確か、入学セレモニーのようなささやかなものがあった。
でもそんなに朝早くからでもなかったので、家で時間をもてあまし、先にスーパーで当日のお買い物を済ませることにした。
1階まで降りて警備員さんに挨拶をしなくても2階からショッピングモールまで繋がっているみたいなので、この道を通ってみよう、無理なら戻ればよい、何でも経験が大切。
2階のドアを開けると、お隣の数件のマンションとも繋がっていて、広場になっている。
バレーボールコートと、噴水、花、南国の木々があって、天気の良い日はそこで数時間座っているお年寄りも多かった。
早朝には太極拳をしている人もいるに違いない。
そこを通り抜けてもう一枚ドアを開けるとショッピングフロアの2階に出る。
2階には、文房具屋、電気屋、レストラン、ファーストフードのお店が軒を並べていた。
香港の大手チェーンスーパー、パークンショップは1階。
見たこともない野菜や果物、冷凍食品、海外のお菓子などどれもじっくり見てみたい物ばっかりだったし、中には、間違った日本語で書かれた物や、日本製造風に偽造(?)された物も多かった。
「おぃしい」とか、「WASABI風味」、「日本の優品」などなど。
大概がスペルとかひらがなとカタカナが間違っていたりするから、お土産にも好評なのだけれど・・。
買い物を終え、家に戻ろうと来た道を戻るが・・・・・・あれ?どこだっけ。
確かこの道を通って、このドアを開けた気がするけど?さっき噴水通ったよ?
うちの家は、52のうちの50座だから・・・えーと・・汗
入学式当日に迷子になってしまった。
しかも2階の入り口には何座とか親切に書いてなかった。脱力。
周りは同じデザインのマンションだらけだよーー見分けつかないよー私の部屋はどこや?
えーと、広東語でなんていえば良い?なんて聞けばよい?私は日本人だって事をまず言う?
何でも挑戦するって決めたのに、勇気がどんどん無くなってゆく。
その辺を三輪車で走っていた男の子(推定5歳)2名に聞いた。
私「ハロー、お菓子いる?」
男の子「・・・ううん、いらない」
香港では子供だけでは外出させる事は無い。必ず親族か、メイドさんがついている。
それに昔、誘拐も多かった香港では、他人には近づかないよう躾られており、バスなどで子供に笑いかけても、皆、一様に無表情な事が多かった。
でも、このときは保護者は見当たらなかった。だから話しかけれた。
私「・・えとね、わたしね、日本人でね・・日本知ってる?」
男の子たち「・・」
私「50座に行きたいんだけど、わかるかな?」
男の子たち「わかるよーすぐそこだよ!」
私「ほんとう?どこ?」
男の子たち「連れていってあげるよー」
私は噴水を通り過ぎ、2件奥のマンションまで来ていただけだった。
お礼にお菓子を無理やりあげたら、男の子たちも笑顔で「多謝」と言ってくれた。
私の超初級の広東語はこの時初めて香港人に通じた。おめでとう、自分。
この時の男の子たちは、今、小学生かな?