力を持って生まれた日出一族の人間は、高校入学と同時に奨学生という名目で学費その他を全て日出本家が負担する代わりに、日出本家に居候をして力を操る訓練をしなくてはならない。
分家の次男である日出涼介もそのうちの一人であり、高校入学を機に琵琶湖畔の街・石走にある日出本家での生活をはじめる。
江戸時代そのままの城に住まう現当主の淡九郎、同い年の本家の息子・淡十郎、その姉で引きこもりの清子、謎のお手伝いさん濤子、その他大勢の使用人。
キャラの濃すぎる面々に振り回されながら始まった高校生活は、同じように力を持ちはるか昔から日出家と敵対する棗家の長男・広海と同じクラスになることから更なる非日常へと転がり始め……
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万城目学さんの最新刊です。
万城目さんは以前にも『鴨川ホルモー』や『鹿男あをによし』を読んで面白かったので、今回も期待していましたが…正直ちょっと期待はずれでした。
面白くないわけではないです。
『万城目ワールド』と呼ばれる独特の世界観は健在ですし、オチも驚きましたがきちんと伏線が生かされてたと思います。
力に関する解説も、クスッとしてしまうようなユーモアがありました。
ただ、以前読んだもののような切れ味がなかったように感じました。
全体的にどことなく冗長です。テンポが悪いとも言えるかも。
狙ってやったことなのかもしれませんが……そうだとしたら上手くいかしきれてないなぁと思います。
不思議な力を持つ人の話という意味では『鴨川ホルモー』と似てますが(力の内容はちょっと違いますが)ホルモー程練られていなくて、結局なんなの?という印象。
キャラクターメイクも今回はイマイチ。
主要人物達も像を掴むのに暫くかかりましたし、意味深な感じで出てきた棗の妹なども活躍するのかと思いきやそうでもなく。
一つ一つの要素は面白いのに、全部合わせたらなんとなく焦点がぼけてしまったように感じます。
もう少し要素を絞ったら面白かったんじゃないかなぁと思うと残念です。
面白いお話が書ける作家さんだと知っているだけに余計にそう思うのかもしれません。
もう一度言いますが、面白くないわけではないです。
ただ、万城目さんならもう少し書けたのではないかと思うと辛口にならざるを得ませんでした。
そういえば、購入時、映画使用のカバーがかかっていました。


