自分の花—――雑草のうた
わたしは道ばたの雑草です
名前はありません
図鑑で調べればわたしにも
名前はあるんでしょうが
一度も名前を呼ばれたことがありません
そしてだれからも
相手にされたことがありません
だからわたしは
自分の名前を知りません
いま歩道のはじのコンクリの
わずかな割れ目がわたしの住み家
そこがいのちを授かった場所ですから
土も殆どありませんし
肥料などは全くありません
その上 学校に通う子供達の
運動靴によく踏まれます
それでも ぐちや泣きごとを
言ってるひまがありません
冬がくるまでに
一粒でも 二粒でも
具体的にタネを残してゆくために
いま一生けんめいに
花を咲かせているんです
だれにも見てもらえない
小さな小さな花ですが
いのちいっぱいの
自分の花 ‼
踏まれても踏まれても
くじけることなおない
雑草の花を ‼
相田みつを




