こんにちわチョキkazeです。





前回の記事を読んでない方は、
「小児をはじめた理由〜小児との出会い〜
を読んでみてくださいニコ



ニコ覚悟ニコ

そんな衝撃的な出会いから数ヶ月が経過しました。

最初は戸惑いでいっぱいいっぱいでしたが、


少しずつではありますが、その子の身体に触れることには慣れてきました。


日によってその子の緊張が強いなど、少しだけ身体のことがわかってきました。


自分でも教科書を開いて

気になったことはネットで検索して

それなりに自己学習をすすめました。
(自己満の程度ですガーン




ある日の訪問、

お母さんから
「昨日の夜は痰絡みが酷くて、吸引、吸引でこの子もわたしも一睡もできてません。」
と言われました。


たしかに、
その子も寝ていないせいか、
とてもグッタリしており、私が挨拶しても目も合わせてくれませんでした。


身体を触ってみると背中の筋肉は彎曲に沿って、石のように硬く、

呼吸は浅く早く、聴診器を当てるまでもなくゼコゼコしていました。


いつもとの明らかな違いに多少戸惑いましたが、自分なりに考えてだした答えが

・緊張の抑制
・排痰

でした。

とは言っても、手技的にも自信があったわけでもありません。

ただ、うつ伏せをとることが排痰に効果的というあさーーーい知識をもっていたので


お母さんに
「今日は痰が多そうなので、うつ伏せをやりましょう。」

と提案しました。


すると、お母さんは

「大丈夫だよ。明日いつもの外来の先生にやってもらうから。今日1日耐えれば大丈夫だから。」

とおっしゃいました。


気づいてはいました。

私は、その子にも、お母さんにも全然信頼されていないことは。

それも関わったばかりだししょうがない。
時間が経てば少しずつ信頼関係ができてくる
などと思っていました。


でも、何より腹がたったことは

お母さんにこう言われて、

落ち込むこともなく、自分が不甲斐ないとも思わず、
「良かった。それなら今日は今まで通りでちょっと軽めにやりますね。」
と答えた自分に対してでした。


その子がゼコゼコ苦しそうにしている中、いつも通り手足のストレッチをしていました。


ある瞬間、その子と目が合いました。

「お前何しに来てんの?」
「俺苦しいんだけど?」
「なんでこんな辛いときに、身体動かされなきゃいけねーんだよ?」

そんなこと思っていたか、わかりません。

でも、私にはその子がそう言っているようにみえました。


ハッ!!!っとしました。
動かしていた手が止まりました。



もしかしたら明日から学校に行けなくなるかもしれない。

もしかしたら明日入院になって、お母さんに会えなくなるかもしれない。

もしかしたら明日死ぬかもしれない。


その子は健康に生まれてきた子供とは違います。


そんな状況に置かれている子に、

経験がないからできなくてもしょうがない。
時間をかけて信頼関係を築こう。


なんてそんな甘い考えは、その子にとっては間違っている。

何よりも、この子の大事な時間を奪って、理学療法士として何ひとつ提供できていない自分の不甲斐なさに気づかされました。



そして、リハビリが終わったあとに、

その子とお母さんに自分の気持ちを正直に伝えました。

「今の自分に小児のリハビリをするだけの知識と技術がない。
これから小児のリハビリについて本気で学ぼうと思うが、自分の未熟さのせいで、貴重な時間を奪ってしまうのが申し訳ない。小児経験者がいる他の事業所を探してほしい。」



と。


しかし、お母さんは
「ありがとう。この子と真剣に向き合ってくれるだけで、それは貴重な時間です。
知識や技術は経験を積めば何とかなるから、これからも訪問を継続してください。」

と笑顔で言ってくれました。


この瞬間、

自分の未熟さを知り

小児のリハビリに一から本気で取り組むこと。

そして、この子とご家族に必要とされる理学療法士になる。

覚悟を決めました。



小児理学療法士 kaze