あれは衝撃的でした

そう、忘れもしない
小学2年生の秋


帰宅した父が
パンチパーマになっていました



父は自由人
私は父に対して自由人




パンチパーマじゃないけど
角刈りにハマっていた頃の父
今度は何を目指していたのか、、、


幼きワタクシの独断と偏見により
パンチパーマは「悪」であると

よって娘からの
シカトの刑に処すると


どのくらい口を聞かなかったでしょう?
それよりなぜ突然パンチパーマにしたのでしょう?



のちに聞けば
当時「トラック野郎」という
ドラマだか映画があって
そのトラック野郎になりたかったんだとか




、、、、


は?



父は私にはとても甘くて
私が傍若無人に父を振り回しているように
見えたそうですが
娘も父のそういうよくわからない行動に
振り回されてきたものです


確か
盲腸になった時も
「髭を剃らないと見舞いに来てはならぬ」
令を
発布したのですが

当時、
豊臣秀吉みたいな
チョロリとした髭を
それはそれは大事にしていて
それは子供から見て
非常に個性的でかっこ悪いものだったから
金輪際人前で私の父と名乗るなと
ケンカが続いていたんでした


娘と父
どちらが悪いでしょう?
決着つかないまま
ある日いきなり逝ってしまった父もまた
我が犬達と同様に
乗り物が根っから好きなようでした




だから
運転免許を返納してもらうことは
家族もちょっと言うのが辛かったのです




父は大きな病気はしませんでしたが
頸椎から来る痛みに悩まされていて
手術をし
長いこと薬を飲んでいました

その影響で
認知症の症状が出始め
当時は「認知症」と診断されたので
家族も本人もそのつもりで
生活を整えた頃
副作用であって認知症ではない事がわかりました


認知症ではなかったとしても
ちょっとな。。。

こっそりと車に乗ろうとするので
キーを隠してありました

すると今度は自転車を買ってきて
それに乗ってお出かけするようになると
ある日
顔を腫らして帰ってきました
転んだそうです
事故じゃなくて良かったけれど


それがきっかけなのでしょうか

免許の返納を頑として受け入れなかった父が
自分から警察署に行ってくると
出かけて行ったそうです



その晩に父は自宅でひっそりと亡くなりました

残された家族は
実に大変な夜でした

父の頭には派手な怪我が残っていたので
「形式だから」と言いつつも
聴取は執拗でした
しかも動揺して呆けている母に聴くものだから
話は長引くばかり

私はというと
ごめん父さん
これからの1週間の為に
仕事の段取りをつけるために自室に籠り
明け方に弟が到着するまで
現場保存が解けなかったのです



のちに受けた説明では
心筋梗塞が死因

心臓の既往歴もなく
突発性で一瞬だったであろうこと


その日
父は警察署に免許の返納に行き
何かが足りないとかで
一度家に返されましたが
その日のうちにもう一度
警察署に行ったそうです
二往復

それでもダメで結局後から郵送をする事に
なっていたそうです

父はすべての乗り物から卒業し
片道30分をひたすら歩いたのです
老人ですよ
頭には包帯巻いた

突発性の心筋梗塞の原因のひとつとして
考えられるのは
急な運動により血管内のドロドロが
急に動くという事があるそうです

だから恨んでるとか
そういうハナシではありません
たまたまそういう日だったんでしょう


ただ残念に思うのが
お役所仕事の本質がどこに重きを置かれるか
という事に解決策がない事

私的な事でも
「責任の所在」がこれほど
追求されるのに
役所仕事がルール重視になるのはこれ当たり前

他方
便宜をルール化すればいいじゃんかと思えば
ヒューマンエラーが発生した時の
叩きようはこれいかに

国民の声は立ち位置によって変わる
それは当然
だから出口が見えない


コロナ関連の手続きでは
大胆な簡素化が行われ
拍手ものだったのだけれど
専門的ではなく一般的なニュースでは
それによるエラーがどこそこでどのくらいあった
そんな事ばかりが言われている

知る権利と言うけれど
知りたいのは人の間違いなのかな?
間違いに対してどう対処して今後どうするって
とこじゃないのかな?


政府に対して寛容になったのも
ある意味父のお陰なのかもしれない


優しくある事って
本当に馬鹿みたいに大事なことだと思う


お父さん、免許返す時
車出すよって
なんで言ってあげられなかったんだろう


一言添える優しさって
日常に埋もれやすいことを
肉親を亡くして学んだ娘は
時々思い出して反省しましょう
人には優しく



突然死んでしまった父は
無念かというと
皆口を揃えてそれはない、ない
と言います

実際
サングラスしてCD聴いていたんだもんね
自由に生きたよ
今年も
的場幸一さんになりきったあの夜のまま、
そのまんま帰ってくるんでしょうね





父には
精霊馬も牛も必要なく
何か自作のピカピカしたもので帰ってきそうです




父の残した息子は
父とそっくりになり





息子の息子は
じーじナムナムが得意です

大きくなりましたよ