祇園祭の厄除けちまき | 西陣に住んでます

祇園祭の厄除けちまき

西陣に住んでます-祇園祭のちまき




今宵の京都は、いよいよ祇園祭宵山、明日は山鉾巡行です。




さて、上の写真は、昨夜の祇園祭の月鉾で買ってきた粽(ちまき)です。
この祇園祭の粽が食べるものではないということは、
最近では全国的に知られるようになってきました。
(最近では食べれる粽も売っているようですが・・・笑)


以前紹介しましたが[→過去記事]
祇園祭の粽のもとになっているのが、次の説話です。


旅の途中、疫病神(やくびょうがみ)牛頭天王(ごずてんのう)
その土地に在住する兄弟に宿を乞いました。このとき、
リッチな弟の巨旦将来(こたんしょうらい)は泊めてくれなかったのですが、
ビンボ~な兄の蘇民将来(そみんしょうらい)は泊めてくれました。
牛頭天王は、旅の帰りに再びこの地を訪れ、
蘇民将来の一族に茅の輪をつけさせた上で
茅の輪をつけていない巨旦将来の一族を疫病で皆殺しにしました。
そして牛頭天王は、今後も疫病神として現われることがあっても、
蘇民将来の一族だけは助けると約束しました。


はこのを巻いた「茅巻」が語源ともいわれています。


さて、牛頭天王はインドの祇園精舎の守護神ですが、
日本のオリジナルの説話には、牛頭天王という名前は出てこないで、
その当時の日本で、最も有名な疫病神であったスサノオノミコトを名乗る
武塔神という神が疫病神役で出てきます。
このことから牛頭天王はスサノオと同一視されるようになったようです。


この厄病神の牛頭天王=スサノオを本格的に祀ったのが京都の八坂神社で、
祇園祭は、牛頭天王=スサノオが暴れないようご機嫌をとるお祭りなんです。

そして、この牛頭天王=スサノオを味方につけることによって
他の疫病神の活動を抑え込むという
まさに毒を以て毒を制すというのが基本的なアイデアです。


茅の輪またはその代替品である粽(ちまき)または
「蘇民将来子孫也」と書かれたお札を家の玄関に貼って
自分が蘇民将来の子孫であることを主張することで
牛頭天王=スサノオを味方につけて難を避けるわけです。


西陣に住んでます-蘇民将来子孫也


ここで、ちょっとだけ気になることがあります。


茅の輪、粽、札が玄関に貼ってあるだけで
蘇民将来の子孫と信じちゃう牛頭天王=スサノオ、
そして、蘇民将来の子孫であるかどうかもわからないのに
勢いで茅の輪、粽、札を玄関に堂々と貼っちゃう私たちは、
本当にそれでいいの?(笑)ってことです。


まぁ、ガチで考えるのは不粋ということでしょう。
縁起担ぎというポジティヴな希望を持って前向きに生きることは
日本の素晴らしい伝統だと思います。


なお、京都以外にお住まいの方は、
なかなかこのような粽が手に入らないかもしれません。
食べ物の粽を転用するのは、衛生上よくないと思います。
仮に疫病神が家の中に入ってきたときには、
冷静に「私は蘇民将来の子孫です」と口頭で言いましょう。
きっとわかってくれるはずです(笑)


ちなみに山鉾巡行は、

スサノオを京都の外にある八坂神社から

京都の町中に一週間だけ呼ぶ前に

あらかじめ町中の山鉾にくっつけてとってしまうという

イベントなんですよ~


山鉾巡行が終わった日の夕方に

スサノオが高島屋の横の御旅所神輿でやってきて

ホントの意味での祇園祭が始まります。→[.祇園祭の裏ガイド]