忘れもしない4年前の2月末日

その当時、夜勤明けの仕事終わりに、上司に呼び出され大阪転勤の内示を受けた。

断れる理由もなく、しぶしぶ承諾した。

その内示を受ける前日、その後結婚する
元嫁さんに付き合って欲しいと告白したばかりだった。

そして、その内示を受けた日に彼女から告白に対して返事がしたいと連絡をもらっていたが、こちらも追加で伝えなくてはならない事態になってしまった。

もちろん、結果として付き合うことになるのだが、僕は結婚前提で付き合うことに決めていたため、時を見計らって婚約して結婚しようと考えていた。



がしかし、転勤の際に転居となるため家を決めなくてはならない。

独身であれば、借り上げ社宅、結婚及び婚約していることを証明可能であれば社宅に入れると言われた。

内示を言い渡され、家を決めなくてはいけない期間は20日間しかなかった。

僕は悩んだ。

付き合って20日で結婚なんてあり得ない。
そう思っていた。

もちろんその方が、いろんなことが好都合であったことは明白だった。
嫁さんに、どうするのか考えてと言われた。

僕は一日中考えた。

考えた結果、プロポーズすることに決めた。

そして、僕は結婚した。

付き合ってわずか20日間の出来事である。

もちろん、それ以前に知り合いではあったものの
親密な関係になったのはその前1ヶ月ほど。

そこから目まぐるしいくらい毎日が過ぎ去り、東京から大阪へ僕は一足先に引っ越し、落ち着くまもなく仕事していた。

追うように2ヶ月遅れで嫁さんとの同居が始まった。

そして、人生の岐路がここにあった。

妊娠していたことがわかった。

そして、翌年2月に待望の第一子が産まれた。

もうこのとき、僕と嫁さんとの間には少し溝が出来ていたのだろう。

嫁さんから言わせれば、あなたは変わってしまったと言われた。

自分では自覚していなかった。

当時を振り返っても変わっていたのかわからないが
心に余裕が全くなかったのは確かである。

初めての子育てに奮闘し、里帰り出産をしなかったため嫁さんを助けるべく育休も取った。

子育てをしていると今まで生きていた人生の速度は倍くらいの早さで時が過ぎるのを感じた。

大変だったが充実していたのだろう。

つづく