20歳で社会に出た私は、販売の仕事を選んだ。
大きな理由は、一つ、昔何かで読んだか聞いた話に影響されるところが大きい。
「人間は一度見た情景を脳に記憶し、たとえ忘れても、死ぬまでその記憶は脳から消えない。」
よく死ぬ前に、「幼少からの思い出が走馬灯のように・・・」なんて言うのは、この事じゃないかな。
私の解釈は、「一度会った人の顔を死ぬまで残るのなら、この短い人生で出来るだけ多くの人に出会い、自分と相手の脳みそに記憶として残るなら、めちゃ素敵な事やん!」
毎日が同じ職場の人間と顔を合わせるような仕事ではなく、接客業ならば、毎日違う人と出会えると思った。
この考えは、数年後、ホテルマンとして働くきっかけにもなる。
香港に住んで、最初の時期は、とにかく友人を作りまくった。否、ただの知人かな。
当時、ICQというMSNのようなチャットが流行っていて、そこでも友人の輪を広げる事が出来たから、
しばらくチャットやメールでやり取りして、直感で大丈夫そうな人だなと思ったら、後日会って、ご飯を食べたりして、香港人との世界を作るようにしていた。
私に話しかけてくる人は、ほぼ、日本が大好きとか、日本語を勉強中の人だったし、最近のようなネットでの危ない出会いは無かった。
友人・知人が35人を越え、同時に8人とチャットをするようになったくらいの時期、ある日本語掲示板に書き込みをした。「日本に興味のある、香港人の方、お友達になりませんか?私は日本人で、今香港で広東語を勉強しています。」
数日後、書き込みがあった中の一人が、夫になる人だった。
確か、「日本の文化が大好きです、よかったら友達になりましょう。」
男性か女性なのかもわからない、シンプルな文章だった。
数日後、チャットをしているうちに面白い人だなと思って、何となく話してみたくなり、電話する事になったんだけど・・・・
初めての電話であまりの「ええ声」に驚き
人の声を「ええ声やな~」なんて思ったことなんて無かったけど、好みの声だったのか、甘いヴォイスと優しい言葉にメロメロ~ン
今思えば、この時、私は既に落ちていた
後日、初めての夫とのお食事に行った際には、一張羅で出かけました
(でもね・・・夫の顔は声からの予想とは大違い、全く好みの顔ではございません)