オリンピックのテレビで、競技を終えたばかりの選手にインタビューするシーンがある。

たしかに一番の臨場感があるタイミングだ。

中には、最終競技を終えたばかりなのに、次の事(去就じみた事)を質問するシーンもあった。

今夜のテレビでも、帰国後からずっと取材続きで休む間もないことは分かりきっているはずなのに、その事について心無い質問をしているシーンがあった。


   どうなのだろうか。

全くのド素人だからよく分からないが、インタビュアーの質というか何というか、どうも視ていて心苦しい。

テレビというかインタビューする側に何かシナリオ的なものがあって、そのシナリオに沿うようなコメントを無理やり喋らせようとしているように感じるものもあった。

また、率直なコメントを引き出したいがためにインタビューが率直すぎるようなものもあったように思う。

競技を終えたばかりで息も絶え々々の選手を捕まえて、それを気遣うというか敬意を払うことはそっちのけでいきなり「今後の…」などと切り込むようにマイクを向ける。

視ていられない。

インタビュアーの質が落ちたというか最近のテレビ全般というか、人付き合いや人間関係、社会全般的にどうも付き合いにくくなったような気がする。

こういうのを世知辛いと言うのだろうか。

私のつるんとした脳ミソでは何と表現していいのか貧相なボキャブラリーでは難しい。


   約20年ほど前、あるイベントでアナウンサー氏がアーティスト氏に
「わたしたち喋り手が、どんなに言葉を紡いでも紡ぎきれない感情や情景を、たった4分間の世界に表現されていて、その世界に引き込まれて涙するほど感動しました。」と話すとアーティスト氏は
「その歌い手をあなたのたった一言で『歌いたい』とその気にさせてもらうから歌えるんです。」と返した。

お互いを尊敬しあえばこそのヒトコマだった。

そのアナウンサー氏が別のイベントでこんな事を話していた。
「例えば高校球児の目標がプロ野球選手とかメジャーリーガーだとすれば、わたしの目標はインタビュアーです。
初対面の人から本音を引き出すって、本当に難しいことなんです。」

というのを思い出した。


   今回のオリンピックのメダル獲得数は最多ということだし技術力は上がったと思うが、メディアの方は何というか甚だ疑問符を多く感じた大会だった。

いずれにしても、思いやりと尊敬をもってマイクを向けて欲しいものだ。