食事の作法 ー礼を正すー




「習ひつつ見てこそ習へ習わずに 善し悪し言ふは愚かなりけり」

「何にても道具扱う度ごとに 取る手は軽く置く手重かれ」

「稽古とは一より始め十を知り 十からかえるもとのその一」

利休百首より




食べる姿勢をよくし、立腰のこと

 四六時中、立腰(腰骨を立てる)は基本中の基本です。




箸は両手を使って、三手で取り上げる

 箸を持ち上げる時、箸置きに戻す時に、三つの動作を習慣づける。




飯菜別食法

 これを守れば食べ方が美しく、かつ胃のわずらいがなくなる。

 これは、小笠原流の礼法のようで、森信三先生に学ぶ。

 ご飯とお菜を同時に口にしない。食べ方が美しく、

しかもよく噛むので胃のためにも良い。




箸先は手の甲より上に向けるべからず

 箸づかいのタブーには色々あって、寄せ箸・刺し箸・迷い箸・

にぎり箸・立て箸・ねぶり箸・・・・・いろいろ忌み嫌われています。

 その基本はうっかりして箸の先を人に向けたり、

上に向けたりしないことです。




割り箸の箸袋は山形に折るか、結び文にして、箸置きとして使用
返し箸をせず、必要なれば取り箸をもらう

 自分の箸をひっくり返して、大皿より自分の取り皿に移す人は、

未だにありますが、これはお止めになり、取り箸をお願いすれば良い。

 このことをおすすめいたします。




料理に口を近づけて食べる。これを「犬食い」という

 背を曲げてついうっかり料理に、口を近づけて食べやすいものですが、

これはゼッタイ避けたいものです。

 第一、「みっともない」食べ方です。

 原則として料理のほうを口に近づけて食べる。

 これが、和・洋・中すべての基本です。

 特に和食は、基本的に箸を手に持って食べるのが前提です。




食器を持たないときでも、左手はテーブルの上においておく

 左手を膝の上に置いて、右手で食べる「片手食い」

はだらしない食べ方とされます。

 左肩が下がって姿勢も悪くなり、消化も悪くなる。

 だからと言って「手皿」と呼ばれ、手で皿代わりをつとめる所作ですが、

あまり上品なマナーでは必ずしもないようですのでご用心。




食事中はひじをつかないこと

 「ひじから手首の間」でいいですから、テーブルの角の部分に軽く

のせることです。




食べた後の皿が見苦しくないかチェックすること。

とりわけ和食の魚料理は要注意。

 何事も後始末が大事。焼き魚を魚ごとひっくり返してはいけない。

 魚はそのままの状態で尾からスーッと中骨をはがす。

 尾をポキッと折ってからだとはがしやすい。




カレーライスの食べ方について工夫すること

 カレーライスの食べた後が、見苦しくてキタないものですから、

白いご飯を1/4ほどそのまま残しておいて、それをもって最後に

お皿の後始末をしておくといいようです。






たねまき文庫二十七集「食事の作法」寺田一清編より

発行(株)登龍館 http://www.toryukan.co.jp/