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2月16日、市民団体「春日井リニアを問う会」の代表でもある川本正彦さんの企画で行われた「東濃ウラン鉱床現地調査」に参加しました。
リニアは、日本有数のリニア鉱床の埋蔵地である岐阜県の東濃地域を通過する予定です。そのルート上で、どれくらいの放射線値があるかの市民調査を取材したのです。
東濃での懸念は、もしリニアの建設工事においてウラン鉱床にぶつかってしまった場合、当然、ウランを含む建設発生土が排出されることになります。
ウラン残土でもっとも恐ろしいのは、ウランが崩壊して次々と新たな放射性物質に変遷するなかで、その一つであるラドンという気体の放射性物質が出てくることです。これは、昭和30年代、岡山県と鳥取県とにまたがる人形峠でのウラン採掘においても実際にあったことですが、少なからぬ採掘労働者がラドンガスを吸い込んだことで肺がんに罹患し亡くなりました。また、ひとたび掘り出したウラン残土は、半世紀以上経った今も、土をかぶせただけで野積みされたままです。ひたすら、年間の放射線値が1ミリシーベルト以下になるのを数十年も、あるいは数百年? も待たねばならないわけです。
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ウラン残土の山2←人形峠で掘り出したウラン残土は半世紀以上も野積みのまま。未だに年間放射線量が1ミリシーベルトを超えている。
ところが、JR東海は、東濃地域でのリニアルートでは、ただの一本もボーリング調査を実施していません。ただ「動燃(動力炉・核燃料開発事業団)の文献調査」だけを拠り所として「ウラン鉱床にはぶつからない」と主張しています。
それでも、国土交通省がリニア事業を認可する前、岐阜県でリニアの是非を論議した環境影響評価審査会においても「文献調査だけでの結論はおかしい」「ボーリングをすべきだ」との意見が出され、JR東海も「環境影響評価書」には「ボーリングを行う」旨を記載しています。しかし、少なくとも現時点においてもまだボーリング調査はなされていません。
そこで、市民がボーリング調査をするのは無理にしても、数地点の放射線量を測ることで、地面の下の放射性物質の有無の可能性を探ることはできる・・との趣旨で実現した今回の調査でした。
●結果は予想を裏切った
じつは、これは近々、ある週刊誌に書く予定なので、ここでその詳細は書けませんが概要のみを記します。 今回の測定は6カ所で行いました。
2カ所がリニアルート上。3カ所がウラン鉱床エリアやウラン鉱山。1カ所が瑞浪市の「瑞浪超深地層研究所」。
今回の調査地点
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←見えにくいですが、今回の調査地点に①から⑥の番号が打たれています。
以前も書きましたが、岐阜県の東濃というのは、じつは知る人ぞ知る核開発地域です。
高レベル放射性廃棄物の地層処分を研究する瑞浪市の「瑞浪超深地層研究所」、そして、将来の核融合発電のための研究施設である土岐市の「核融合科学研究所」。
加えて、リニアのウラン残土問題が加わるかもしれない。
今回の測定には、長年、放射能の問題に取り組んでいる「多治見を放射能から守ろう!市民の会」の井上敏夫代表が案内役として参加され、アルファ線、ベータ線、ガンマ線のすべてを測定できるアメリカ製の測定器「INSPECTOR」を使用。
井上氏によれば、岐阜県での一般的な環境での放射線量は、平均で毎時0.11マイクロシーベルト。
そして、井上さんにしても驚いたのが、今回の測定でいちばん値の高かったのが、最初に測定をした
★リニア品川駅から「245キロ」地点での「0.341マイクロシーベルト」 です。
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リニア品川駅から245キロを示す杭 これは0.263マイクロシーベルト 最高値0.341マイクロシーベルト/時 ←徐々に値が上がり、最後は0.341と通常値の3倍を記録。
自然界の3倍強の放射線値。
ここで、だからトンネル工事でウラン鉱床にぶつかるとは断言できませんが、その可能性も否定できるものではありません。
そして、他の地点、すなわち、「ウラン鉱床」や「ウラン鉱山」での測定値は、概ね0.2台でした。あまり詳しく書くと週刊誌の編集者に怒られるので、一つだけ。
3つ目の「月吉鉱床」での値は0.275マイクロシーベルトです。実際の鉱床よりもリニアルートの方が値が高い!
今回の測定では、245キロ地点でも、初めから0.341が出たわけではなく、0.1台から徐々に数値を上げ、0.2台に、0.3台に、また0.2台にと数字は上下しました。井上さんによると「風が吹くと数値が上がりますね。これは地上に染み出ているラドンガスが風で流されたことを示しているかもしれません」。
もちろん、これは学術的に裏打ちされた調査ではないにせよ、少なくとも言えることは、JR東海は徹底したボーリング調査をすべきだということです。本当にラドンガスを排出することがあればシャレではすみません。でも、今さらルート変更をしたくないと思っているとしたら、やるかどうかは何とも言えません。おそらく、世論も必要かと思います。