佳代子(鈴木保奈美)が離婚の意思を一茂(板尾創路)ら沼田家の家族に伝えている最中、再び姿を現した吉本荒野=田子雄大(櫻井翔)。
吉本は、家のいたるところに仕掛けられた盗聴器とカメラを回収して帰っていく。
家を出たところで振り返り、2階から見つめる慎一(神木隆之介)に、高校を辞めたペナルティとして命令する吉本。
「家族を再生させろ」
数日後、沙良(忽那汐里)を呼び出した慎一は、田子雄大が "吉本荒野" を名乗る理由を聞きだす。
その理由は、 "悪意の体現者" として、世の中のあらゆる悪を生徒にぶつけるため。
真田宗多の死と、外国での死を身近に意識した自分の体験の中で、吉本は考えたらしい。
世の中の悪意を全て断ち切ることは出来なくても、悪意に立ち向かっていける人間を育てることは出来る。
それが、田子雄大が導き出した "教育" の答え。
そして、これまで3人の生徒を更生させてきた田子雄大を、今回に限り、沙良が手伝った理由。
それは、沼田家の "第2の真田宗多" になる可能性のあった茂之(浦上晟周)の他に、 "第2の吉本荒野" の存在に気付いたから。
"第2の吉本荒野" になり得た存在──それが慎一だった。
そこで、沙良を使って慎一に色々な経験を積ませようとしたらしい。
沙良は慎一に一冊のノートを手渡す。
それは、吉本荒野=田子雄大の家庭教師記録だった。
その夜、吉本の家庭教師記録を、家族の前で読み上げる慎一。
最後の総評は、慎一と茂之だけでなく、沼田家の家族に向けられた痛烈な言葉だった。
「破壊の後に再生があると信じてるなら、教えてやるよ」
「絆のない家族に再生なんてあるわけがない。
お前らは俺が仕掛けたゲームに負けたんだよ」
「こんな家族……、消えてなくなればいい」
次の日、沼田家の家族は、廃工場に集まる。
呼び出したのは、茂之だった。
茂之のための報復として繰り返されてきた山尾(西本銀二郎)へのイジメ。
いつものように山尾をなぐる仲間を、止めに入る茂之。
さらに茂之は、倒れている山尾に笑顔で手を差し出す。
長かったイジメの連鎖が終った瞬間。
そんな茂之が見せた勇気は、沼田家の家族を変えようとしていた。
それをキッカケに、沼田家は "再生" に向けて動き出したのだった──。
家も車も売り払い、アパートに引っ越した沼田家。
何もかもうまくいきはじめたある日、慎一はひとりで山小屋に向かう。
その日は、真田宗多の命日。
沙良によれば、その山小屋に吉本荒野=田子雄大が現れるという。
吉本荒野=田子雄大の前に立ちふさがった慎一は、吉本に殴りかかる。
慎一は、沙良から田子が真田宗多を殺した、という意味を聞いていた。
田子は吉本荒野として、真田宗多を殺した、と言っているのだと。
しかし、実はもう一つの意味にも気付いていた慎一。
「彼女が悲しそうに言ってたよ」
「あんたがホントに殺したのは……。
田子雄大!
あんた自身だよ!」
田子は、自分を徹底的に追い込むことで、田子雄大という人格を殺し、吉本荒野そのものになろうとしていた。
自問自答を繰りかえし……、何度も、何度も。
「全部あんたのせいだ。
あんたのせいで家を失った。
あんたのせいで俺は高校を辞めることになった。
あんたのせいで家族が壊れた!」
「あんたのせいで……、あんたのせいで……」
「家族に……家族に絆が生まれた」
「ありがとうございました!」
慎一は、 "田子雄大" という人格を犠牲にしてまで、生徒を救おうとする田子のやり方が許せないのでしょう。
けれど、その "田子雄大" という犠牲のおかげで、慎一は "吉本荒野" にならずにすんだ。
そして、沼田家には存在していなかった "絆" が生まれた。
慎一が口にしたのは、そんな田子雄大への感謝の言葉。
「吉本荒野、昭和57年1月17日生まれ、AB型」
「悪意の体現者として生徒と向き合う。
ずっとそうして生きてきた」
「けれど今日、久しぶりに笑った」
「田子雄大として……心から、笑った」
現実的には、田子のような悪意を体現できる人間を探して、子供に悪意に負けない強い精神力を身に付けさせるのは難しいでしょう。
でも、家族の絆を作っていく努力をすることで、、少なくとも悪意の塊である吉本荒野のような存在を生み出さないことはできるはず。
少し含みをもたせたラストシーンも含め、全体を通して、とても見応えのあるドラマでした。
もし続編があるとしたら、個人的には教育者になった慎一を主役にしたストーリーが観たいですね。
慎一が選ぶのは、第2の吉本荒野か、それとも第2の田子雄大か──。
吉本荒野の悪意も、それを乗り越えた経験ももつ慎一なら、そのどちらでもない、 "教育" の別の答えを見つけだせるんじゃないでしょうか。