「模倣犯」の続編だと意識し過ぎると、ボリュームに物足りなさを覚えてしまう。基本的に前畑滋子視点からだけで話が進むので、些か都合が良すぎるというか。しかしこれは飽くまで「模倣犯」が念頭にあるから。普通に読めばいい。
他の宮部作品もそうだが、超能力を扱って過剰さがなく、しかししっかりと重要に描かれている。謎を紐解いていく過程が興味を途切れさせないのは勿論、うそ寒さを感じるほど怖い。そしてラストの救い。登場人物中随一の同情を誘う敏子だからこそ(他の人物達も基本的に気持ちの良い人が多いが、長所もあれば短所もある。そこがいいんだけど)、心から良かった。
一つだけ心残り。川崎先生の犯罪は、せめて万引き疑惑とか、その辺りに留めて欲しかった。横道だから解決されるわけがない前提で児童への性的虐待はきつい。
女子高生を中心とした短編を6本収録した本。この短編集にこのタイトルを付けるセンスが好きだ。一人ひとり、全然違う顔と背景を持っているのに、同じ服を着て同じ集団として扱われる異空間。大人になってみると、まさしくファンタジーだと思う。
そんな彼女らのナチュラルな、孤独、自由、傲慢、親密。それらが、江國香織らしい美しい筆致で、瑞々しく描かれる。優しさと残酷がごく自然に同居する。江國作品にいつもある、緩やかな狂気と絶望は、本書では影薄い(諦観はあるかな)。望むと望むまいと未来を持つ彼女らの、「いつか記憶からこぼれおちる」かもしれないが、確実に存在する刹那。
朝日新聞社のニューヨーク特派員が彼の地で綴り、ウェブサイトで連載していたコラムが原形の本。何でこんなタイトルにしたかね。ムーア監督の本の邦訳タイトルが「アホでマヌケなアメリカ白人」だと出て来るので、そのオマージュなのだろうが、誤解される確率が非常に高いと思う。最終的には反語的意味合いだが、このタイトルで敬遠してしまう読者も多いだろうに。

閑話休題。序盤こそ、日本人と日本の風習を小馬鹿にしないと気が済まないタイプという感じでいけ好かないが、後半、イラク侵攻に話題が移ると、俄然読み応えが出る。連載期間が01年からなので、当然9.11からのアメリカについての記述は多い。あのアメリカの熱狂的愛国については、国としての政策はああだとして、一般市民レベルでは反戦家も相当数いるのではないかと当時から思っていた。が、そうでもないらしい。9.11直後に「No War」の落書きだとか、僅かながらに見られるものの、日本で報道されていた通りの盲目的(外国人からすれば)愛国が罷り通っていたらしい。アメリカが、自分達の正義を強く信じており、アメリカ流正義を世界中が享受すべきであるという使命感の下に世界中を侵攻している、という話は古くから聞く(司馬遼の
お二人の掛け合い、とても面白かった。頭の回転が早いんだろうなあ。ただ、やはりラジオ番組の書籍化なので、文字だと可笑しさがストレートに伝わらない部分も多かった。
リリカル。限りないノスタルジー。自身の気持ちに素直な文章だなと思いました。家族や周囲の人達への愛情には驚かされますが、自分や周囲を肯定するのに他人を貶めるのはどうにかならないものか。共感や況してや感動は出来ませんでした。


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アメーバって、携帯からは新規カテゴリ作れないのかな?不便だな…。