朝5時30分。
お遍路を再開して初めて宿での朝食を頂きました。

なんて美しい朝食…



九度山は柿が名産ということで、晩秋に収穫した柿を低温貯蔵していたものを朝食に出して下さいました。

これがまたとっても甘いのです。



龍王亭のご主人もとても温かい方で、高野山が初めての私に行き方など大変親切に教えて下さいました。

そこで知ったのが、健脚であれば日帰りできるということです。

出発するとき、高野山までいけるとは考えていなかったので勉強不足のままこちらに来てしまいました。

宿泊せずに帰ることに決め、高野山町石道の入り口がある慈尊院まで急ぎました。

7時。
お参りを済ませ、慈尊院の階段途中を右に曲がり町石道へ。


慈尊院から壇上伽藍まで約22kmで、標準所要時間は6時間30分だそうですが、そこから奥の院まで歩き、参拝、納経をさせて頂いても15時には新大阪駅に向かって出発出来そうです。

町石道は、ひっそりとした山道がずっと続いているのかと思っていましたが、ゴルフ場の脇を歩いたり、時折国道を横切る場所があったりと、驚くことも多かったです。



クマも出らしいです。どうしましょう。


頂いた町石道の案内パンフレットは大変親切で、所要時間はもちろん、上り坂、下り坂などの記入もあり歩く目安になりました。

お遍路道をずっと歩いてきたので、町石道は比較的歩きやすいように感じました。

大門到着。
名前の通り大変大きいです。



12時、壇上伽藍到着。



5時間で登ってこれましたので、金剛峯寺などをお参りさせて頂きました。

そして、お遍路のしめくくりである奥の院へ。
無事にまわれたことや沢山のご縁に感謝をし、神聖な気持ちで参拝させて頂きました。

本当にありがとうございました。

お遍路中は、煩悩だらけの凡人である私も一人の修行者です。

同行二人に恥ずかしくないような立ち居振る舞いができたとは言い難いのですが、「十善戒」だけでも守ろうと心がけてはいました。

「不殺生、不偸盗、不邪淫、不妄語、不綺語
、不悪口、不両舌、不慳貪、不瞋恚、不邪見」

ですが、これを守るというのはなかなか難しいことなんですよね…。

不邪見は「誤った見方をしない」ということなのですが、もう邪見だらけでした。

香川県のあまり広くない遍路道を歩いていた時のことです。

私のすぐ後ろから車のクラクションがきこえました。
道の端ギリギリに歩いていたので車は十分通れるはずと、そのまま歩き続けようとしたら再びクラクションが。
振り替えると、手袋を落としたのを教えてくれていたのでした。
内心、(うるさい車だな)と思った自分が大変恥ずかしかったです。

山の中のお遍路道を歩いていると、案内の標識の他に、個人の方々による励ましの言葉や格言が書かれた板が、木の枝に掛けられているのを目にすることが出来ます。

一番印象に残った言葉が
「つきつめれば、全ては自分の都合」

…まったくその通りです。

今日で菅笠や白衣ともお別れで、またいつもの日常に戻りますが、お遍路の装いで歩いていた時の気持ちを忘れないで、時折自分の振る舞いを正し、確めながら日々修行の気持ちで過ごしたいと思います。

同行二人は続いているのですから。