8月15日 NHKスペシャル『忘れられた戦後補償』
戦争の惨禍は、75年経った今でも報道の価値があることを証明していました。
大戦での民間人の被害の補償はドイツやイタリアでは行われていたのに日本では行われませんでした。
GHQにより廃止された軍人(遺族)恩給が1953年に復活したが、その額は階級により差があり、戦犯であった東条英機が現在の額で年間1千万円であったそうです。さらに、旧植民地出身の将兵には恩給が支払われなかったそうです。
『靖国』の構造と同じです。
それは、旧陸海軍出身者が厚生省の官僚となり世論工作を行ったためだということでした。
また、旧731部隊の関係者が、厚生省や製薬会社で再び勢力を持った構図とも似ています。
さて、昨年の『無言館』への旅を続けます。
坂道を登り、尾根に出ると『無言館』が見えます。
コンクリート打ちっぱなしの壁、その静謐な佇まいは、「丘の上の 木立の中にある 教会」のようでした。
ここで1日を過ごし、別所温泉に泊まる、というのんびりとした旅もいいかもしれません。
『記憶のパレット』
戦没者学生慰霊碑 500名余の画学生の名が刻まれています。背景には、戦時中の東京美術学校(東京芸大)の授業風景が篆刻されています。
館内の雰囲気はHPの画像を借用しました。中央の展示ケースには、スケッチブック、日記、戦地からの手紙などが展示されています。
『無言館日誌2018年5月1日~2019年4月30日』という販売物(500円)がありました。
来館者の感想を活字にした出版物です。現地に行った方はぜひお買い求めください。旅の記念になると思います。その中のいくつかを紹介します。
5月1日 今は平和と言えば、「左だ」「反日!」という若い人が増えている。千人のうち一人でも、己の無知を知ってほしい。この「無言館」を訪れて。
一番最初にこんな感想がありました。同感です。しかし、「左だ」「反日!」と叫んでいる人の多くは若者ではなく、又三郎のような「戦争を知らないシニア層」であるというのが最近のネット研究から言われていることのようです。
10月21日 京都からきて、ぼくは、どれだけせんそうがこわいか知りました。いま学校でちいちゃんのかげおくりという音読をしていて、それもせんそうのことでもっと知りたいので、むごん館にきました。・・・・
せんそうをしても、命はかえってこないので、命を大切にして平和な日本になるのを
ねがいます。 小学校三年生 9歳
長い感想の一部です。未来を生きる、9歳のお子さんの心にある宝を掘り起こした、無言館の力を感じます。
痛ましい事件が起こるたびに「命の大切さを子供たちに教えたい」などというコメントが流れます
。しかし、最も命を粗末にしているのが大人であり、政治ではないでしょうか。この9歳の子どもに学びたいと思いました。
たったひとつの感想を見ても、窪島誠一郎さんが、
ご自身が大好きな、村山槐多や松本竣介の絵を手放してでも、
『無言館』を守ろうとした意味はあったと思います。
ある画学生の遺したスケッチブックの余白には、
「小生は生きて帰らねばなりません。
絵を描くために」
とあったそうです。