あたしは、産まれなかった子だった
そう母親に
言われたのは、あたしがまだ18の
時だった
おばあちゃんに堕ろすと言ったら
おばあちゃんが
姉を殺してから
お腹の赤ちゃんを殺しなさい!
と、言われて
仕方なく産んだのよ
そう母親は、あたしに言った
あたしは、その時
笑いながら
そうだったのー?
って、言った
それしか浮かばなかった
コノヤローとも
言えなかった
そして、あたしは
自分自身を、傷付けた母親から
どう、自分自身を守ろうか
考えた
答えはこうだった。
母親は、母親でなく
一人の人間なんだな
人間は、完璧ではないから
この人は、人を傷付ける事が
平気で出来る人間なんだ
と
母親を、一人の人間として
見る事によって
母親の言動を許せてきた
あたし
しかし、今
あたしの気持ちは
変わってきている。
高次脳機能障害で
痴呆の症状が酷くなってきている
母親に対し
介護をしなければならない
自分自身の立場に
嫌気がしてきている。
何も一人で出来なくなってきている
母親を見ては
ざまあみろと
思う自分がいる
残念だ。
そう思う自分自身の
心が残念だ。
なんて嫌な人間なんだろう
どうしたら良いんだろう
どうすれば
少しでも良い人間に
あたしはなれるだろうかと
悩んでいる
母親が、あたしに
してきた事は
これだけではなく
母親には、散々
傷付けられて生きてきた
あたしは
それでも介護をやめないだろう
