質問なるほドリ:首都圏、雪に弱いね=回答・安高晋、酒井祥宏

http://mainichi.jp/shimen/news/20140210ddm002070077000c.html

毎日新聞 20140210日 東京朝刊

 ◇大雪は数年に1回 対策費や人手に限界

 なるほドリ 大雪で首都圏の鉄道や空の便が大混乱したね。どんな対策を取ったのかな。

 記者 羽田空港では除雪車16台をフル稼働させる、あまり例のない態勢で滑走路を整備しましたが追いつきませんでした。JR東日本は融雪機(ゆうせつき)を動かし、パンタグラフの雪かきをする人も派遣しましたが、雪がポイントに詰まって切り替わらなくなるトラブルが相次ぎました。

 Q なぜ首都圏の交通機関は雪に弱いんだろう。

 A 関東地方は数年に1度しか大雪にならず、かけられるお金や人手に限界があるからです。交通評論家の角本良平さんは「費用をかければ雪の影響を抑えられるかもしれないが、そのためには運賃を上げる必要がある。値上げを受け入れるか、『雪の時は交通機関がストップするもの』と考えて我慢するか、どちらかしかない」と話します。

 Q それにしても、なぜこんな大雪になったの?

 A 今年の冬は偏西風(へんせいふう)の蛇行による影響などで、北日本や東日本を中心に西高東低の冬型の気圧配置が強まっています。大陸からの寒気が流れ込みやすく雪が降る条件が整いやすいんです。8日は東京などの上空1500メートルに氷点下3度の冷たい空気がありました。そこに南岸(なんがん)低気圧の影響で湿った空気が流れ込み、首都圏で大雪となりました。

 Q 南岸低気圧って?

 A 日本の南側を北東に進む低気圧のことです。この低気圧がちょうど東京・八丈島付近を通ると都心上空に寒気が居座り、低気圧から流れ込む暖かく湿った空気が冷やされるため、首都圏は雪になります。一方で島の北側を通過した場合は、湿った空気で上空の寒気が北側に押し出されるため、雪ではなく雨となります。南側を通過した場合は湿った空気が首都圏に流れ込まないので、雨も雪も降りません。ルートが少しでも変わると天気も変わるので、気象庁の予報官も頭を悩ませるそうです。(社会部)