木曜日、22:00くらいに仕事を切り上げて
経由駅である四ツ谷駅を歩いていた。
考え事をしながら歩いていたので、急に話しかけられて驚いた。
フィリピーナだとすぐにわかった。
年は30~40代くらい。
小声で呼び止められ、カードを見せられた。
「アジアのめぐまれないこどもたちにボキンをおねがいします」
的なことがひらがなで書かれていた。
瞬間的に断った。
大き目の声で、少し狼狽しながら「私、今お金ないんで」と言った。
なにしろ、先月 市民税を納めていなかったため差し押さえられたばかりだ。
それ以降は分納をお願いしている。
しかし遅れて脳内にアジアのおなかをすかせた子供たちの映像が来た。
私の貧困など彼らのそれに比べたら比にならない。
私が今自分のお金で生活できていないとはいえ
日本で生まれた幸運は、彼らにとってみればお釣りがくるのものではないか。
「お金がない」ってなんだ。
私は急に自分が恥ずかしくなった。
募金しよう。
このお姉さんが私に声をかけたのも何かの縁だ。
きっとこの人は私に何かを感じたんだ。
お財布事情もあるため私は
200円
フィリピンのお姉さんに差し出した。
中身の入った封筒の口を向けられた。
「募金箱じゃない」
はじめてそこで少しの違和感がきた。
促されるままに小銭をそこに滑り込ませた。
「ありがとうございます」
フィリピーナは私に言った。
それによって先ほど感じた違和感は、満足感として上書かれた。
「私こそ躊躇してしまってすみません」
そう心で思いながら、私は彼女に最高のスマイルを送った。
「みんな幸せになれ」
そう思った。
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