松山空港から羽田空港へ。

夕方から外国人政策研究所主催、

 坂中英徳「日本型移民政策」解説

のためである。

これは中川秀直議員という

「強力な実行力!」

をもつ援軍の加勢にもとづき

自民党・外国人人材交流推進議員連盟の政策提案となり、

福田首相に提出され、検討課題に入っている。 


司馬遼太郎的余談。

世界産業史に燦然と輝く19世紀のUK産業革命。

シュンペーターが主張した

「イノベーション!」

が開花した時期だった。

とりわけ鉄鋼の大量生産を可能とした

 ベッセーマー製鋼法(転炉法)

は偉大であり、

発見者のヘンリー・ベッセーマーは、

 世界産業史の偉人

として後生にその名を残すことになる。


しかし、発見した当初から威力を発揮したわけではない。

実用化のためには技術的改良が必要だったのである。


これは政策にも言えることだ。

完璧なものなどあろうはずはない。


しかし、始めてみなければ何も始まらない。

ベッセーマーが製鋼法を発見し、世に問うた結果として、

鉄鋼の大量生産が可能となった。

 「日本型移民政策」

の大いなる意義は、

「日本における移民政策の嚆矢である!」

と国会議事堂の前で叫ぶことができる。


またベッセーマーだけが転炉法を発見したわけではなかった。

同時期に、米国のケリーも発見していたのだが、

新しいイノベーションに懐疑的な周囲の嘲笑に耐えられなかったため、

研究に邁進することができなかった。


転炉法の最初の難問は、生産地毎に異なる鉄鋼原料の性質。

たとえば、ブリテン島産の鉄鉱石の大部分が大量の燐を含んでおり、

鉄鋼の原料には不適切だったという。

これは初期の転炉法に基づく生産過程で気づいてたことであった。


これを政策にあてはめると、

鉄鋼原料の性質が原産国毎に異なるのと同様、

「移民政策は、国毎に異なる!」

というのが、

「周恩来も納得!」

といえるはずだ。


移民国である米国やオーストラリアには米国型移民政策・豪州型移民政策、

UKにはUK型移民政策、

フランスにはフランス型移民政策、

ドイツにはドイツ型移民政策があるはずで、

とにもかくにも日本型移民政策にケチをつけるのは、

「いったいドイツだ!」

と二文字屋ギャクで怒鳴りたくなるのが硬派感傷主義である。


さて、この転炉法に最適な鉄鋼原料は、アメリカ産の鉄鉱石。

1856年、ベッセーマーは、米国にベッセーマー転炉法を特許申請。

米国での実用化は、10年後の1966年。

上記のケリーが

「米国における転炉法の第一発見者としての優先権!」

を主張し、訴訟に発展したからである。


信念が足りず、行動力に欠け、忍耐力がない奴は、いつもこれだ。

途中で逃げたり、投げ出したり、裏切ったのに、

注目されたり、軌道に乗り出すだしたり、成功の兆しが見え始めると

「あれはもともとオレ様が主張したことだ!」

とか、

「あれはボクタンのアイディアだった!」

とか、

「あれはオタ~様のお考えであそばしたわ~」

と、

「毛沢東もビックリ!」

なことを言い始める。


「だったら最初から最後まで

 やりとおせばよかっただろう~ガンダム!」

と反論するのが硬派感傷主義である。


信念があればあらゆる矛盾を我慢できる。

行動力があればあらゆる困難に立ち向かうことができる。

忍耐力があれば逆境を克服することができる。

それが一つでも欠ければ、

イノベーションは成就できないので

「蒋介石もガッカリ!」

ということになる。

でもそれは自分の責めに期することであり、

「挫折の美学はサルも食わない!」

のである。


坂中英徳編「日本型移民政策」は、

「わが日本に明治以来、移民政策なんてのは、まったくな~い状況!」

の渦中で

「そんなの関係な~い!(このギャグはつい最近知った)」

という態度をとらず、

「人口減少が確実な日本に絶対必要!」

という信念、

「誰もやらねばオレがやる!」

という行動力、

「あらゆる困難が行く手を遮ってもゴーイングMyWay!」

という忍耐力の成果であるのだ。


さて米国の特許を取得したベッセーマー製鋼法。

1967年頃から米国の有力製鉄業者が我先にと導入。


しかし、一人だけ例外がいた。

無一文の貧乏なスコットランド移民から上昇して、

「アメリカン・ドリーム!」

を成し遂げ、

後の世に

「鉄鋼王!」

の尊称を受け、

獲得した富の大部分を還元することで(図書館や文芸施設等の文化施設を寄贈。カーネギーホールは有名)

「米国起業家の模範!」

を示し、

同時代のJ・D・ロックフェラーや後の世のビル・ゲイツ等の

慈善事業に影響を与えた偉大な起業家

 アンドリュー・カーネギー

その人であった。



以下続く