安倍晋三元首相の国葬、市民団体が差し止め求め提訴!憲法19条に反すると指摘 オバマ氏ら各国首脳らが出席へ 2022年8月9日

*官邸

9月27日に予定されている安倍晋三元首相の国葬について、市民団体が差し止めを求めて東京地裁に訴えを起こしたことが分かりました。毎日新聞の記事によると、訴えたのは市民団体「安倍元首相の国葬を許さない会」で、安倍元首相の国葬は法的根拠が不明確だと指摘し、「憲法で定められた思想・良心の自由にも違反する」として国に差し止めを求めているとのことです。実際にかつて存在していた国葬を定めた法令は廃止され、現在は政府判断で国葬を決定した形になっています。この点は野党からも指摘の声が多くあり、せめて国会で法制度化してから国葬をするべきだったというような声が相次いでいました。

一方で、国葬にはアメリカのオバマ元大統領やフランスのマクロン大統領、それにドイツのメルケル前首相も出席する予定で、6000人程度の参列者を予定していると報じられています。6000人の参列者は招待する要人らの人数だと思われ、これとは別に一般人の受け付けも行う形になりそうです。

 「安倍元首相の国葬は憲法違反」 市民団体が差し止め求め提訴
https://mainichi.jp/articles/20220809/k00/00m/040/245000c

参院選遊説中に銃撃されて亡くなった安倍晋三元首相の国葬の実施は「思想・良心の自由」を保障した憲法19条に反するなどとして、市民団体「安倍元首相の国葬を許さない会」のメンバーら231人が9日、国を相手取り、9月27日に予定されている国葬の差し止めなどを求める訴訟を東京地裁に起こした。

オバマ氏の国葬参列調整
https://jp.reuters.com/article/idJP2022080901000493

9月27日に東京・北の丸公園の日本武道館で営まれる安倍晋三元首相の国葬に、米国のオバマ元大統領が参列する方向で調整していることが分かった。政府関係者が9日、明らかにした。フランスのマクロン大統領、ドイツのメルケル前首相も出席を検討している。
オバマ氏らの出席が固まれば、国葬の前後に岸田文雄首相と面会する予定だ。

 

以下動画略

 

市民団体が国葬差し止め訴訟(植草一秀の『知られざる真実』)
http://www.asyura2.com/22/senkyo287/msg/589.html 2022 年 8 月 10 日

市民団体が国葬差し止め訴訟
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2022/08/post-ac3d29.html
2022年8月 9日 植草一秀の『知られざる真実』

国葬実施が適正でない理由が三つある。

第一は、国葬に法的根拠がないこと。

岸田首相は内閣府設置法が国葬実施の根拠だと主張する。
しかし、内閣府設置法は国葬の根拠法でない。

内閣府設置法は「国の儀式」に関する事務を内閣府が所管することを定めているだけ。

安倍元首相の葬儀を「国葬儀」として実施することを岸田内閣が勝手に決めただけだ。

国葬を定める法的根拠は存在しない、

法的根拠のない国葬実施を、血税を投下して実施することは適正でない。

第二は、国葬実施が、憲法第19条が保障する「思想および良心の自由」を侵害すること。

国葬実施が安倍元首相に対する特定の評価や安倍元首相に対する弔意を強要する側面を有することを否定できない。

このことは憲法が保障する「思想及び良心の自由」を侵害するもの。

国葬実施強行は憲法に抵触することになる。

第三は、安倍元首相銃殺事件発生以来、大きな論議になっている自民党や安倍元首相一族と旧統一協会=現世界平和家庭連合や国際勝共連合との関りについて国民が十分に納得できる説明がなされていないこと。

この問題が安倍晋三氏銃殺事件に深く関わっていると見られている。

この問題に対する明確な対応が示されぬまま、国葬実施を強行することは許されない。

国葬中止を求める法的措置も提起されている。

8月9日に市民団体による訴訟が提起され、記者会見も開かれた。

https://bit.ly/3bFDWK1

私も原告の一人として記者会見に参加した。

各種世論調査でも国葬実施に反対する意見が過半数や多数を占めている。

岸田首相は日本が法治国家であることを踏まえて国葬実施方針を撤回するべきだ。

「過ちて改むるに憚るなかれ」

である。

また、岸田内閣は国葬にかかる費用を予算の予備費から拠出する方針を示しているが、これも財政民主主義の根幹を損ねる誤りだ。

岸田文雄首相が国葬実施方針を決めた理由は自分自身の政治的基盤を強化することにあると考えられる。

岸田氏は自民党第4派閥の代表者でしかない。

最大派閥である安倍派の歓心を買うために拙速な方針決定に走ったと見られる。

岸田内閣発足後、岸田氏は高い支持率を享受してきたが、実績に基づくものではない。

前任者、前々任者の印象が極めて悪かったため、普通に振る舞うだけで好感度が上がったことが高支持率の最大の理由だった。

コロナ感染状況がたまたま改善した恩恵を受けたことも大きい。

ウクライナ戦乱が発生して米国の命令に服従してロシアを非難したことをメディアが礼賛したことも影響している。

しかし、コロナ対応の無策が第7波で顕在化した。

ウクライナ戦乱も時間が経過するに連れて、米国とウクライナの責任を問う声が強まりつつある。

人の話に耳を傾けるだけで首相は務まらない。

経済政策も成長から分配に重心を移すかのような言辞を示したのに、結局元のアベノミクス路線への回帰を鮮明にして失望が広がっている。

何を提言されても「検討する」としか答えず、実行を伴わないために

「検討使」

と揶揄する声も聞かれる。

統一協会問題が浮上しているなかで、事実関係の把握と抜本的な対応が求められているが、現状では強いリーダーシップが発揮されていると言えない。

国葬について、最低でも国会での審議と決議が必要だった。

ところが、この最低限のプロセスを踏まずに実施強行を閣議で決定した。

日本は法治国家である。

同時に国民主権国家である。

憲法前文は「日本国民は正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」の言葉で始まる。

国権の最高機関として国会を位置づけ、国会を国の唯一の立法機関と定めている。

その国会での手続きを踏まずに国葬実施を強行しようとしている点が致命的に問題だ。

9月27日に向けて国葬反対の国民運動が拡大する可能性が高い。

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安倍氏国葬の差し止め却下 市民団体申し立てで東京地裁

安倍元首相銃撃

2022年8月10日

政府が今秋に実施を予定する安倍晋三元首相の国葬を巡り、東京地裁(向井敬二裁判長)は10日までに、国葬の閣議決定などの差し止めを求めた市民団体の申し立てを却下した。市民団体側が同日、明らかにした。決定は2日付。

政府は7月、銃撃を受けて死去した安倍氏の国葬を9月27日に行うと閣議決定した。市民団体は「世論が分かれるなかで国会の審議を経ずに国葬を行うのは、思想・良心の自由を保障する憲法19条に反する」として、閣議決定と予算執行の差し止めを求めて7月に仮処分を申し立てていた。

決定は国葬について「個々の国民に安倍氏への弔意を表すことや喪に服することを強制することにはならない」と指摘。「公金が支出されることで感情が害されることがあったとしても、思想や良心の自由が侵害されると言うことはできない」と判断した。

市民団体側は10日の記者会見で「審尋も開かずに憲法違反に当たらないと結論付けた決定で問題がある」と強調し、東京高裁に即時抗告したと明らかにした。

 

安倍氏「国葬」、弁護士の6割超が反対「法的根拠がない」 賛成派は「弔問外交」に期待 弁護士278人に聞く

 

東京弁護士会、安倍氏国葬に反対 「法的根拠なし」と撤回求める

 

安倍元首相の国葬 抗議行動や反対声明相次ぐ 「税金はコロナ対策へ」「法的根拠ない」