知人の修了演奏会を聞きに行きました。名古屋音楽大学大学院の声楽科を修了します。彼女の唄った曲目は「ランメルモールのルチア」狂乱の場・香炉はくゆり 愛する人が居るにも関わらず政略結婚をさせられる女性が、挙式当日気が狂い新郎を殺害してしまいます。そのあとに唄うアリアです。技法も表現もとても難しい曲だそうですが、気品と若さが溢れる素敵な演奏でした。登場した瞬間からお客様の目を奪っていました。ウェディングドレス姿の美しさだけでなく、立ち居振る舞いが覚悟を決めた重みがあり颯爽としていたのです。とても長いアリアですがお客様の心を捉えて離さず、若いのに気高い意識を感じました。若い方からも学ぶ事がたくさんあります。その意識の高さに負けてはいられませんし、プロ意識を高く持ち続けねば先へ進めない、とジャンルと年齢を違えた友人から学びました。
日本の伝統芸能でも舞踊の「鷺娘」や歌舞伎「忠臣蔵」などで白無垢などの花嫁衣装を着ます。衣装の中でも特に着させて頂く覚悟とプライドが要るだろうと想像しています。彼女のウェディングドレスも然りでしょう。学生を卒業してプロを目指すまさに門出の衣装でした。
今日はかつら合わせをして頂きました。四月に「白酒売り」を躍らせて頂きます。女白酒売りです。余り上演されない演目で不勉強なので一度も見た事がありませんでした。一昨年のむすめ歌舞伎公演で靖子さんが初舞台でこの演目を踊られましたが、全く拝見出来ませんでした。曲調を少し覚えているのと、台詞を頑張っていらっしゃったのを聞いていました。
本などで調べると、衣装は物売りという役柄の決まりの中で個々の趣味を出していらっしゃる様です。吉原に憧れる女性なので、若々しい溌剌とした売り子になれるよう頑張ります。
前回女性のお役の鬘を作って頂いたのは四年前です。以前の台金を持ってきて頂きましたが、鬘屋さん曰わく相当に頭の形が変わったそうです。髪の毛の長さや体重の変化が影響します。髪の毛も随分短くしてしまい、体重は2.3キロしか減っていませんが年をとったので頭のお肉も垂れてしまったのかな?何度もやり直して台を合わせて下さった鬘屋さんに感謝しています。
むすめ歌舞伎の市川舞花さんは俳優館の女優さんでもあります。俳優館主催の朗読劇を見に行きました。「鋏」狂言師の佐藤友彦先生による演出です。原作を読んでいないのではっきりとは言えないのですが、単純でありがちなストーリーをここまで面白くさせている事に驚きました。まず、演出が素晴らしい。あくまでも伝統芸能の手法で、底に力を秘めた演技方法。台詞の合間に入る鋏の音は囃子方の様。間を意識。群読は謡さながら、それでいてとても聞きやすく、登場人物の心が切々と伝わってきました。友彦先生の演出を集中力絶えずに表現しきった役者さん達も良かったです。古典は現代劇にも通用するどころか、基本であり、その土台から新しい物が生まれるのだと思います。発見、というよりやっぱりそうか、と安心し満足した舞台でした。
團十郎先生の告別式に参りました。先生には市川のお名前を頂いただけではなく、一谷のお稽古を見て頂いたり、時折温かいお言葉を掛けて頂きました。こんな小さな存在の私にさえ、責任感を持って、寛容なお心を下さっていたかと思います。團十郎先生の思い出はどれも色濃く心に残っています。お名前を頂いた時「頑張ってね」と笑顔で仰ってくれた事。一谷で軍次のお役の手本を見せて頂いた事。助六の衣装を着た出番直前でも周りにお心を配っていらしたお姿。
團十郎先生により、格という物を知りました。本当の格は、地位名誉の高さではなく、華やかなオーラでもない。人として、役者としての存在感であり責任感なのであると。少ししか接した事のない私にもひしひしとその大きさと温もりが感じられ、先生の力が未熟ながら私の中にも反映していると思うのです。開花させるのは私の努力次第です。
今後も先生は大きな支えです。頂いた名に恥じない行いをします。改めて責任感を感じたと共に、告別式の結びにファンの方々から、「成田屋」の大向うと拍手を送られて旅立たれた時、また勉強させて頂いた、と感じました。生涯團十郎先生から学び続ける事が出来るのでしょう。そして多くの人の中に生き続けられるのだと思います。空を見れば力を与えて下さるかと思います。
今日は幸田シンフォニックバンド定期演奏会がありました。今回で13回目だそうです。何回か司会に入らせて頂いていますが、その度に勉強させて頂いています。
今年特に思ったのは、司会として、朗読者として学ばせて貰っただけではなく、皆さんから多くのものを頂いた気がします。私が今後歩んでゆくに貴重な一日でした。
技術的にはこれから勉強し続けるしかありませんが、自分の事で精一杯にならないように、周りのために生きてゆかなければ何にもならないのではないか、とやっと気が付いた気がします。
この吹奏楽団に関わっていると、劇団を思い出します。社会人から学生さんまで団結して日々練習に励み、お笑いとお酒が好きで、笑いと緊張のバランスが心地良い。
結果的にお見せするものは技術では無いのです。その人自身であり、取り組む姿勢や生き方が見る人を感動させるのだと思います。
とにかく、仕事を頂いた私がこんな言葉しか言えないのは情けないのですが、「ありがとうございました。」という感謝の気持ちしかありません。