一日目は阿蘇の北に広がる瀬の本高原で宿泊。翌朝、牧ノ戸峠からくじゅう連山の主峰久住山に登り、坊ガツルの山小屋に宿泊。最終日は長者原に下り、星生温泉で山の疲れと汗を流します。

瀬の本高原ホテルの背後にはくじゅう連山、正面に阿蘇山を望みます。

ホテルからの阿蘇五岳は雄大です。さらに、囲いのない露天風呂からはパノラマの絶景。

多くの人で賑わう牧ノ戸峠。ここから久住山まで標高差450m。

三つの峰が特徴的な三俣山。振り返れば遠く由布岳も。

星生山への分岐。久住山はまだまだ遠いので、あきらめて引き返す人がいました。

避難小屋手前から久住山の全景です。東洋のマッターホルンと呼ばれているとか。

硫黄山の荒々しい山肌が現れました。今も噴煙を上げている活火山です。

すぐ隣が九州本土最高峰の中岳。くじゅう連山には標高1,700m以上の山が9座もあります。

岩だらけの急坂を登り山頂に立てば、九州全部を眼下に収める壮大な風景。

牧ノ戸峠から軽装で登る人であふれています。

噴煙を横目に北千里浜から坊ガツルに下ります。急斜面で転倒してケガをした人がいました。

標高1,303mの法華院温泉山荘に到着。看板が輝いています。

実は天台宗のお寺です。

源泉かけ流しの湯船には、糸クズのような湯の花が舞っています。まさしく秘湯。

山小屋というより旅館ですね。収容人数は120名。

手作りの夕食。

人気の山小屋なので著名人もたくさん訪れています。

坊がつる賛歌は芹洋子の紅白出場曲。9番まであるとは知らなかった。

建物の随所に歴史を感じます。

二階建て個室棟(上)と三階建て大部屋棟(下)に分かれています。風呂への道順がまるで迷路。

個室が多いので空いていればゆっくりできます。当然ですがテレビはありません。

6月は大船山や平治岳がミヤマキリシマでピンクに染まります。

すがすがしい朝の山荘。背後の三俣山が大きい。

山荘正面の立中山から朝日が昇ります。左手にぶら下がっているのは杉玉?

この時期、坊ガツル湿原はススキの季節。

春の野焼きがこの景観を維持しているそうです。

雨ケ池は池というより湿原です。

長者原まで下ってきました。やまなみハイウェイで別府や熊本へ。

星生温泉からはくじゅう連山が目の前。ここでも湯船に湯の花が舞っていました。

コミュニティバスで豊後森へ。JRに乗り換えて博多へ。

登山口周辺には筋湯、寒の地獄、黒川など魅力的な温泉が多く、別府や湯布院から九州横断バスを利用することもできます。温泉めぐりをしながらくじゅう連山を歩くのも面白いかもしれません。

【2023.10.31-11.2】

 

九州横断バス | 産交バス情報サイト(熊本⇔阿蘇・湯布院・別府)

コミュニティバスの運行について | 九重町(豊後森・豊後中村 ~ 牧ノ戸峠)

高速バス情報|西鉄グループ(福岡・福岡空港 〜 杖立・黒川温泉・瀬の本)

 

 

 

最近、京都には個性的なホテルが増えてきました。今回泊まったのは2020年に誕生した校舎リノベホテル。京都河原町駅から高瀬川沿いに数分歩くと懐かしい趣の建物が現れます。正面がschoolhouse棟(旧校舎棟)で3階建て、新築のmain棟は8階建てです。

 

部屋は東向きで鴨川や東山が望めます。すぐ目の前が先斗町。宿泊したハリウッドツインの部屋は少し狭く感じますが、浴室は洗い場やレインシャワーがあり、こちらはゆったりしています。

 

1階には4つのショップと図書室があります。3階のラウンジはハウスワインとソフトドリンクが無料。隣のパティオは日が暮れると焚火に火が入ります。

 

ディナーはフロントと同じ8階のAnchor Kyoto。夜景を眺めながら食事ができます。

 

朝食は洋食2種類と和食膳から選べます。それぞれの小鉢の下に料理の説明がありました。

 

旧校舎をリノベしたschoolhouse棟です。往時の面影を色濃く残した畳敷きの自彊室。かつては道徳や礼儀作法の場として使われていました。

 

朝の先斗町を散策して祇園へ。四条大橋からホテルが見えます。

 

 

巽橋から花見小路を通って建仁寺、庚申堂、八坂神社へ。

 

 

京都河原町駅から徒歩3分、東山ビュー、レトロな建物と焚火のある屋外空間。観光よりもゆったりした時間を楽しめる希少なホテルです。

 

三重と奈良の県境にある二つの絶景スポットを訪れる。関西から日帰り圏内だが、せっかくなので赤目温泉に一泊して、のんびり秋の風景の中を散策することにした。

 

赤目渓谷はオオサンショウウオの棲む清流。伊賀忍者、百地三太夫が修行したと伝わる。土産物店には忍者グッズが並んでいた。外国人の団体と出くわしたが、彼らのお目当ては紅葉か忍者か。

 

久しぶりの雨の中のハイキングとなった。昨日まで晴天が続いたので水量が少ない。

 

落ち葉を踏みしめ、深山幽谷の風情。布曳の滝は神秘的な雰囲気で、高千穂峡に似ている。

 

赤目温泉山水園に一泊。名張駅から曽爾高原までのバスは一日一本。ススキの大草原を歩くためにこの時期だけは人が多い。

 

春に高原全体で山焼きをすることでこの景観が保たれている。地元の人の苦労に感謝。

 

倶留尊山の山頂を目指す人は少ないが、亀山峠までなら観光客でも楽に登れる。お亀の湯に入浴後はファームガーデンで昼食。

 

関西屈指の渓流とすすきの高原は、近鉄でひと駅乗るだけ。こんなに近いのに不思議なことにガイドブックには別々に載っている。地図を眺めて、両方つないだら面白いプランになるのではと思いついた。バス便が少なくて不便だが、大阪鶴橋から特急で50分なので、気軽に行けるのがいい。

倶留尊山の二本ボソからは曽爾高原の全景が一望のもと。

【2022.11.13-14】

 

【近鉄】曽爾高原ススキ見物に近鉄「散策きっぷ」

【近鉄】赤目四十八滝へ近鉄「探勝きっぷ」

【赤目温泉】伊賀路の和風別荘スタイル温泉旅館 赤目温泉 山水園

今回は苔に囲まれた湖畔の山小屋と、生演奏が聴ける山頂小屋をつなぐ「森と湖のコース」を歩く。最終日は霧ケ峰を散策して蓼科温泉に泊まる少しゆるめの山旅。

茅野駅で昼食をすませて、アルピコ交通麦草峠線に乗り込む。標高2,090mの白駒池入口でバスを降りて湖畔までわずか15分。あたりは緑色の世界で、苔むした癒しの空間が広がる。シラビソやコメツガと相性がいいのか、倒木の苔に発芽して森ができていくらしい。白駒池周辺は観光客も多い。少し歩くと「もののけの森」がある。

時間があるので、主稜線の高見石まで往復する。金子貴俊さんが番組で紹介していたヒカリゴケを探しながら、40分ほどで高見石小屋。その隣に巨大な石積みの高見石。てっぺんで展望が開け、眼下に白駒池と森が見下ろせる。急に雨雲が近づいて夕立となり、高見石小屋で雨宿り。この時期は決まった時刻に夕立がやってくるらしい。

湖畔の白駒荘は新館と本館が並び、本館個室は割安で泊まれる。薄暗い照明と、歩くときしむ床板には時代を感じる。夕食は山小屋とは思えないほど豪華で、自家菜園の高原野菜と牛肉の鍋。創業百周年だそうで、4代目小屋主の挨拶があった。室内は綺麗でスタッフもテキパキして気持ちがいい。山小屋だが風呂もある。消灯後に雷雨。

山小屋前の湖畔でご来光を見る。湖面から立ちのぼる霧が幻想的だ。今日は麦草峠から雨池と双子池を経由して、北八ヶ岳北端の蓼科山をめざすロングコース。出発の準備をしていると「熊がガケから落ちたらしい」という声が聞こえてきた。そう言えば熊鈴を持った人が何人か…。まあ、聞かなかったことにして先を急ごう。

あたりは、ひときわ森が深く、倒木や切り株を苔が覆いつくしている。すれ違う人もいない静かな道。分岐の道標に、うそのくち集落とある。まるでむかし話に迷い込んだような不思議な村名だ。突然空が明るく開けると雨池に出た。この先も木の根と倒木の道。カラ川橋を渡り双子池までしばらく林道を進むが、炎天下の林道歩きはつらい。

双子池で昼食をとり、ササ原を進むと蓼科山登山口の大河原峠へ。山頂までいくつかルートがあるが、ここからが高度差が最も少ない。山頂まで400mを登る。峠の山小屋は廃業しているのか近づけない。北八ヶ岳の山小屋は20近くあるが、個性的な山小屋が多く、日帰りコースでも山小屋泊で登る人が多い。

将軍平からは岩の急登。岩場で息を切らしていると「今から山頂ですか?大変ですね」と声をかけられて、一気に疲れてしまった。励ますつもりだったのだろうが逆効果ですよ。人気の山なので登山者が多い。振り向くと結構高度感がある。男性が「高所恐怖症だよ、おっかないよ」とつぶやきながら追い越して行った。彼は何しに山頂へ?

やがて傾斜が緩くなると山頂部。蓼科山頂ヒュッテは小さいながらピアノの山小屋として有名で、スタッフによるピアノの生演奏がある。いつもお客にどうやって運んだのか聞かれるので「私がかついで上げた」と答えることにしているらしい。先日、調律が終わったばかりだというが、ここまで登ってくる調律師は大変だ。

部屋にはコタツと薪ストーブ。大きな空間を占めているのがETONEの巨大スピーカーと真空管アンプ、マランツのCDデッキ。CD持ってきましたかと聞かれたが、自分のCDがこの音響設備ではどう聴こえるのだろう。山小屋周辺にはヒメネズミを目当てにオコジョが現れるとか。絶滅危惧種なので、会えたらラッキー。

夕食時には「木漏れ日の中で」「千と千尋の、あの夏へ」のピアノ演奏があった。山上の素敵なディナータイム。今夜も消灯後に雷雨。

朝の目覚めはモーツァルト。近くの最高点でご来光を眺める。気温12度。スタッフが石丸謙二郎さんお勧めのフォトスポットを案内してくれた。直径百mほどの平らな山頂部は岩がゴロゴロ。これ全部溶岩。白馬乗鞍岳に似ている。中央部がへこんでいるのは火口の名残か。ジャムになるガンコウランの実を採ってもらったが、まだ酸っぱい。

目の前には浅間山。遠く御岳、槍・穂高岳、昨年登った鹿島槍ヶ岳まで一望できる。八ヶ岳に隠され富士山は見えない。下山は将軍平まで戻り、七合目登山口までは倒木だらけの道。さらにゴンドラで蓼科牧場に下る。ここからバスで霧ケ峰高原の車山へ。リフトで楽々と山頂を征服後、バスで蓼科温泉・滝の湯で山の疲れをいやす。

北八ヶ岳のど真ん中でバスを降りたら標高2千m!ここをスタート地点にしない手はない。ピークは目指さずアップダウンをさけて、森と湖と百名山をめぐりたい。あれこれ考えるうち今回のコースになった。北八ヶ岳は登山口が多く多彩なコースが組めるし、温泉のある山小屋も多いので、色んな楽しみ方がある。ぜひまた訪れたい。

霧ケ峰のスカイテラスに立つと、八ヶ岳から蓼科山までワンショットで収まる。

【コース】白駒池入口…高見石…白駒荘(泊)…麦草峠…雨池…双子池…双子山…大河原峠…将軍平…蓼科山・蓼科山頂ヒュッテ(泊)…将軍平…七合目登山口…御泉水自然公園駅

【2022.7.31-8.3】

 

【公式サイト】北八ヶ岳 白駒荘 ~ 白駒池畔に建つ唯一の宿

【公式サイト】蓼科山頂ヒュッテ ~ 八ヶ岳連峰最北端、蓼科山の山頂にたたずむ小さな山小屋です

大歩危駅を昼過ぎのバスで発つ。特急が停車する無人駅は珍しい。見ノ越までバスは曲がりくねった祖谷の山間を進む。平家落人伝説の地で、山の傾斜地に集落が散在している。乗客は私たち以外におばあさんが一人。阿波池田まで2時間かけて買い物をしてきたようだ。「どこに行くの」と話しかけてきた。私たちがこんな田舎に何しに来たのか不思議だったのだろうか。見ノ越に近づくと紅葉シーズンのためマイカーであふれていた。

 

登山口の見ノ越から西島まで標高差300m。歩いて登れば1時間だが、登山リフトを使えば15分で着く。西島から山頂まで道は3本あるが、道を間違えて直登コースに入ってしまった。トラバース道で軌道修正して大剣神社に出た。ご神体らしき大岩の下に神社がある。このあたりは道が縦横にあるのでどこを歩いても1時間以内で山頂にたどり着く。

 

西島から40分ほどで剣山と次郎笈(ジロウギュウ)の分岐に出た。次郎笈までミヤマクマザサに覆われたなだらかな道が続く。ここは太平洋からの風の通り道なのか、強烈な風に指先の感覚がなくなった。あまりの寒さで次郎笈登山をあきらめ、峠手前から分岐に引き返して剣山を目指す。歩いた距離はわずかなのに疲れた。山頂は平らで広く、木道が一帯に敷かれている。私たちが山頂に到着するのを待っていたかのように周囲はガスに覆われた。

 

山頂直下、神社に並んで頂上ヒュッテがある。この雰囲気は石鎚山と似ている。数年前に改装されたそうで、木をふんだんに使った屋内は気持ちがいい。わずかな追加料金で個室も使える。風呂があり、アルコールの種類も多い。さらに山頂測候所のおかげで電気が通っている。消灯時間がないので個室で一晩中飲みあかせる。私たちのようなのんびり登山派にはありがたい。田中陽希さんが訪れた際の写真が飾ってあった。外気温5度。

 

翌朝は雨。雨上がりを待ってふたたび山頂を散策。雨の後の次郎笈が美しい。遠く三嶺からの縦走路が望める。南は太平洋、北は瀬戸内海。天気が良ければ大山まで見えるそうだ。リフトの休憩所に観光ポスターがあった。農作業中のお年寄りの写真と「ななめの畑で、真直ぐ生きる」のキャッチコピー。祖谷の生活をうまく表現している。リフトで下山。

 

 

 

見ノ越からバスで新祖谷温泉のホテルかずら橋へ。昼食プランは、でこまわし、祖谷蕎麦、シシ鍋、アユの塩焼き、…、豪華だ。祖谷にはケーブルカーに乗って露天風呂に行くホテルが2軒あるが、ここはそのひとつ。遊園地のアトラクションのようで面白い。天空露天風呂からは目の前に里山風景が広がる。緊急事態宣言が解除されてから連日満室だとか。お昼の客が私たちだけなで、秘境の生活を根掘り葉掘りたずねたが、ていねいに教えてくれた。

 

フロントでかずら橋まで行くと伝えたら、ありがたいことに車で送ってくれた。かずら橋を見るための橋が隣に架かっており、夕暮れ時なのに観光客が多い。平家の落人が追っ手を退けるために、切って落とせるカズラで作ったのが始まりだとか。現存するのは3つだが、この橋を渡るために遠くから多くの人が訪れる。小さな橋を観光資源にした発想は素晴らしい。

 

夕方、大歩危駅で観光協会の方が私たちの忘れ物を手にして待っていてくれた。祖谷の人は素朴で親切だ。

「ななめの畑で、真直ぐ生きる」

過疎地、限界集落などと呼ばれる村の暮らしを垣間みた山行でした。

【2021.10.30-31】

後立山連峰の北部を代表するのが白馬岳なら、南部を代表するのが鹿島槍ヶ岳。双耳峰は谷川岳や筑波山などいくつかあるが、鹿島槍ヶ岳が一番整っている。過去に八方尾根から見た姿が気になっていたので、ワクチン接種が終わったタイミングで登ることにした。二つの峰は南の爺ヶ岳から見るのがバランスが良くて美しい。北の五竜岳からはリスの耳のようで表情が少し異なる。

初日は松本市内を観光。まずは駅ビル内で名物の山賊焼きで昼食を済ませる。国宝の旧開智学校や松本城、レトロな中町通りを散策。街中をぶらぶらするだけで半日は過ごせそうだ。大糸線に乗り、信濃大町から路線バスで大町温泉郷へ。今日の宿は、ときしらずの宿織花。大町市観光協会の宿泊キャンペーンに加え、東京など緊急事態宣言が出ている影響でずいぶん割安で宿泊できた。

 

翌朝、立山黒部アルペンルートの玄関口扇沢駅へ。この道路は元は黒部ダムの工事用だったそうで、おかげで登山口までのアクセスが楽になった。10分ほど道を戻ると標高1,350mの登山口。ここから歩きやすいと定評の柏原新道で稜線の山小屋まで標高差1,100mを登る。登山口からいきなりモミジ坂の急登。左手に時折針ノ木岳や扇沢駅が見えるが展望はほとんどきかない。

 

整備されているとはいえ、崖や道の狭い危険個所もある。雪渓が融けたガレ沢とクサリ場を過ぎると稜線は近い。危険な崩壊地がいくつかあるが、コースタイムどおり4時間で標高2,460mの種池山荘に到着。右に進めば爺ヶ岳や鹿島槍ヶ岳、左に進めば針ノ木岳や蓮華岳。この山小屋の名物はNHKで紹介された限定20食の手作りピザ。私たちはドリップコーヒーを頂いたが、おいしかった。

 

山小屋は今年は完全予約制で、宿泊者は定員の半分以下の約30名。改装されたようで建物内は新しい。6畳の部屋はカーテンで4つに分割されているので、ひとり1.5畳。感染対策のおかげで快適な空間が確保された。宿泊者には水1ℓが無料で支給される。夕食は5時、消灯は8時15分。今まで泊まった山小屋で一番早い。宿泊制限のためか賞味期限切れのアルコールが値引き販売されていた。

 

翌朝4時には出発する人もいる。鹿島槍ヶ岳から五竜岳や唐松岳へ向かうのだろう。部屋の窓から富士山がくっきり見えた。その左右には八ヶ岳と南アルプス。右手には針ノ木岳と蓮華岳。部屋からの絶景展望はありがたい。5時朝食。いつもなら山小屋で8時頃までのんびり過ごすのだが、9時以降はガスが出るという情報にあわてて出発。山小屋を出るとクマ出没注意の看板に出くわした。

 

今日は鹿島槍ヶ岳に登り冷池山荘に戻るだけなので、のんびり稜線歩きを楽しもう。標高2,000m超えの登山道は富山と長野の県境でもある。しばらく進むと目指す鹿島槍ヶ岳の双耳峰が見えてきた。振り返るとハイマツの緑に種池山荘の三角屋根。その後ろに剱立山。遠く槍穂高。絵画のような風景が広がる。行く手には爺ヶ岳の緩やかな登りが続く。すれ違った登山者から山頂からの景色がすばらしいと教えられた。楽しみだ。

 

登山道の左にお花畑が現れた。7月ならもっと多くの高山植物が咲き乱れていたことだろう。1時間の登りで爺ヶ岳南峰2,660mに到着。剱岳や鹿島槍ヶ岳がひときわ大きい。富士山から目を下に移すと大町市の街並み。さらに20分余り進むと爺ヶ岳中峰2,669m。一般に爺ヶ岳と呼ばれているのはこの中峰で、ここから見る鹿島槍ヶ岳が一番美しい。ハイマツに覆われた登山道も美しい。

 

短時間で剱立山や鹿島槍ヶ岳の絶景が眺められるこの山は、初心者にぜひお勧めしたい。緩やかで登りやすい。楽に登れる割に眺望がすばらしい。富士山、八ヶ岳、南アルプス、槍穂高、剱立山、噴煙を上げる浅間山、…。爺ヶ岳にはピークが3つあるが北峰には道はない。安曇野からガスが上昇して鹿島槍ヶ岳を覆いつくした。鞍部の先には一瞬目を疑うような崩の上に冷池山荘が見えてきた。この山小屋、大丈夫なのか。

 

冷乗越まで下り、冷池山荘まで登り返す。ここで荷物を預け、鹿島槍ヶ岳を目指す。山小屋を出てすぐにお花畑が現れた。1時間ほどで布引山。残念ながらガスが出てきて視界がきかないので、足元の高山植物ばかり見ながら歩くことになるが、これも楽しい。このあたりは非対称山稜で東側斜面が恐ろしいほどスパッと切れ落ちている。冷池山荘を出て2時間半で鹿島槍ヶ岳2,889mへ。山頂には外国人がひとりだけ。

 

ここから稜線を引き返して冷池山荘に戻る。ガスの流れが激しいようで、山小屋の前から鹿島槍ヶ岳が時折姿を見せる。冷池山荘は種池山荘と同じ経営で、どちらも手入れが行き届いて気持ちいい。食堂の壁に掲示されていたのは「黙食」の二文字。この時期に山小屋に泊まれるのはありがたい。今日の宿泊は40名ほどで、定員の半分以下。この時期に利用することで山小屋の経営に少しは貢献できたか。

 

翌朝、山小屋の窓から種池山荘がくっきり見えた。爺ヶ岳周辺には2つ山小屋があるので安心して登れる。最終日は種池山荘から扇沢に下るだけ。7時、山小屋を後にする。途中、爺ヶ岳南峰に再度登った。週末が近いので今日は登山者が多い。柏原新道を下りきった後、舗装道を扇沢まで1㎞登り返すのが結構つらい。バスで大町温泉郷へ。日帰り温泉「薬師の湯」で入浴。山の汗を流す。

 

トトロの耳、鹿島槍には以前から登りたかったが今まで登る機会がなかった。山頂はガスに覆われたが、爺ヶ岳からの展望がすばらしく、十分満足な山旅となった。制限の多いこの夏に山に登れてよかった。最大限の感染対策をし、ワクチン接種を終えての山行であり、山小屋の対応も十分すぎるほどだった。来年は今まで通りの登山が楽しめたらと願うばかり。

【2021.8.2-5】


蝶ヶ岳は上高地から近く、穂高の展望がすばらしい山です。短時間で稜線に立てるので北アルプスの入門コースとされています。観光客であふれる河童橋から1時間で今日の宿明神館に到着。夕方、近くの明神池と穂高神社を散策しました。



翌朝はハルニレに囲まれた徳沢から長塀尾根にとりつきます。名前どおりの長い尾根で、木の根が露出して展望もなく、ひらすら長い登りが3時間以上続きます。




妖精の池を過ぎるとまもなく森林限界を抜け、広々とした稜線に出ました。ハイマツの稜線をたどり蝶ヶ岳ヒュッテへ。蝶ヶ岳はなだらかな山容で、南に続くどっしりとした常念岳が大きな姿を見せています。

〈 蝶ヶ岳稜線から常念岳 〉

東に安曇野、雲海の向こうに浅間山、南に八ヶ岳、西は梓川をはさんで槍穂高。来年はどこに登ろうかなどと次の山行に思いを巡らすひとときです。

〈 八ヶ岳遠望 〉

この夏は快晴続きで、連日槍穂高が見えているそうです。すぐ目の前にそびえるのが穂高の4つの峰。

〈 朝日に染まる穂高 〉

朝5時、瞑想の丘で日の出を待ちます。ここは夜明けのドラマの特等席。東の空が刻々と色を変えていき、やがて雲海の先に太陽が現れました。



荘厳なアルプスの夜明け。振り返れば朝日に染まる峰々。


〈 槍ヶ岳へ続く稜線 〉

常念岳に続く稜線はなだらかで歩きやすそう。ここから槍ヶ岳までゆっくり歩いて2泊3日です。



梓川をへだてた槍穂高連峰の大パノラマ。

【2006.9.3-5】


富山から立山黒部アルペンルートで立山室堂へ。雷鳥坂を登り別山乗越から剱沢へ下る。翌日は剱岳を往復。三日目は剱沢雪渓を経て秘湯、阿曽原温泉まで下り、四日目は黒部峡谷の水平歩道を欅平へ。最終日は黒部峡谷鉄道で宇奈月温泉へ。


〈 剱沢のテント場 〉

室堂から剱沢に入る。夕食は恒例の焼肉。テント泊の初日は豪華にというのが私たちのルール。翌朝、軽装で剱岳をめざす。まず一服剱、さらに前剱と2つピークを越えなければならない。振り返れば目の前は残雪の美しい立山連峰。

〈 立山を望む 〉

前剱の2カ所の鎖場を過ぎ、避難小屋の建つ平蔵のコルを過ぎ、最難関はカニのタテバイ。高さ20mの岩場を必死で登りきると山頂まであと少し。祠の建つ山頂からは後立山の展望が広がる。剱岳の標高は3千mに1mだけ足りない。往路を剱沢まで戻りキャンプ場で二泊目。

 

翌朝、剱沢の雪渓をかけ下りる。長い長い雪渓で、下りきるまでにメンバー全員が一度は転倒した。真砂沢ロッジを過ぎ、二股では左手に三ノ窓雪渓とチンネ、八ツ峰を仰ぐ。岩峰が天を突く裏剱は迫力がある。流水で天然の流しソーメンを楽しんだ。

〈山頂からパノラマ 〉

仙人峠を越え、白い湯煙がたつ仙人湯小屋を経てさらに下り、今日のキャンプ地の阿曽原温泉に到着。剱沢から高度差1,600mをひたすら8時間も下った。この温泉は黒部川沿いの上級者向けルート上にあるので「日本一危険な温泉」と呼ばれているらしい。小屋から5分ほど離れた山中の露天風呂で汗を流す。



三日目、眼下に黒部川を見下ろしながら、断崖に削られた水平歩道を延々12㎞歩く。狭い所は肩幅程度で、つまづいたら数百m下の谷底へ。シジミ坂の急坂を下ると欅平。トロッコ列車で鐘釣温泉へ。ここの風呂は黒部川の河原の天然温泉。翌日、再び列車で宇奈月温泉へ。

標高3千mに満たない山だが、小説や映画に描かれているように最初は人が登れる山ではなかった。それだけに山頂に至るには難所が多い。この山は景色より登行のスリルを楽しむ山だと思う。立山別山まで足をのばすと剱岳の全景が広がるが、ここからの姿が一番かっこいい。

【1985.8.7-12】


北アルプスでは槍ヶ岳と人気を二分するといわれる白馬岳の定番コースを歩きます。白馬駅からのバスを終点で降り、今夜は原生林に囲まれた村営猿倉荘に宿泊。翌朝は大雪渓を登り白馬山荘まで。最終日は白馬山頂を踏んで小蓮華岳、白馬大池、白馬乗鞍岳、栂池自然園へと下ります。



 

翌朝、白馬尻で軽アイゼンを付けて長さ2㎞の大雪渓に取り付きます。山頂直下の白馬山荘まで標高差にして1,582mの登りです。ここ数日は雨の予報でしたが今日一日は持ちそうです。雪渓の上は汗をかかないのでありがたいですが、雪で冷やされた風が吹きつけてまるで冷凍庫の中。場違いなTシャツ姿は私だけで、ほかの登山者に「平気ですか」と声をかけられました。 





雪渓を行く登山者はまるで砂糖の上のアリの行列。雪渓を登りきった葱平は休憩をとる登山者であふれています。この先のジグザグの急登は足が棒になるほどきつく、歩くより休む時間の方が長くなります。稜線に山小屋が見えてからもなかなか距離が縮まりません。このあたりは高山植物が咲き乱れる日本有数のお花畑ですが、時期が遅いので咲いている花はちらほらです。 



村営頂上山荘で杓子岳が姿を現しました。稜線上は常に風が舞っていて、大雪渓からわきあがる雲を黒部の谷からの風が吹き飛ばしていきます。天気が良ければ360度の大展望なのですが残念です。標高2,832mに建つ白馬山荘の展望レストランで祝杯。まだ陽が高いので山荘のベンチで昼寝をしたり、高山の雰囲気を味わいながら時を過ごすことにします。



翌朝は白馬大池まで稜線散歩のはずが、朝からやはり雨。晴れていたら高山植物を眺めながらのんびり歩きたいコースです。霧雨の中、三国境の手前で雷鳥が現れました。ここから先、登山道は長野県と新潟県の県境を進むことになります。やがてガスが晴れ、きれいな湖畔の白馬大池山荘に到着。小屋の手前は一面のお花畑です。



白馬乗鞍岳は大きな岩がゴロゴロして実に歩きにくい。山頂を越えて岩場や雪渓を下り、天狗原の湿原を横切り栂池自然園へ。天狗原の下りで雷鳥の親子3羽が現れました。雨足はますます強まり、登山道はまるで川の状態です。栂池自然園からは観光客に混じってゴンドラリフトとロープウェーを利用して山麓へ。山麓駅近くの栂の湯温泉で山の汗を流します。 

【2009.8.5-7】


黒部源流域の雲ノ平はどこから歩いても2日はかかる北アルプス最奥の地。訪れる人も少ない静かな山域を山中3泊のテント泊としました。

名古屋から夜行バスで新穂高温泉へ。1日目は鏡平を経て双六小屋まで。2日目から「裏銀座コース」を進みます。三俣蓮華岳を越え、黒部源流から雲ノ平へ。3日目は祖父岳、野口五郎岳を経て烏帽子小屋まで。最終日はブナ立尾根を高瀬ダムに下り、七倉温泉からタクシーで信濃大町まで。延々40㎞を超えるロングトレイルです。 



初日は天候不順で、時おり雨の中を歩きます。間近に見えるはずの槍・穂高連峰はガスの中。双六小屋までの登りはザックに詰めた4日分の食料、テント、寝袋など20㎏の重みが肩に食い込む。小屋で山岳写真家の近藤辰郎氏に遭遇。夕方、雷雨警報が発令され、一晩中台風並みの風雨がテントを叩く。深夜、強風でお隣のテントが吹き飛ぶ。

〈 雲ノ平から水晶岳 〉

2日目、三俣山荘の展望喫茶で休憩後、黒部源流をひとまたぎして登り返すと雲ノ平の溶岩台地。テント設営後、午後のひとときを高山植物の咲くスイス庭園やギリシャ庭園で過ごす。雲ノ平は広大な湿原で、正面に水晶岳が雄大な姿を見せている。夕暮れの黒部五郎岳がひときわ美しい。

〈 祖父岳と黒部五郎岳 〉

3日目、祖父岳で天候が回復し、槍ヶ岳が姿を見せました。ぐるりを見渡すと遠く立山から水晶岳、黒部五郎岳、三俣蓮華岳、鷲羽岳、薬師岳、…。黒部源流を取り囲む百名山のパノラマ。水晶小屋付近は鼻をつく硫黄ガスのため草木が一本もなく、硫黄で崩壊した稜線が続く。野口五郎岳から先は槍ヶ岳を眺めながらおだやかなお花畑の稜線散歩。

〈 槍・穂高連峰 〉

下界を離れて北アルプスの真ん中で4日間過ごしました。初日は強風でお隣のテントが倒壊し、最終日はホワイトガソリンで私達のテントが炎上するところでした。テント生活ですから自給自足。衣食住は自分たちで運び、自分たちで作る。日の出前に起き、朝日に輝く稜線を歩き、日没とともに眠る「食う・寝る・歩く」の非日常な生活に体が慣れてきたら、実に体調がいい。

〈 黒部源流 〉

前半は天候に恵まれませんでしたが、長距離の山行を終えた達成感、充実感にひたることができました。いつか機会があれば少し足を延ばして「日本一遠い温泉」と言われる高天原の露天風呂に浸かり、のんびり山を眺めながらすごしたい場所です。

【1987.8.8-11】