実は・・・日本にいた頃(香港に行く前)付き合っていた彼(日本人)の実家にご挨拶に行った事がある。
それは、「真剣にお付き合いしてます、宜しくお願いします」的なもので、決して「結婚のお願い」ではなかったけど、それはそれは、敷居が高くてしんどいものだった。
相手は長男、実家はそこそこのお金持ち。
対してうちの実家はちびまる子ちゃん的に一般家庭。私は一人っ子長女。
ご両親にご挨拶のつもりがなぜか叔母様まで出てきて、この叔母様に根掘り葉掘り聞かれた。
「ご職業は?最終学歴は?お父様のお仕事は?・・・・・・」
当時まだ23、4歳だった私は、緊張しまくりで質問全てに素直に答えたけど、よく考えたら、ご両親だけじゃなくなんで叔母様まで同席するのか?根掘り葉掘り聞くにもほどがある!と憤慨した記憶がある。
非常識な叔母さんにムカついたというのが正直なところだったけど、今思えば、何も言わず聞いてるだけのご両親もグルだったに違いない。
それに当時アパレル販売をしていた私に向かって、その叔母様は大げさに落胆して見せて「マネキンさんか・・」と言い放った。今でこそ、マネキンという言葉は使わなくなってきているけど、母に聞くと「学歴が低い人がつく職業的なニュアンスがあるのではないか」という事だった。
確かに彼は有名大学出で、私は腰掛け程度の短大卒。
それでも当時の彼は平社員で、私はデパートで店長をしていたから、「彼よりお給料も役職も高いんです!」と言いたかったけど、やっぱりご両親を目の前にして言える事では無かったし、結婚してからもその仕事と収入を続けわれる訳ではなかったので、言いとどまったというのが本音。
彼のお母様は、私が一人っ子長女だという事に落胆しておられた。
「将来面倒はみてもらわないと・・」というような事だけ言われた。
正直、そんなつもりはこれっぽっちも無い。自分の両親ですら、一人で看れるとは思えないのに、他人の面倒なんて・・・。それに愛する息子の結婚相手を自分の老後の面倒を看る役としか見ていないのが寂しかった。
私は、早々においとました。
そしてその彼との結婚は延期状態になった。それでもいつか、彼と結婚するつもりではいた。
1年後、私は香港にのめり込むあまり、留学を決意。
彼は引きとめなかったし、クリスマスも正月も誕生日も会いにも来てくれなかった。これが私たちの終わり。
きっと彼は私が帰ってくるのを待っていたし、私も彼が迎えに来てくれるのを待っていた。
でも数ヵ月後、私は運命の人に出会った。
香港人夫ファミリーは、私を歓迎してくれた。
私の学歴や、両親の仕事や収入なんて関係ない。
私と夫が愛し合って、幸せになれる事だけを祈り、見守ってくれる。
そして、うちの両親。
もちろん最初から、香港人(中国人)との結婚に大賛成というわけでは決してなかった。
日本ではよく、中国人マフィアとか窃盗団とか悪いイメージがつきまとうし、結婚したら親戚一同が日本に押し寄せてくるんじゃないかとか、金の無心をされるんじゃないかとか、いろんな心配をしていた。
親戚からも大反対の声が上がっていたらしい。縁を切るとまで言われたそう。。完全なる差別。
行った事も無い見た事も無い国の人を、そこまで差別できるのは考えられない。
ところが、香港人夫の父が元警察官だと分かると、ころっと態度が変わったそうだ。
親戚に元警察がいたからだって。しょーもない。冠婚葬祭でしか会わない希薄な縁なんか要らないわ!
父母も香港人夫に直接会って話すと彼の人柄に安心し、少しずつ心を開いてくれた。
両家ともに一般的な家庭である事、夫が次男である事、日本語が出来る事も安心の材料だったみたい。
そして当時、香港人夫が日本の大企業で働いていたと言うことも説得力があったみたい。
うちの両親も香港まで来てくれ、香港人夫のご両親とご対面した。
言葉は通じないけど、愛息・愛娘を持つ親同士として、心が通じているのがよく分かった。
結婚は当人同士の問題だけど、やっぱり周りの人々の理解と協力が無いとスムーズにいかないし、その後の二人の関係にも影響があると言って過言ではないかも。
残念だけど、結局、日本人が見るのは、学歴とか経歴、収入面なんだなぁ。どんなに地位の高い人でも辞めてしまえば翌日からはただの人になるのにね。
こうして私たちは挨拶を両家に済ませ、結婚準備に入ったのです。