すべての人へ…

テーマ:


心に花を咲かせましょう。。


永遠に枯れることのない…


 

心に夢を抱きましょう。。


誰にも破られることのできない…



心に希望を持ちましょう。。


闇の中を歩まぬように…



心に愛を注ぎましょう。。


他の誰かを愛するために…



あなた自身に自信を与えましょう。。


あなたの存在を愛おしいと思うから…




AD

新婚旅行… (3章 1話)

テーマ:

 母の1年という余命を受けた日から

 1年2ヶ月が経過していた。

 

 母は退院後、静かに過ごし自然を恵み、友人との交わりを楽しみながら暮らしていた。





 実家の宮崎から遠く離れた横浜の地で、新しい家庭を築いていくことを私は楽しみに、そして夢をみていた。

 いつも笑顔が絶えない家庭にしよう。

 そう願っていた。

 いつかは子供もほしいとも思っていた。

 亮と一緒なら、幸せな家族になれる。。

 そう信じていた。

 

 はじめに、何か変だと気づいたのは結婚してすぐのことだった。

 新婚旅行へ行く際、仕事の関係で長期の休暇が取れず関東内の温泉旅行になった。

 二人で楽しみながら行き先を決め、一緒に喜びながら準備しようと思っていた。

 

 しかし、現実は亮は行き先は決めたものの何もしようとはしなかった。

 すべて、私に任せていた。

 旅行を楽しみにしているのか…それすら疑問を抱いてしまうほど、あっけない反応だった。

 泊まる宿を予約し、交通機関や時刻表などを手に亮に何度も声をかけ一緒に楽しもうと試みた。

 しかし、反応は鬱陶しそうにこちらを見ている亮だった。

 その時の、亮の瞳に不安を感じた。

 とても冷たい目だったからだ。

 

 準備は私がすべて行なった。

 泊まる準備も二人分用意した。

 仕事が終わり、家事をした後、夜遅くまで一人で準備をした。

 とても寂しい気持ちだった。

 

 それでも、当日は楽しもうと心に決め…

 当日を迎えた。

 

 初めていく場所、初めて乗る電車、初めての道。

 あらかじめ調べていたにも関わらず…

 やはり調べたことと実際に行くと違いが出てきた。

 わからない道があり、電車の時間が変更になっていたり…

 そんな予定と違う、少しのズレがあった。

 亮は徐々に怒り出してきた。

 少し待つということが大嫌いなタイプだったのだ。


 付き合っている時から、そうだった。

 一緒に食事をして、先に食べ終わると私を急かし始める。

 ちょっと席を外すと怒り出す。

 とにかく待つことが嫌いなタイプだった。

 

 この旅行の時も、私が道を案内し電車へと導いた。

 しかし、予定通りには進まなかった。

 亮は、そんな少しの失敗も許そうとはしなかった。

 気まずい雰囲気の中での新婚旅行。

 楽しい、嬉しい、笑顔が溢れる、そんな旅行を期待していたのに…

 気持ちが疲れる旅行となってしまった。

 

 その時の良い思い出は、正直あまりない。

 亮が機嫌悪かったということと、居心地が悪い旅行だったということしか…。



 旅行が終わり、私の想像していた家庭、家族…

 さらに音をたてて崩れていくのに、そう時間はかからなかった。

 




AD

式が無事に済み、数日後に実家から結婚式で撮った写真が送られてきた。


 その数は、とても多く友人や親戚、そして母が写っている写真だった。

 その中で、私の手が止まる写真が一枚があった。


それは、私を見つめる母の姿。


 今まで見たことないような優しい表情で、見つめている写真だった。

式の間、そんな表情で見ていたことなんて知らなかった。

 母の優しい眼差しが注がれている中で、私は結婚式を迎えることができた。

 それは、本当に嬉しく心が熱くなり涙が溢れた。


 結婚してよかった


そう心の底から思った。


両親は、宮崎に帰ってきてほしいと本心は思っていると感じていた。

しかし、この写真を見た瞬間に…

今までの心に引っ掛かっていた思い煩いが無くなった気がした。


 母が喜んでくれていることが嬉しかった。

私が横浜に残ることを、許してくれている。

 それが分かり安心することができた。


母の病気が治ったわけではない。

しかし、その写真の母の表情で、心に安らぎが生まれたのは確かだった。


それから、しばらくして両親にプレゼントを贈ることに決めた。

感謝も込めて、頑張って治療を乗り越えた母と、看病で支え続けた父に何か送りたいと思った。


そして、決めたのは一泊旅行だった。


両親の新婚旅行は九州一週だった。

それを思い出し、旅行をプレゼントしようと思った。

仕事等の都合の良い日を決めてもらい、行きたい場所を聞いて、私の方で全て手配した。


両親へのプレゼントは湯布院一泊旅行に決まった。


当日持って行くチケットと、


「写真をいっぱい撮ってきて」


と、お願いした。

私にとって両親へ、親孝行のつもりだった。


二人とも喜んで出発した。

そして、帰ってくると両手いっぱいの土産と約束の写真を撮ってきてくれた。

親孝行が少しでもできたことが嬉しかった。


その旅行が終わると、母は自宅で静かに療養しながら日々を過ごした。

ときどき、通院しながら…。


その後、私は横浜で仕事と家事を両立させながら生活していた。

亮は、いわゆる九州男児で家事のことは何一つしなかった。

仕事が私より早く終わろうと関係なかった。

 九州の男性とは、そんな感じだと思っていたから苦ではなかったが、亮はそれだけではないことが結婚して解った。



私の新婚生活の幸せは長くは続かなかった。




         過去3章へ
AD