安田節子先生「種子法廃止+TPP」を超えて、『食の安全』と未来を守るには? ワールドフォーラム2
(以下、動画書き起こし)多国籍企業のためのTPPと種子法廃止 「多国籍企業のため」というのを付けました。「種子法廃止」と「食の安全規制の緩和」これが全部繋がっている日本がアメリカという超大国との関係性の中で、「食の安全」も「種子法廃止」も「全部押し付けられてきている」ということをお話ししたいと思います。戦後の日本の食糧難の時に、私たちの主食を、ちゃんと護って、体制を整えて、「国民に安定的に食糧を供給しよう」ということで造られた「主要農作物種子法」これ(主要農作物種子法)を私たちは殆どその存在を知りませんでした。知る必要もなく戦後70年ずっと私たちは、日本のお米を安心して食べ続けてきました。ところが、2016年の9月に「規制改革推進会議」が内閣府の下に設置されて、そこの「農業ワーキンググループ」で、主要作物種子法を廃止するように提案があった。この農業ワーキンググループの人たちには、農業に関係ある人は一人も入っていない。IT企業のコンサルタント会社であったり、アメリカの知財の弁護士であったり、全然日本の農業のことを知識として持っているとは思えない人たちばかりが入っている。そこで、突然、「種子法を廃止しなさい」という提言があって、今年(2018年)の3月を以て、主要農作物種子法は廃止となった。「種子法廃止」と併せて、「農業競争力強化支援法」が成立した。「公的な種子を、責任をもって国民に供給する」という「国家の責務」を外したうえで、「(外資を含む)民間の種子企業が、それ(国家)に取って代われるように手伝いなさい」という法律まで出来てしまった。全く農業とは関係の無い人達が、種子法を廃止を提言している。その「規制改革推進会議」とは、いったい何なのか。「TPP日米二国間合意文書」には何と書いてあったか?「日本国政府は…外国投資家その他利害関係者から意見及び提言を求める」「意見及び提言は、…定期的に規制改革会議に付託する」日本国政府は規制改革会議の提言に従って必要な処置をとる。「外国の資本家」「投資者」からの要求を届ける窓口が規制改革会議そこから提言されたことに、日本国政府は必要な措置を取ってそれを実現するという、何かとてもおかしく思いませんか?私はこれを読んだときには、まさに「売国組織」ではないか?と思ったんです。この「種子法廃止は誰のためなのか?」私達日本国民の為では無い。では誰のためなのか? これは、「農家・農協」から、「種・肥料・農薬・機械」それらを使って収穫した農産物の「流通」、これを全て「アグリビジネス」に手渡していく。そうした「流れ」が世界的に広がっています。「日本」もその「標的」になった。実際、この規制改革推進会議は、「農協の解体」も進めています。「競争力強化支援法」の中で、「品種を集約しなさい」というのがある。地域ごとに存在する沢山の品種、それこそが、まさに「生物多様性」であり、日本の「食糧安全保障」でもある。それを「集約しなさい」「限られた品種だけにしなさい」と、法律で定めてしまった。たくさんの品種をそれぞれ開発すると、ものすごく開発にお金がかかりますよね、それよりも限られた品種を大量生産して販売すれば、非常に手間が省けていいわけです。彼ら多国籍企業はどういった種子を販売するのか?というと、「大規模モノカルチャー向き」の品種を提供しようとしているわけです。「直播」という方法を用いる。大規模にやる場合には田植えなどしていられないので、空から種を撒く。多収量品種には沢山の肥料が必要ですから、三井化学の化学肥料もたくさん売れる。企業が開発する「民間種子」は、元は何なのか?=「公的種子」を使っているんです。私たちの税金を使って育ててきた品種を使っておきながら、彼らアグリビジネスの多国籍企業は「育成者権」「特許権」をかけて高く売っていく。それを無断で使用したら、種取をしたら、アウト。企業が種を支配する流れは、不当なことだと私は思います。多国籍企業が「米・麦・大豆」の種を支配することは、容易ではなかった。しかし、種に「特許」をかけてしまえば、「種取り」は「犯罪」ですから、「特許侵害」「知的財産権への侵害」として、違反者へたくさんの賠償金を請求できるため、農家は営業が出来なくなる→企業による種の支配が容易になる。「特許を種に認める根拠」とは何か?これは国際条約で「植物新品種保護(UPOV)条約91年改定UPOV(ユポフ)は「国際種苗連盟」が主導 モンサント、デュポン、シンジェンタなどのブローバル企業が種の分野に参入してきて「種に特許を認めさせる」という流れを作っていった。今までは、新品種を開発した人の権利は「育成者権」で守られていたけれども、今度は「特許権」も認めることで、「育成者権」と「特許権」二重に権利を守れるようになった。「農家の種取は禁止」と、書いてある。このUPOV条約という国際条約を批准した国は、「農家の種取禁止」というのが、何時それを「義務として発行せよ」と提言されるか、わからない状態にある。「国際種苗連盟/UPOV」という、巨大な種会社で構成される連合の中に「モンサント」という企業がある。種子市場のシェアでは一位がモンサント。モンサントは遺伝子組み換えの種子で世界一です。普通の種でも世界一。そして「ジュポン」「シンジェンタ」「ダウ」「バイエル」はみな農薬メーカーだった。化学工業、今や彼らが、「世界の種市場を支配する」という状況になっている。それは、種に「特許」が認められているからなのです。特許種子が何が恐ろしいかといえば、種取禁止、種の交換禁止、種籾の保存禁止」アメリカで遺伝子組み換えの「微生物」を、特許申請しました。世界で初めてです。当初アメリカの特許庁は「生き物に特許は認められない」と判断、「特許は工業製品に認めるものであり、自然物には特許は認められない」と却下した。再び申請して、上訴し、最高裁にて一票差で「生物にも知的財産権がある」と認めた。そこからアメリカの特許庁は一転して、生き物に特許を認めていった。最初は微生物、それから「ラット」、それから「種」「遺伝子組み換え種子」、全部特許を認めるようになって、OECD加盟国が次々と生物特許を認め、日本も認めた。日本はOECDの加盟国として、生物特許を認めていく。という流れの中で、それまで農水省に有った「種苗課」は、「知的財産課」に名称を変えた。そうやって「知財を護る」という方へシフトしていきます。さらに、「種の独占」が進んでいます。「モンサント」と「バイエル」という巨大な多国籍企業が2016年合併合意して、これを世界中に申請しているが、これが認められると「巨大な種会社」が出現することになる。そしてどんどん「寡占化」する。「デュポン」と「ダウ」も、2017年9月に合併した。そう云う風に本当に限られた数の2つ3つの会社だけで、世界の種を支配するようになる。そうすると何が起こるか?なぜ「独占禁止法」があるのか?ごく限られた会社だけが販売することになれば、価格は彼らの思うがままですね。競争相手が居ませんから。だから「独占させてはならない」という考えがあるわけですが、今や、種の分野では「寡占化」がすごい勢いで進んでいます。「農薬メーカー」であり「種子企業」でもある。種も支配し、農薬も支配し、化学肥料も支配する。世界的な流れとして、彼らの野心として進み、日本の種子法廃止はその支配の一環であると思えるわけです。日本は2018年4月から、種子法が廃止されました。廃止に伴って、どんな影響があるか?新しい人材育成への予算が付かない。種子法がなくなれば、人材は細る、施設は民間企業に明け渡す。そういう風な流れになっていく。色んな地域に合った源種を保存してきたけれども、それも縮小していく。民間種子が公的種子に代わって市場を占有していけばどうなるか?種の価格が高騰する。米の種代というのは、全生産費の2%に過ぎない。小麦の種代も、全生産費3~4%、大豆の種代も、全生産費の5%程度、ですから私が、「アグロバイオ企業の支配が進んでいる」と農家の方々の集会でお話しても、『種は毎年買っている。金額も大したことないから気にしない』と言う。どうして気にしなくて済んだかというと、「公的種子」だったからですよ。日本の種の安定供給、優良種子の供給というシステムが出来上がっていて、そこに掛かる費用を、全て「税金」で、「交付金」で、賄ってきた。だから種の値段が安かった。でも、それ(公的種子)が全て無くなる。どれほど値段が上がるのか?日本モンサントの「とねのめぐみ」は17,280円(約2倍)福井県の「コシヒカリ」が7,920円ですから、日本モンサント「とねのめぐみ」は約2倍になる。三井化学の「みつひかり」が80,000円ですから、約10倍の値段になる。こういうことが、他の(外資を含む)民間種子にもおこるだろう。「主食の穀物を公的機関が護る、開発する」ことは、「多くの国が大切なこととして護っている」こと。アメリカで主食といったら「小麦」でしょう。その小麦は過去10年間、それほど値段が上がっていない。ところが、彼らの主食ではないトウモロコシや米、大豆など、モンサントなど民間企業が種を担っているものは、ガンガン値段が上がっている。でも州立大学など公的な所で開発している主食の小麦については値段は上がらない。護られているわけです。日本だけ、なぜ全部潰すのか? と思いませんか?万が一、大変な凶作で、種籾も取れない時が有った場合、種をみんなでシェアして種を撒くことができるようにしようとか、「種籾の保存」というのは「リスク分散」のために「農家がとる必要な手立て」でしょう?それを禁止なんですよ。種を取っておくことができない。凶作ってのは1年だけ起こるというものじゃない。2年も3年も、聖書には7年も、ってのも出てきますけどね。ずーっと凶作が続く場合だってあるわけです。だから、種籾は取っておかなければならない。でも、「それをやってはいけない」「禁止」なんです。で、こういう特許法があるからといって、「そうなんだ(納得)」と思わないでください!これはあまりにも「理不尽」なことなんです。正義に反する。ドイツは特許法改正で生物特許を禁止しました。日本の農水省は特許法で生物特許を認めましたが、認めてはいけないんです。これを「やめろ」と、私たちは声を上げなくてはいけない。 「ジーンバンク」に入っていてまだ特許の取られていない種を片っ端から出して、分析して、「これが寒さに強い遺伝子だな」などが判明すると、それだけで、その作物全部の特許を取ってしまう。すると、その作物を作っていた人は、もうその種を自由に使えなくなる。不当でしょう?だから、こうしたことを「あ~そうなんだ」と「特殊種子ってそうなんだ」「仕方ないね」と思わないでください。「不当」「正義に反する」そういうことが今、行われている。そして企業の販売戦略による品種を収斂していく。この今、気象変動が激しい中で、作物が去年と同じように育つかどうかさえ分からなくなってきているでしょう。そういう中で、どういう品種が、どういった気候状況になったら、その中でもちゃんと育ってくれるのか?多様な品種の中から、適したものを見つけ出さなければならない。にもかかわらず、品種をどんどん定めて狭めて収斂させていったらどうなるか?作れなかった種は消えるんです。種は撒いて、育て、その種をとってまた撒く。これを繰り返すことでしか、正しく種を引き継いでいくことは出来ない。種取を止めて、ジーンバンクのマイナス18度の冷蔵庫に入れておけば、取り出せばいつでも芽が出るなんて言うのは、大間違いです。一回ジーンバンクに入れた保存された種を全部撒いてみた。そうしてら、8割は芽が出なかった。種は撒き続けなければならない。撒いて、種を取って、また撒く。各地の農家が、色んな品種をたくさん作付けしていくと、いつかその品種が、その特徴が、必要な時が来るかもしれない。「多様性」というのは人類の「リスク分散」として、とても大切なことなのです。だから今の流れは、とても間違っているわけです。このあいだ野党が全部そろって、新しい種子法の制定を求める提案をしました。そうした動きを支持し、各県では「条例」を制定して、県が独自に今まで護ってきた県の農業試験場の種を守り、「農家に安く良質な種を供給する体制」を維持するように、みんなが声を上げていかなければなりません。「農家の問題」ではなくて、「私達国民の命の問題」、「未来の世代」に対する、「私たちの責任の問題」と思います。