フランス生まれのおしゃれな絵本アシェット婦人画報社の絵本シリーズ
『もうすこし まってくれたら・・・』(文/スージー・シック 絵/モニク・トゥヴェ 訳/いまい あや アシェット婦人画報社 2006年10月初版)

原題 Attends
Text/ Suzy Chic
Illustrations/Monique Touvoy

フランスの作家による絵本。

まいあさ大好きなちいさな木のもとへ訪ねていく。
そして「もうすこし まってくれたら・・・」とある約束をします。
その約束を守っては さらに約束をして、それを守って
 
 読み終わると気持ちがほぐれてぽかぽかした感じになります。

色数が少ない分、読み手の想像力が喚起されるようです。
もうすこしまってくれたら…/スージー シック

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『ぼくは くまのままで いたかったのに・・・・』(イエルク・シュタイナー文/イエルク・ミュラー絵 /おおしま かおり訳 ほるぷ出版 1979年10月初版)

5歳から
日本図書館協会選定図書 日本子どもの本研究会選定図書

原題 Der Bar,der ein Bar bleiben woltre

スイス出身の作家のコンビによる絵本です。

 森が開発され壊されて、新しく工場が建設され環境が変化してしまうことへの警鐘を絵本で表現しています。

 冬眠していたクマ。冬眠の間に森が壊され、巣穴の上には工場が建てられ人間達が働く場所になっていました。クマが冬眠から目覚め、外に出ると工場に働く人間に出会います。
 「クマ」だと言っても取り合ってもらえず「怠け者の労働者」という扱いを受けます。
 クマはクマであることを主張しても周囲が人間としてしか認めず、労働者として働かせます。
 しかし、冬眠の時期を迎えクマは激しい睡魔に襲われ解雇されます。
 自由の身になれたクマは自然のある場所を求めていきます。

 シュールです。クマの哀しみや管理されて無表情になっている労働者の表情など暗い色調の中で冴え渡っています。

ぼくはくまのままでいたかったのに……/イエルク・シュタイナー

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ぼくはくまのままでいたかったのに… [ Steiner,Jorg.(1930-) ]

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りんごの季節の秋を迎えると、毎年アップルパイ作りに夢中になります。
アップルパイのために紅玉を買い込み、たくさんフィリング作りをし保存します。
そんな時期に出会った絵本を。

『パパがやいたアップルパイ』(ローレン・トンプソン・文 ジョナサン・ビーン・絵 谷川俊太郎・訳 ほるぷ出版 2008年9月初版)

原題 THE APPLE PIE THAT PAPA BAKED
Text copyright 2007 by Lauren Thompson
Illustrations copyright 2007 by Jpnathan Bean


これはパパがやいたあまくてあつあつアップルパイです。
(本文より抜粋)


この文がページをめくるたびに登場し、まるで韻を踏んでいるかのように繰り返されます。

 たったひとつのおおきなアップルパイ。
 そのアップルパイに使われたあかくておいしいりんご。  

 りんごの木がおいしいりんごの実をつけるには、自然の力が必要です。
 いろんな天候に見舞われながら、実らせ美味しいリンゴが収穫できる。
 その喜びに満ち溢れた文体。さすが谷川俊太郎氏の訳だけあって詩的です。
そして躍動感に満ちた、人物動物の表情豊かな素敵なイラストです。



 パパがやいたアップルパイ/ローレン トンプソン

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パパがやいたアップルパイ [ ローラ・トンプソン ]

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講談社の翻訳絵本 PURE SELECTION (ピュア・セレクション)
『テーブルのしたにはふしぎがいっぱい』(オレリー・ギユレ/絵・文 石津ちひろ/訳 2002年10月初版 発行:講談社



原題 QUE SE PASSE=T-IL LA-DESSOUS?
by Aurelie Guillerey

オレリー・ギユレ氏はフランスの絵本作家。

 両親に連れられて、子供はマルタン一人だけの レストランでの大人の会食に参加。
大人同士の会話が弾む中、マルタン(男の子)は食事も進まず一人つまらなくてテーブルの下をのぞくことにします。
 テーブルの下ではいろんな姿の不思議なものたちが次々に現れます。
 
 マルタンの気持ちと共に、大人の時間に退屈をしていた子供の想像の世界をやわらかい色調の絵が
見事に表現されています。
 同系色の中にあるアクセントカラーがとてもおしゃれです。

 一人っ子だとこういうことありそう! と我が子を大人の場所に連れて行った時のことを思いながら楽しみました。


テーブルの したには ふしぎが いっぱい (講談社の翻訳絵本ピュア・セレクション)/オレリー ギユレ

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おはなしのたからばこ16『森にめぐるいのち』(片山令子・文 姉崎一馬・写真 フェリシモ出版2008年9月初版)


今回図書館で私が借りたのはB6サイズ版の小さな写真絵本です。
コンパクトなサイズなので、鞄に入れて、外出先で”木”や”森”が恋しくなったらそっと開くと
リフレッシュできるかもしれません。
 
文体に登場する漢字にはいっさいルビがふられていないので、中学生以上を読者対象にしている印象を受けます。

おおきな木が倒木し、そのことから始まる森の世界の輪廻。
そのくりかえしで、あらゆるいのちがめぐり回っていることを
素敵な写真と相乗して伝えてくれます。


 森にめぐるいのち (おはなしのたからばこ)/片山 令子

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森にめぐるいのち (おはなしのたからばこ 16)/片山 令子

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『よみがえれ、えりもの森』(本木洋子・文 高田三郎・絵 新日本出版社2003年9月初版)

緑化活動が必要な理由。
わたしたち人間が壊してしまった森を再びよみがえらそうとする活動
生きていく上で木を使い利用していって砂漠化してしまった場所が、世界のあちこちにあることを知らされています。

 北海道の「えりも砂漠」を半世紀かけて再生した実話を絵本にしたものだそうです。

 こんぶ漁がさかんだったえりも町。木を生活に多用し続けた結果、明治時代の終わりには海沿いの森が壊れ砂漠化したそうです。
 砂漠化しは浜では日高山脈から吹く風と海風がぶつかり、砂塵が舞い海も赤くにごり、魚も住まなくなりコンブも質が落ちてくるようになりました。
 追い詰められたコンブ漁師たちは、力を合わせて森をとりもどそうと緑化するよう取り組みました。その苦労など足跡が語り描かれています。

 地道な息の長い「緑化活動」を実例をもって教えてくれ、子供にもわかりやすい絵本かと思います。

よみがえれ、えりもの森/本木 洋子

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よみがえれ、えりもの森 [ 本木洋子 ]

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りんごの季節になりました。
図書館で秋の特集コーナーで出会った絵本です。

えほんとなかよし60『りんごの木』(後藤竜二・作/佐藤真紀子・絵 ポプラ社2000年3月初版)

「おれ、」とある1本のリンゴの木が語ります。
 たくさんリンゴの実をなるくらい大木になったリンゴの木

「おれ、……」といろいろ話してくれたこと
 木を植えたじっちゃんの命より長く、そして村の人たちが農業をやめて町へ去ってしまったこと。
 それでも大地に根を深く張り巡らせて生きている木。

 ある日重機で倒されそうになる出来事があり、りんごの木は行動にでます。
 移動できないりんごの木が自らの意思で大地から離れます。

 離農すること、そして人の手入れがなくなり荒れてしまうこと
 木を主体としているため、その分リンゴの木との人間の関わり方が客観的に見えてきます。

 

 りんごの木 (えほんとなかよし)/後藤 竜二

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『少年の木 希望のものがたり』(マイケル・フォアマン=作・絵 柳田邦男=訳 岩崎書店初版2009年9月10日)
こどもにすすめたい本2010

原題 a child's garden Copyright2009 Michael Foreman

いつまでも戦争が続く場所に暮らす少年の物語
そこは鉄条網がはりめぐされ、区切られた向こう側からは兵隊が見張っている。
以前は自由に行き来できた場所が分断された地域。

 過酷な状況で小さな木の芽を見い出し、その生を育むために水やりを続ける少年。
 やがて木は大きく成長します。一度兵士によて抜かれた木。
 でもこぼれた種からまた新たな芽が。

 絵は局所的に小さな木の芽だけ緑色に着彩され、木が枝をぐんぐんのばしていくと共に緑の面や地面の色が増えて、蝶や鳥、未来を担うであろう子供達が集う木の周囲は色が豊かです。実に緑から希望を感じさせます。
 反面ガレキなど壊された街などの戦争で荒れた場所、支配する側に守られている場所には色がありません。色彩の放つ温かさが放つ平穏な一瞬を見事に表現しています。

 分断されても、ちいさな命を育み未来への希望を失わない少年の心
 自分が平和な国に住んでいることを意識し、そのことへの感謝と共に、
 人間同士の紛争という特殊な状況においても 自然界には破壊されないものが存在し、
 私達に勇気や希望を与えてくれることを投げかけてくれる絵本です。

少年の木 ~希望のものがたり~/岩崎書店

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『森の水はうたうよ はじめはポツン!』(かみやしん 岩崎書店のびのび・えほん6 初版2001年6月30日)

 どのページも水を感じる絵
 共通して 本のタイトルである”森の水”に溢れている世界。
 絵の具のニジミ・ボカシの地に コラージュが多様された独特な描き方です
 色は空模様を感じさせ、太陽光や曇り空、雨空の天候の移ろい、そして水が滴る野や森の姿

 文章よりも絵に目を奪われてしまう絵本です。

 お話は、乾ききった大地や森が一転し 夕立に見舞われ水の恵に自然界の生き物が喜んでいる様子を描いています。
   
 森の水はうたうよ―はじめはポツン! (のびのび・えほん)/岩崎書店

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『おばけリンゴ』(ヤーノシュさく やがわ・すみこやく 福音館書店初版1969年3月31日世界傑作絵本シリーズ・ドイツの絵本)

全国学校図書館協議会選定
読んであげるなら4才から じぶんで読むなら 小学校中級むき

原題Das Apfelmannchen by Janosch
Originally copyright 1965 by Nord-Sud Verlag,Switzerland

作者ヤーノシュ 
ポーランド生まれ。仕事のためにドイツに移り住みほど独学で工業デザインの仕事に携った後、絵本作家・画家として創作活動に。本書は世界7カ国で発行(奥付けより抜粋)

あらすじ
ワルターのりんごの木には花も咲いたこともなく一度も実をつけたことがありません。
隣の庭のりんごの木にはたくさん実がなっていても。
 あるとき、ワルターはお願いごとをします。
 その願いは叶うのですが思いもしない方向にお話が進みます。
 
割と粗いタッチの筆使いを感じる絵です。複雑に重なり合うキャンバス上に混色された深い色彩が、絵本の各場面の空気感や風や室温など、体感できるような錯覚に導いてくれます。

 隣の芝生が青くても欲を出すこともなく、ほんのささやかな願いごと。
 それが叶っても主人公が望んだささやかなものではなく、とんでもない苦労を背負い込むことになる始末。
 結果的には国を救う役目を果たせ貢献できたので、めでたしめでたし。
 ささやかな願いって なかなか叶えることが難しいのかもしれないと 気付きを与えてもらえた気分です。


おばけリンゴ (世界傑作絵本シリーズ―ドイツの絵本)/福音館書店

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