に膨れ上がった

東京ベイNKホール。

 

1995年8月18日、UWFインターでのゲーリー・オブライト戦後、

高田延彦に言い放った「真剣勝負してください」発言、新日本プロレスとの

対抗戦出場拒否で団体から干された田村。

 

12月9日、K-1のリングで素手素足というアルティメットルール

でパトリック・スミスをヒールホールドで撃破。

Uインターの大会に出場出来る様になったものの、前座や若手相手の試合が続き、

1996年5月27日の桜庭和志戦後、レガースを客席に投げ込み、

Uインターを去る事に。

 

パンクラス移籍説が有力な中、リングスに移籍した田村の移籍第1戦は

ランキング10位のバトルサイボーグ、ディック・フライ。

6月29日有明コロシアム、試合順は全7試合中、第4試合。

第5試合には高阪、第6試合には長井とリングスジャパンの序列に

従った試合順で第7試合のメインは山本宣久vsモーリス・スミス。

 

大会挨拶はこの日の主役、田村が務め

「リングスという険しい山を登る事になりました」

「頂上を目指して頑張りたいと思います」

「これからはリングスの田村潔司として頑張りますので、よろしくお願いします」

 

「FLAME OF MIND」が流れると曲に合わせての会場内手拍子と

現在の格闘技では考えられない耳をつんざく「田村」コール。

「スゴイ歓声ですね~」と解説の高柳さん。

リングアナのコールに大きく深呼吸する田村と胸筋をピクピクさせるフライ。

 

ジャンピングミドルからわずか30秒でバックに回りエスケープを奪う田村。

掌底からフライのハイキックでカウント9のダウンを喫するが立ちあがる

田村に大歓声の館内。

 

スリーパーでロープエスケープするも足がロープなので気付かず離さない田村に

フライのセコンドが乱入寸前。

最後は膝を受け止めてのタックルからバックに回りスリーパーで田村潔司の勝利。

試合時間はわずか3分41秒ながら濃密な試合内容。

 

KOKトーナメント以前のリングスは八百長(ガチンコもあり)だったと

後に語られていますが、この当時、リングスはガチンコと信じ、

WOWOWの生中継を祈る様な気持ちで観ていた自分が懐かしい。

約30年の月日が経過した現在、改めて映像を見返してみると、逆に新鮮。

 

この試合を表紙にした週刊プロレス「すべての動機に自由と夢を」

表紙上の「私、週プロを退く決心しました」というターザン山本編集長の

コメントも印象的。