「障害者福祉事業所 ・ 児童福祉事業所 ・ 介護福祉事業所の運営支援」 専門、

「障害者の家族支援」 専門の 社会保険労務士・行政書士の増田繁男です。

 

今回は、訪問看護の開設手続(指定申請)について、情報発信したいと思います。

 

 

<訪問看護の指定申請の基本事項>

 

訪問介護ステーションの開設のためには、基本的には、介護保険法に基づく指定申請を受ける必要があります。

 

また、介護保険法に基づく指定を受けると、自動的に、厚生労働省地方厚生局による健康保険法に基づく医療保険上の訪問看護ステーションの指定を受けることができます

 

なお、訪問介護ステーションを開設したい事業者が医療法人などの場合で、介護保険法に基づく指定を希望しない、すなわち、医療保険に基づく訪問看護の提供のみを考えている場合は、介護保険法の指定を受ける必要がないので、代わりに厚生労働省の地方厚生局または厚生支局宛に指定申請を行う必要があります。

 

多くの事業所は、介護保険法に基づく指定申請を経て、必要に応じ、その他の指定を受けるということになろうかと思います。

 

介護保険法に基づく訪問看護ステーションの開設のためには、以下の基本人員の配置が必要になります。

 

・管理者 (常勤の看護師である必要があります。准看護師は不可です)

・看護職員 (合計で、常勤換算2.5人以上

 

なお、管理者となる常勤の正看護師は、看護職員としてカウント可能ですので、最小人員で言えば、管理者以外に、常勤換算で1.5人以上の配置が必要ということになります。

 

介護保険法に基づく指定申請は、指定権者となる管轄の自治体の介護保険課に指定申請書や添付書類一式を提出する必要があります。

 

指定権者は、開設する訪問看護ステーションの所在地を管轄する都道府県(所在地の市が、政令指定都市または中核市であれば、当該の市です)の介護保険課などになります。

 

 

<訪問看護の指定申請の種類>

 

訪問看護の指定申請については、上記の介護保険法によるもの以外にも、多くの種類があります。

 

また、介護保険法に基づく訪問看護の指定を受けると、自動的に、健康保険法に基づく指定も受けられますが、医療保険の加算などについては、別途申請が必要になります。

 

また、介護保険法に基づく指定を受けると、介護保険の被保険者に対しての生活保護法に基づく訪問看護事業所の指定も受けられます

 

しかし、介護保険の適用にならない医療保険の訪問看護で生活保護受給者への訪問看護は、別途、指定申請が必要になります。

 

その他にも、訪問看護の指定申請といっても、全部で以下の10種類はありますし、またそれぞれの所管の役所や窓口、申請書類の記載事項なども大きく異なります

 

 

介護保険法に基づく訪問看護

・介護保険の対象者に対する訪問看護です

 

 

健康保険法に基づく訪問看護

・介護保険法に基づく指定を受けると、自動的に健康保険法に基づく医療保険の指定も受けられます

・その場合でも、精神科訪問看護基本療養費等の加算の申請は、別途必要になります

 

 

生活保護法・中国残留邦人等支援法に基づく訪問看護

・介護保険法に基づく指定を受けると、介護保険対象者で生活保護受給者に対する訪問看護も行うことができます

・しかし、介護保険適用外の医療保険対象者である生活保護受給者、並びに、中国残留邦人等への訪問看護は、別途指定申請が必要になります

 

 

労災保険法に基づく訪問看護

・労災保険適用の医療に関する訪問看護です

 

 

障害者総合支援法に基づく自立支援医療(育成医療・更生医療)の訪問看護

・育成医療は、一定の身体障害のある未成年者への医療的支援制度です

・更生医療は、一定の身体障碍のある成人者への医療的支援制度です

 

 

障害者総合支援法に基づく自立支援医療(精神科通院医療)の訪問看護

・精神科通院医療は、一定の精神疾患のある患者への医療的支援制度です

 

 

難病法に基づく訪問看護

・一定の難病についての受給者証を持つ方々への訪問看護です

 

 

児童福祉法に基づく小児慢性特定疾病に関する訪問看護

・小児慢性疾病の受給者証を持つ児童への訪問看護です

 

 

原爆被爆者援護法等に基づく訪問看護

・被爆者手帳を持つ方々への訪問看護です。広島や長崎を離れ、各地の子や孫と同居する該当者も少なからずいらっしゃいます

 

 

心身喪失者等医療観察法に基づく訪問看護

・心神喪失等の状態で重大な他害行為を行い医療観察に付された障害者に対する訪問看護の制度です

 

 

<最後に>

 

訪問看護は、医療・障害・介護と横断的な支援制度でもあり、対象者も児童から高齢者まで多岐に渡っていますので、事業所の主たる対象者とする範囲に応じて、複数の指定権者にそれぞれ指定申請を行う必要があります

 

また、レセプト請求等の観点からも、障害・介護・医療に関する公的扶助制度の説明などの理解も必須になってきます

 

以上のとおり、訪問看護の指定申請は介護保険だけに留まらず、制度横断的で奥深いものですので、適切な情報収集や、指定申請に向けたスケジュール管理などが重要になってきます。

 

 

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・処遇改善加算などの加算届や、変更届の作成、実地指導対策などの運営サポートも実施しています。

 

・事業所の社会保険や雇用保険などの手続、従業員の雇用管理や労務管理、助成金の申請代行などのサポートも実施しています。

 

・そのほか、障害年金の申請代行なども実施しています。

 

・障害年金や、親なきあとを見据えた制度の紹介などのセミナーや講演も多数行っています。

 

 

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