じゅんちゃんと❤︎2つの宝もの    P66
     その頃、弟の裕次郎は野球部の名門校である、日本文理高校に入学した。当然のように、部活は野球部に入るのだろうと思っていた。中学生活の殆どを野球に費やしてきた。どんなにか野球が好きなんだろうと、ところが努力努力で掴んだポジションを…いとも簡単に、「高校の部活は、バスケット部にしたよ。」と、もう野球の事など、これっぽっちも頭には、無かった。せっかく頑張った野球を、なぜ捨てるのか、❤︎じゅんちゃん❤︎には、到底理解ができなかった。性格は飽き性でもないし、いい加減でもない努力家なのに。それは、高校へ入学するまでの3か月の社会人バスケとの練習が、裕の次の目標になったのだった。慎重183センチの体とバスケのセンスが良い事を社会人バスケの選手に認められて、「高校ではバスケット部に入れよ。」と勧められた事と、自分でもバスケットのゲームをする位に好きだった事もあって、即座に「バスケットで頑張ります。」と先輩方に言い切ったのだ。そして推薦、特待の多い40名の部員の中に飛び込んだのだった。裕次郎は、どんな状況であろうと、どんな人達がいようと、自分の信念を貫く子だった。キツイ部活に飛び込んだが、当然全く新人扱いだった。周りを見ても知らない子ばかりだったが、相変わらずすぐに仲間ができて皆んなが裕次郎、裕次郎と、頼りにして来るのに時間はかからなかった。バスケット部の休みと言えば盆、正月の合わせても2~3日しかない程、練習、試合の繰り返し、毎日のように朝練もある。それでも、ベンチ入りを目指して1日も休む事なく、頑張り続けていた。そして、高校に入学して、初めての期末テスト、テスト前でも部活は休み無しで、家に帰って来ても勉強より、まず寝てしまうほど疲れていた。中間テストは、中学の時と変わらず、数学以外は2と3の成績で、この子は大学に行けるのかと、いつも心配していた❤︎じゅんちゃん❤︎だった。ところが…p67に続く。