　現在は、写真や動画をスマホでも撮れるのですが、撮影をした時に、液晶を見て、見たものが見た状態で撮れる事が理想で、多くの人は、液晶で見えている状態を一番いい状態にして切り取っていると思います。

　この条件があるので、　

【　ファインダーや液晶を見てその状態で撮れるカメラ　】

を選ぶ事が重要です。基本的に、通常の撮影だとこの機能が備わっていないとどうにもなりませんから、　【　見た通り　】　というのは、肉眼の話ではなく、ファインダーや液晶モニターの話になります。

　と言うのも、肉眼とカメラではダイナミックレンジが違いますし、50mmのような奥行き感なのに、画角は対角魚眼レンズのような広さがありますから、こんなレンズは存在しませんし、同じことを行おうと思うと、複数枚の写真を撮影してステッチ処理を行ってパノラマ写真を作るしかありません。その為、適応するレンズがないので、肉眼と同じように撮るというのは無理です。50mmの場合、

【　人が被写体を見つめているときの状態　】

と同じなので、標準レンズと言われていますが、基本的に、肉眼とレンズの光学系では全く違います。というのも、その状態だと50mm固定の詰まらない世界になりますから表現手法が減ってしまいます。

　また、現在は、スマホで撮っている物と肉眼で見ている物では画角が違うので全く別の物が撮れているというのは感覚的に解るいい時代になっていますし、現在のように、スマホやデジカメを購入すると、前の世紀や2000年代前半だとあまり見かけない24mmの画角をそのまま使用できるような時代になっていますから、現在のスマホユーザーの多くは、広角レンズでの写真を撮影している事になります。

　また、スマホだけですが、50mmが望遠レンズ扱いになっていますから、基本的に、スマホというのはそう言う広角で撮る事が基準になっています。そう考えると、距離感としては、目で見るよりも奥行があったり、空間の広がりを感じるように撮れるレンズが実装されていますから、肉眼で見ている状態とは違う物が撮れます。

　写真や動画の場合、焦点距離とワーキングディスタンス（レンズと被写体までの距離）の変化で物の見え方が変わるので、被写体を見る視点だけでなく、レンズが何で、それ位の距離で納めるのかでも変わってきます。この時に、肉眼だと単焦点レンズですから、パースの変化や強調されるような効果は出ませんが、レンズの場合だと、広角と望遠で奥行きが違いますし、超望遠だとパースが変わるので、絵を描く人だと　【　だまし絵　】　かな？と思うようなパースになります。

　距離に圧縮伸長効果というのは、絵の場合だと、一点透視図法で確認できます。

　まず、画用紙を横にした横構図で、天地の長さを短くして、四つ角から対角線を引きます。そうすると、地面と天井までの距離よりも壁面の距離のほうが長くなります。これに対して縦で行うと奥行きのほうが長くなりますから、同じ奥行きで描く場合、縦構図の場合だと、調整しなければなりません。ただの対角線ですが、この角度で奥行きがかあってしまいますが、同じ場所から見た状態でも、消失点までの距離の伸縮が発生するのがパースです。

　このパースと言うのは、奥行きを表現するための手法になりますが、肉眼でもパースは付いていますし、焦点距離が異なれば、その肉眼とは異なるパースが発生します。これが、レンズの焦点距離による光学的な振る舞いによる変化になります。

　それとは別に、広角レンズで寄ると近くの物は拡大され、離れた場所の物はパースが付くので小さくなりますから、手前の物を強調して奥の物を小さくする事ができます。その為、広角レンズでは、肉眼で見えない状態を撮影できます。また、望遠レンズは対照的に、距離の圧縮効果が発生するので、広角レンズで寄った時には大きく強調てきた被写体も、距離の圧縮効果によって小さくなるので、サイズ感が変わってきます。この効果があるので、望遠レンズだと肉眼ｄ目いるよりも背景を近づけて撮影する事ができます。

　このように、レンズで全く異なる結果になりますから、　【　見えたとおりに撮る　】　と言う条件は、肉眼ではなく、ファインダー（ODFやEVF)や液晶モニターで見た像の状態の話になります。これを基準に構図や色や光の状態を決めていくことになります。

　その為、カメラはその場所にある物を撮影する機材ですが、実際には、肉眼で見る物よりも色々な協調をしながら撮影できる機材なので、肉眼で見ている物とは異なる切り取り方をする機材になります。

　綺麗な風景があれば、その場所のが綺麗に撮れるのですが、綺麗な写真の場所と言うのは、その視点と撮影によって切り取られたそれがそれを完成させているので、人の目で見た時にはほかの情報も入ってきますから、同じ場所で写真のように感じるのか？と言われると多分違う気がします。と言うのも、写真や動画の場合、余計な情報を除去して必要な部分だけを切り取っているからです。それがフレーミングの段階で行われているので、肉眼で見ると余計な周辺情報が入ってくるので違う印象になるかもしれません。

目に見えない物を撮る　　　　　　　　　　　　　　　

　写真は、　【　流れる時間の中の一部を止める手段　】　なので、写真自体は時間軸を持ちません。その為、現実世界で動いている物でも写真にすると止まってしまいます。動画だと秒間に複数枚の画像が切り替わる事で、動きが切り取られていますから、　【　画像の変化　】　で移動速度を感じる事ができますし、それが動いている事を認識できます。

　しかし、写真は、動画の1フレーム分しか情報がないので、その中で動きなどを表現する必要があります。その場合、

　　■　挙動

　　■　推移

のいずれかを表現することになります。この二つのアプローチがある被写体に　【　水　】　がありますが、水の場合、ミルククラウンのように水的な水面に落ちた時の挙動を記録する場合、その一瞬の出来事を刻み取ります。例えば、波打ち際の水しぶきを止めて撮る場合も同様ですが、その状態を切り取ると　【　そう言った挙動である　】　という事を画像で伝える事ができます。

　これとは別に、動きと言う物を伝える手段もあります。これについては、滝などがそうですが、これは流れを取るので、点像ではなく軌跡を撮影します。その為、木よ胴の中に存在する　【　現象　】　ではなく、その挙動の中に存在する一連の流れを刻むことになります。つまり、時間の中で発生する挙動の推移を刻むのがこの方法です。

　この撮影方法ですが、前者はハイスピードシャッターで、後者はスローシャッターになります。どちらも動きですが、躍動感のあるものは前者の撮り方になりますが、挙動を切り取る方法としてはこの2つがあります。そして、この2つですが、両方とも肉眼で見る事ができない場合が多いです。

■　写真に速度を入れる　　　　　　　　　　　　　　　

　小学校6年生辺りで、時間、距離、速さについて学びますが、時速などについても学ぶ子音になりますが、

　■　速度　＝　距離　÷　時間

なので、時間がなければ、速度を感じることはできません。そうなると、時間の推移のない写真には早さを含む情報を切り取る事はできません。ただ、シャッターを切るだけだと、前述の推移と挙動の記録しかできませんが、写真には速度を刻み込む方法があります。

■　速さの認識　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　現実で物体の速さとは何で感じているのでしょうか？基本的には、自分から見て特定の移動距離を特定の速度で通過した場合に、　【　速い　】　と感じると思いますし、奥から目の前までくるのにかかる時間が短い場合にも同様の認識をするはずです。この情報の検知ですが、視覚情報によるものだと思いますが、この速度の認識と言うのは、

【　対象物と風景との挙動の差異　】

で認知しているはずです。その為、速度のあるものは風景よりも特定方向に移動しているので、速度を感じるわけです。

　その為、推移を感じる条件がある場合、速度を感じるような撮影もできます。動きを取る場合だと、カーブのある山道の上から、車のテールランプを撮影すると、スローシャッターを使った場合、テールランプは走った道なりに軌跡を描きます。これは推移を刻む方法ですが、速度は感じません。では、これが、走っている車があって、残像がついてきているような状態だとどうでしょうか？この場合、物体の挙動から考えると速度があるように見えなくもありませんが、風景が止まっているので、そう感じないはずです。

　これについては、肉眼では絶対に見えない物になりますが、写真だとそうした撮影ができます。これは、スローシャッターで撮影して、後幕シンクロでストロボを焚くと残像の終わりに乗り物に光があたるので、乗り物のシルエットの後ろの残像が来ます。つまり、ストロボの発光前までは花火や滝と同じ長時間露光なので残像が刻まれますが、ストロボで最後に被写体を照らすので、進行方向に乗り物の像が刻まれます。こうした撮影はストロボとカメラだけで撮れるものになりますが、これでは速度があるような認識にはなりません。

　ただし、速い物は残像のように見えるのですが、動いている被写体の速さを出す場合だと、それが動いていると認識させる必要があります。そうなると、その物体を撮影した場合、どう言った事が怒っているのか？を考えると、答えが見えてきます。

■　動体を止めて撮る　　　　　　　　　　　　　　　　

　動体を止めて撮る場合、ハイスピードシャッターを使いますが、この状態だと世界まで止まってしまいます。では、動体が動いている状態だと、周辺がどうなっているでしょうか？動体を常に追いかけた場合、風景は動体の速度に比例して速度を帯びて移動しているはずです。

　これは、乗り物に乗って窓の外を見た時に、風景のほうが流れて見えるのと同じですが、これは見ている人が乗り物と言う動体の中に入っているのでそう見えるわけです。

　写真も同じで、動体を止めて風景が動いていれば速度を感じる写真になりますから、そう言った撮影を行う事で、被写体に速度を感じる状態にできます。

　この場合、ハイスピードシャッターと異なり、流れが必要なので、被写体ブレを起こす必要があります。その為、シャッタースピードをある程度遅くして、カメラを被写体の進行方向に向かって振ります。

　そうすると、被写体の速度に合わせてカメラを振ると、フォーカスがあった状態で、風景だけ流れるような撮り方ができます。この撮影方法を　【　流し撮り　】　と言います。モータースポーツでマシンが走っているときの写真などでも使用されますが、動体の動きを切り取る時の手法の一つになります。

　当然、人の目でそんな風景が見えている訳がありませんから、これも肉眼では見えない物を取る手法の一つになります。

その場所の現象を撮影する　　　　　　　　　　　

　カメラでは目に見えない物を撮影できますが、その中には、その場所に存在する現象を撮影する方法もあります。例えば、　【　蛍　】　の撮影などがそうですが、これは星野撮影と全く同じで、スローシャッターと増感の組み合わせのみで撮影します。

　この時に、単体だと、数個の光しかありませんから、ここで、星野撮影と同じように　【　比較（明）　】　合成を行います。星野撮影と蛍の撮影は、長時間の増感＋スローシャッターでの撮影で、枚数を多く撮影して、それを合成して仕上げますが、これは、蛍のいる場所の印象は、長時間露光で刻めるものではないので、そう言った合成によって質感を出す事になります。

　これで、多くの蛍が飛び交う状態を刻むことになりますが、I枚の写真では刻み取る事ができない、蛍の光の軌跡を大量に刻んでいるような状態が肉眼で見えているわけではありませんから、これは、その場所に現象を撮影する手法になります。

　次に、目に見えない物を撮影する事例の代表例のような物が、天体ですが、これは低照度なので肉眼ではほとんど見えませんし、日本だと光害が凄いので、基本的に見えない物の方が多いです。

　天の川も、田舎に行っても、見えにくい場所が増えていますし、空を見たらそれが見えるという訳でもありません。むしろ、多くの場合、天の川を確認する場合だと、うっすらと大きな靄が伸びているように見えるはずです。

　それを増感と長時間露光で撮影すると天の川が見えてくるのですが、露光時間を短くして枚数を撮影して合成することでディテールを出す事ができます。これについても、見えない物を取る手法ですが、天の川よりも淡い、アンドロメダ銀河などは、枚数を撮影して天体写真で行う補正を行い枚数で露光時間を稼がないと質感が出ません。土星の輪も同様ですが、かなりの枚数を撮影してウェブレットなどを使わないとしっかりとしたディテールが出ないので、これも肉眼で見ている物と実際に写真として完成している物では異なります。

　これも、その場所に存在する現象ですが、それについても目では見えない物になります。

天体の場合　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　前述のように天体撮影を行う場合、肉眼で見えない物を撮影することになりますが、基本的に、人を撮影する焦点距離よりもはるかに長い焦点距離を使います。その為、焦点距離の桁が二つくらい違うような物を用います。星雲や星団もそうですが、月も同様の天体になります。

　月は、肉眼で見える天体ですが、

のように鮮明に見えることはありません。これについても、肉眼で見える被写体ですが、こんな感じに見えることはありませんから、肉眼では見えない状態を写真で撮る事になります。

　天体写真が肉眼で見るのと異なるのは、光の絶対量が異なるので、ディテールを処理によって出しているからなんですが、そのまま追尾をすると有害光の栄養を受けるので、長時間露光で撮るのは適さない為、天体写真は特定の露出の写真を何枚も追尾しながら撮影します。その写真のシーケンシャルのような複数枚の写真の露光時間の合計が実際の写真の露光時間と同じになるので、その写真を合成することによって露光時間を稼ぎます。スターストリームで特定の露光時間以上にせずに、枚数で撮影する理由も同様で、長時間露光を行うと有害光で空が白くなってしまい星がくすんでしまう為です。そうなると、絞るなどして撮影するしかありませんが、絞った場合には、暗い星が見えなくなるので問題が出てきます。その為、暗い星の流れも入るような条件にすると、枚数を撮影するしかありません。

　スターストリームの撮影を行う場合に、ワンショットで露光時間を特定の長さにすると星がしっかりと見えますが、露光時間を長くすると逆に見えにくくなるので、そう言った撮影を行います。また、枚数を撮ると動画の素材に使えるので、

のようなことができますが、これも特定の露光時間のショットを複数枚撮影して比較（明）合成を行ったものになります。

　写真の場合、この動画の最終フレームの辺りの状態で切り取る事になりますが、

のような感じで撮る場合だと、露光時間は短くして露光時間と同じだけのインターバルが入ると困るので、NR処理を入れずに撮影することになります。

　当然、空を見てもこんな感じの空が見える訳ではありませんし、

のように見えることはまずありませんから、肉眼では見えない物になります。

　星の入った風景写真で、星が大きく写っている物を見たことがある人も多いと思いますが、そうした写真は、ピンボケなわけではなく、フォーカスが来る場所にはしっかりとフォーカスが来ています。これも肉眼では見ることのできない物が写真になっていますが、これについては、通常の星景写真の撮り方にフィルターワークが加わった物になります。

フィルターワーク　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　スマホやタブレットでもクリップ式のフィルターだったり、スマホの場合だと端末に対応したケースにコンバージョンレンズやフィルターを装着できる物がありますが、フィルターを使うと効果が変わります。

　デジカメの場合だと、超望遠デジカメや高級デジカメでフィルター対応になっている製品でしかフィルターを用いることはできませんが、そう言ったフィルターを使用できる製品だと、撮影時の状態とは異なる写真が撮影できます。

　先ほどの、　【　星が大きく写っている星景写真　】　ですが、これは、フィルタ―を用いて撮影が行われています。この時に使用するフィルターが、　【　ソフトフィルター　】　で、これを用いると、全体的にユルい感じになるので、星がフォーカスアウトしたような状態になりますから実際の星のサイズよりも大きな発行体として撮影できます。その為、こうしたものが肉眼で見える訳もないですし、当然、カメラだけで撮れるものではありません。

　写真を撮る時には、薄明の時に撮影場所に行って、日の出の後の写真を撮ったり、日没の数時間前にそこに行って構図を決めて、そこで日の入りまでの時間の写真を撮ると、夜と昼の境界線が産まれ空は赤と青のグラデーションで染まります。これが日の入り、日の出の方角でしっかりと出るので、その瞬間を狙うとそう言った空の色を切り取る事ができます.

を見てもらうと、空の色がグラデーションになっているのが確認できると思います。（この2枚はPanasonic Lumix DMC-TZ85で撮っています。）色だけを強調すると、

のような空の色の変化が出ます。これはフィルターなどを用いたモノではなく、自然現象として晴れた日で太陽が見えていれば毎日起きている物ですが、トワイライトフィルターを使うと、色彩が変わってきます。

　あと、

ですが、ハーフNDを使うと、状態が変わります。後処理でグラデーションで同様の処理を加えると、

のような感じになります。位置を変えると、

のようになります。ちなみに、ハーフND相当のフィルター処理をかける前の状態は、

になります。（ここまで明るくした後に、フィルターをかけています。）

このようにフィルターを使うだけで結果がかなり変わってきます。また、調整をする場合にマスクを使うと、

のような感じになりますし、

のようにすることもできます。写真や動画の調整をする場合、色々な処理が可能なので、元の素材の階調が多く、調整幅が多い状態のほうがいいのですが、こうした色の協調を行う場合だと、彩度が低く階調はできるだけ多い状態で持ち帰るほうが調整幅が広がります。その為、写真撮影ではRAWを用いたほうが良く、動画の場合だと、LOGで持ち帰ったほうが、テイストを決める場合の選択肢が増えます。

　フィルターを使う場合、露出がオーバーになって白トビする条件を回避する為に、アンダーになるようにカメラにサングラスをかけて撮るような方法を使います。これがNDフィルターになりますが、日食の撮影では、レンズの前面にNDフィルターを設置してセンサーやシャッター膜を守って撮影することになります。あとは、レンズが壊れるのとフィルターが壊れるのでは、フィルターのほうが安価なので、保護フィルターを用いることになりますが、魚眼レンズにはそうした物が適応できませんから、特定以上の焦点距離の場合だとそう言った保護用のフィルターがあります。MCプロテクターと言う名称の物がそれです。

　フィルターの場合、円変更フィルターがありますが、これの名称がPLフィルターと言う名称になりますが、釣りなどで使用される海を見た時に光の反射で海中が見えなくなるのを防いでくれる眼鏡と同じ原理のものがこのPCフィルターになります。フィルム製品だとPLフィルターをそのまま購入すれば問題がりませんが、デジタルだとフィルム用の物だと画質に悪影響が出るので、デジタル用に設計されているPL-Cフィルターを用いることになります。

　これは　【　サキュラーPLフィルター　】　と言う物になりますが、回転させることで光の強い反射などを軽減してくれます。その為、植物を取る時に、油脂成分の多い葉は、光が当たると白く光沢が出ますが、そう言うのを消してくれます。また、透明度の高い湖を取る場合に、俯瞰で撮ると空の映り込みなども入ってしまいますが、透明度と湖面の状態を基準に撮る場合だと、被写体が決まっていますから映り込みは不要になります。しかし、カメラのレンズは光の状態を正確に伝える為、こうした、その視点で見た状態をそのままセンサーに光の波長として伝達します。そうなると、映り込みもその環境で発生している物理現象ですから、当然のように記録されてしまいます。しかし、透明な湖の湖面を取る場合には、それは不要な情報なので除去する必要がありますから、そうなると、その光の反射の情報を除去する必要が出てきます。

　こうした場合に、PL-Cフィルターを用いて、最適な状態になるまでリングを回して最適な場所にしてからシャッターを切ると、映り込みのない写真が撮れるようになります。当然、これは、動画でも同じなので、PL-Cを使うとその効果を得る事ができます。この映り込みの除去というのは後処理ではどうにもならない場合がありますから、撮影時に除去できる場合にはフィルターで除去しておいたほうがいい場合もあります。この特性があるので、テカリなどもPL-Cフィルターで消えます。

　NDフィルターやPLフィルターのように撮影時に使用していないとどうにもならないものもありますが、トワイライトフィルターやハイエンサー系のフィルターのようなカラーフィルター系の物は用途で変わってきます。例えば、風景の色と被写体の色味を帰る場合だと、カメラ側の色温度＋ライトの色でコントロールできますが、それよりももう少し強くしたい場合だと、ハイエンサーフィルターを使います。こうした撮影を行うと、カメラが得ている色自体が色ガラスを通過した物なので、RAWであってもその色で記録されます。その為、そこにライトで色補正がかかるような色を入れるとその色被りが補正できます。その為、撮影段階で色をコントロールする場合にはそう言った撮影も可能です。

　デジタルでそうした処理を行う場合、マスクを用いて処理をすることになりますから、画像だとレイヤーとマスクの生成で行う事になりますが、これに時間軸が付いたものが、After Effectsのロトブラシです。（サイバーリンクから出ているColor Directorにもロトブラシの機能がありますね。）

　Blenderでも動的なマスクの生成ができるので、フレームを進めなが違和感のある部分はマスクを調整して処理ができるのですが、被写体にマスクを作って、その後にそれぞれの素材に対して異なる光の状態を指定すると、その光が常に当たる事になります。トロブラシで抜いた素材と背景に違和感があると問題があるので、同じカメラの状地で、背景の撮影も別に行っておいて、合成する必要がありますが、この状態にすると、オーバーレイトラックは2本になります。この素材は、画像処理では、レイヤーが2つあるのと同じですから、個別のレイヤー同士の補正ができるので、異なる色彩の背景と被写体の状態を作れます。その為、カラーのピックアップとは異なる（映画シンシティーとかで、特定の色だけピックアップされて赤色が強調された表現がありますが、これと同じような表現をする場合、ポスプロの場合だと、彩度のコントロールでそう言った表現ができます。）ので、モノクロのシーンにカラーのアクターが動いているような動画を作れます。これもグリーンバック撮影を行ってクロマキーで抜いて合成したり、動的なマスクのロトブラシを使って、アクターと風景を構成する素材を用意出来れば、そうした処理が行えます。

　ハイエンサーフィルターについては、JPEG記録だと、デジカメの撮影モードの中にカラーフィルターが実装されているので、それを用いることでその色をかぶせることもできますが、RAWの場合だと撮影時時の光の状態がそのまま必要な場合だと、フィルター＋ライトの組み合わせになります。この場合、バランスの調整などを行うRAW現像だけで済ます場合だと、撮影時に完結させておく必要がありますから、フィルターを用いますが、動画のグレーディングやコンポジションの工程が入る場合と撮影で完結させる場合では、撮影方法が異なります。

　レッドハイエンサーとかイエローハイエンサーとかは紅葉で使いますが、赤や黄色が弱い場合に使用します。ハイエンサーフィルターを使う場合ですが、フィルターの色の補色が入る場合には使わないほうがいいので、紅葉＋ハイエンサーや黄葉＋ハイエンサーの場合だと、空を入れないように撮ったほうが綺麗に撮れる気がします。空を入れると、空の色まで赤かぶ利するので、強いフィルターをかぶせるほど空の色に違和感が出てきます。こうした場合、後処理だと、赤の系統の彩度のみ揚げたり、ハイライトとシャドウを変更したり、やコントラストで調整すると状態が変わりますが、色がくすんでいる場合、露出がオーバー気味なのか、もしくは光の影響なので、PLフィルターを使うと改善します。あと、PLフィルターでも白っぽい場合だと、レンズフードを付けるか、カメラに映らないように気を付けながら、太陽の光の影響がレンズに来ないように恒になるような物を用意してハレ切りをしてみると状態が変わります。それでも白っぽい場合だと、シャッタースピードを上げてみると改善します。

　撮り方によって見えてるものと異なる状態になるので、見ている色と同じか、それ以上にする場合には液晶モニターで見ている状態がそれになる必要があります。ハイエンサーをかぶせる場合は見ている物以上に綺麗に見せる手段ですから、これもその場所に行って肉眼で見たモノとは異なります。

　光源が十字の光が出るクロスフィルターなど肉眼で見えない物ですし、絞った時の光芒なども肉眼では見えない物になりますが、フィルターは　【　強調　】　で使用できるので、レンズがイメージセンサーに光の波長をそのまま撮Ⅾ桁状態では撮れない物を撮影する場合に使用します。

写真や動画の場合　　　　　　　　　　　　　　　　　

　基本となるのは、冒頭で書いた通りで、ファインダーや液晶で見てその状態が撮れる機材を用意して、その状態を意図した状態にしてから撮るというのが基本ですが、撮影方法によっては見えない物もありますから、経験則やイメージでそれを作って行かなくては作れない物も存在します。

　また、肉眼とカメラのレンズは全く違いますから、肉眼で見た状態をそのまま撮ると焦点距離が固定されるので、写真や映像の面白さがなくなってしまいます。と言うよりも、スマホで写真を撮っている段階で肉眼とは異なる写真や動画を撮っている（焦点距離による奥行き感が全く違いますから）ので、肉眼で同じように撮るというのはその条件で崩壊する訳です。ｗ

　あと、見ている物よりも綺麗に撮る手段が多く存在しますから、より綺麗な状態で撮る場合にはどうすればいいのか？を考えると、シャッターを切るだけだとそうならない場合が多いです。というのも、構図を決めてシャッターを切るだけだと、露出の部分が抜け落ちるからです。

　また、その条件だと、カメラ任せの撮影という事になりますから、被写界深度や感度による明るさやシャッタースピードによるブラーのコントロールなどが全てカメラ任せになっており、ホワイトバランスの指定までカメラ任せという事になります。

　その為、色彩や被写界深度のコントロールなどが全てカメラまかせになるので、それが撮れはしますが、意図したものと同じことになるのか？と言うと全く違います。これは、フォトレタッチもそうなんですが、

についても環境の色がこうなっているので、そう言ったグラデーションが出ているわけですが、自動でホワイトランスを指定した場合には、

のようになります。その為、

にすらならないので、その場所の光の状態とは異なる物になってしまいます。明るくするとさらに顕著になりますが、

になるので、太陽の光の影響の大半が消えてしまいます。ここまで青いと赤の要素がないので色彩を強調しても、

のような自然が作っている光のグラデーションが出ることはありません。

　その為、撮影時に最適な色彩で撮る必要がありますが、その色と言うのは光の波長なので、光の状態を最適な状態で持ち帰る必要があります。

　そう考えると、フレーム内の状態を作る作業も必要ですし、光の状態を作る必要もありますから、カメラ任せでシャッターを切るだけだと取れない物の方が多いのも確かです。自動補正についても、今回の事例のように、破綻する場合もありますから、

【　その色彩に対してその自動補正を適応して大丈夫なのか？　】

を考えて使うことになります。

　とりあえず、肉眼で見たモノをそのまま撮るというのは、焦点距離が違うと破綻する内容なので、見たものが綺麗な場合の色彩の話でしかそれはあり得ませんから、その風景をどう言った焦点距離で、どう言った露出と構図で撮れば、その場所で感じた印象を切り取れるだろうか？を考えて撮る事になります。

　その為、見たままの物がカメラを使えば撮影できるというのは、ただの間違いなので、見た物をどう撮るのか？を表現する機材がカメラという事になりますし、見たままの焦点距離だけで撮ると、焦点距離による強調がなくなるので、作る上での自由度や面白さは減ってしまいます。

　カメラを購入した場合に綺麗に撮れる比較的安価なレンズだと何がありますか？と言う場合だと、多くの人が間違いなく、

　【　35mm換算で50mmになる単焦点レンズでF1.8位の物を探すと

　　　結構きれいに撮れて被写界深度の調整ができるレンズが揃っ

　　　ている　】

と教えてくれると思いますし、予算があるようだと、

　【　F1.8は撒餌レンズなので、単焦点レンズだとF1.4より明るい

　　　レンズのほうが解放から絞り込んだ時の描写がいいので、

　　　予算があるようだと、50mmでもそっちのほうがいい　】

と教えてくれると思います。APS-Cだと35mmとか50mmの単焦点レンズが比較的安価で、マイクロフォーサーズだと25mmを使うと標準になるので、そうしたレンズを選ぶ事になりますが、これはあくまでもお求めやすい価格の単焦点の選択なので、意図した焦点距離とは異なる訳です。また、APS-Cの製品で50mｍを購入すると、これは焦点距離が75mm（キャノンの場合は80mm）になるので、ポートレートが面白いレンズになるので、肉眼に近いのは35mmや30mm位になりますが、その人が綺麗に撮りたい焦点距離が、

　【　レンズキットのワイド端だと狭いので、スマホのようにもっと

　　　広く撮りたい　】

と言う条件だと、50mｍは条件から外れますから、購入しやすい蒔絵レンズと目的としているレンズでは全く異なる場合がありますし、ダブルズームレンズキットでそう感じるという事は、肉眼で見ている物とは異なるフレーム内の状態での不足感を感じるので、そう言ったレンズ構成を選択しているという事になります。50mｍがコスパがいいので、それを使うと見た目に近く撮れるので便利なことは便利ですが、そのレンズを使う事と、意図したフレーム内の状態になるレンズ構成と言うのは異なるわけです。

　その為、見たままで撮れるというのはただの誤認（というか、物を知らない人が色彩や空気感とかのその場所の質感の話を、理解もせずに、肉眼で見たモノが撮れると誤認して広めているのがその出所のようにも思えますが...。というか、それはただの間違いですが。）なので、見える物を取る場合には、ファインダーや得ｋ使用モニターで見えているフレーム内の状態を意図した状態にして撮る事になります。この時に見えている通りに撮れて貰わないと困るので、液晶やファインダーの設定を最適に調整する必要があります。

　ただし、見えない物をイメージで撮るという事も写真ではできますから、そうした場合には、撮る時のプランを考えて構築する作業が発生します。その為、写真や動画では　【　見えない物を撮影する　】　こともあります。その一例が　【　ライトペインティング　】　ですが、これはライトを持った人が動いているようにしか見えませんから、写真のような状態の物が存在しているわけではありません。その為、見えない物や存在しない物を写真として作る事もできるので、見えてみる物や存在している物しか撮れないわけではなく、光の波長があればそれを切り取れるので、肉眼で見えないし、存在しない物でも光の波長があれば撮れてしまうので、そうした表現手法が存在します。

■ カメラで撮れる物

■　カメラで撮れる物