『不公平だな』

最初聞いた時、そう思った。

小学校の卒業式があと一ヶ月に近づいた2月5日。
私たち保護者は学校に集められた。
『緊急な話があります』

『先日の市と教育委員会及び保護者役員会にて、中学校の廃校と、第二中学校との統合が決まりした。』

会場はざわついた。
私の住む地区にある中学校は、1クラス30人程度。3学年合わせても90名程度の学校だ。
自分が学生の頃は2クラスあり、240名はいた。

私が成人し、子供が生まれ小学校に通うようになった頃には、より便利な環境を望み、街中へ引っ越す者や、都会に出て戻らないなど、ドンドン人口が減っていた。

いわゆる『ドーナツ化現象』というやつだ。私の地区は、その渦中にいた。

いつかはなくなるだろうな

そんなおぼろげなことも考えていたが、まさかこんなに早くなるとは想像もしていなかった。

『それはいつになるんですか』

1人の男が言った。

『平成31年3月末に閉校となります。』

耳を疑った。先日、中学生になる次男の制服をつくりに行ったばかりだった。一月も経たないうちに、『学校はなくなります』と言われたのだ。

おかしなことに、その時は悲しさよりも
『せっかく作った制服、どうするんだろ??』など、論点がずれたとこで考え込んでしまった。あとからそのことに気づいて笑ってしまった。

その後の説明会はあまり記憶がない。

『なくなるかあ』

帰りながらしみじみ思った。

後二年。子供たちが経験することはあまりなく、貴重な経験でもある。

うちの子は上が卒業、下が統合して3年生になる年代だ。
最後の卒業生と最初の転入生。

運命とは面白いものだと感じた。

これから時折、この日からの想いや出来事を書いていきたいと思う。