今度は京田がトレードされた


青ざめるほど血の気が引いた


血の気が下がるとはこのことだ




京田は色々噂にはなっていた


5月の強制送還から良くない

というか、年々良くない


私は京田をすごく応援していた


京田には誰にも無いセンスがある

身体能力は言わずとも

野球をやることが才能のような、

持って生まれた天賦の才がある

と思っていた



立浪監督は本気だ


本気でドラゴンズを変えるんだと思った




昔々の物語 と同じだ


正直者で働き者だった鏡の番人夫婦が、

何を勘違いしたのか

奥方様に気に入られたことで調子にのって、

やることをやらなかった

鏡の番人が鏡は自分の持ち物だと勘違いした結果




いくら才能があっても、

どんなに尽くしても思いが伝わらない

奥方様のような気持ちだ


奥方様は、

いつか思いは伝わると思っていたに違いない



もう、『まぁいいや』 は無くなった


『まぁまぁ、

そうは言ってももう少し待ってみよう

もう少し頑張ってみよう』



才能があるからこそ、自分で乗り越えて欲しい

乗り越えて、本当の力を自分で出して欲しい

人に出して貰った才能なんて、本物じゃない

人に出して貰った才能なんて、簡単にひっくり返って無くなる

自分で気付いて自分で努力して自分で開花した才能は無くならない


でも、

奥方様の思いが今からひっくり返るんだと思った


番人夫婦ももう取りつく島もない

許される余白もない

夫婦の入れる余地はない

いくら頑張ったってもう取り返すものは何もない

奥方様の心には夫婦はもうない


これは、

人が思うほど甘いものじゃない

世の中が変わってしまって、

甘えが許されない ではなく、

甘えの余白はもう無い

その人はもう無い


今まで人に助けて貰ってその力があるのなら、

それはもう無い

自分でその力を出さなければもう無い


上がることは二度と無い





終わったなぁ…


そして、


始まったなぁ…




立浪監督の思いはわからないが、

中日ドラゴンズは根底から全てを変えたのだろう


立浪監督の決めた腹の底が怖くて

青ざめる



それも、結局は愛なんだろうなぁ………