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テロリズムの罠(右巻、左巻)/佐藤優

テロリズムの罠 右巻 忍び寄るファシズムの魅力 (角川oneテーマ21)/佐藤 優

¥760
Amazon.co.jp


【レビュー】
すっかり売れっ子となった、佐藤優氏の新書2冊組(?)です。

概ね、小泉元首相が推し進めた新自由主義の崩壊、をテーマとしたものです。

ファシズムは個人的には興味深いテーマであり(賛成する、という意味ではなく)、オバマとファシズムを絡めた冒頭の部分は、非常に面白く読めました。

しかし、途中からは、ついていけなくなってしまいました。
というのは、宇野弘蔵、滝沢克己といった、思想家の書物を引用し始めたあたりから、内容が難しくなりすぎたからです・・・。

筆者も、そういった読者の質に配慮して、注意深く説明を続けているのですが、いかんせん素養がないと、読み続けることすらつらくなってしまうのが残念です。

私と同程度の素養しかない方は、飛ばし読みして、興味ある分野だけチェックする、というのが限界かもしれません。



【結論】
★2です。
次作は、もう少し噛み砕いていただきたいところです。

やっぱり板谷バカ三代/ゲッツ板谷

やっぱし板谷バカ三代/ゲッツ 板谷

¥1,365
Amazon.co.jp



【レビュー】
私は、ゲッツ板谷という人は割と好きでした。

元々は西原理恵子のおこぼれで作品を発表していたような人なのですが、多少なりとも独力で作品を出すようになり、その一つのピークが、本作の前作にあたる、「板谷バカ三代」という本だったわけです。

内容は、前作と同じ、筆者の家族・親族がいかにバカであるかを語るお笑い系エッセイです。
が、前作が、可能な限り第三者的な視点からエピソードを綴っていたのに対し、本作は、筆者の主観的なものがかなり入っています。

筆者の母親の死にまつわるエピソード、筆者の飼い犬の死にまつわるエピソードと写真。
そして、自分の病気に関する記述。


そんなの読んで笑えるわけがなく、むしろドン引きさせてしまうもので、非常に残念でした。

お笑い系ライターがこういう作品を出してしまうと、復帰するのは結構きついのではないかな、という感じがします。



【結論】
★1です。
この人の作品は、もう読まないかもしれません。

許永中 日本の闇を背負い続けた男/森功

許永中 日本の闇を背負い続けた男/森 功

¥1,890
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【レビュー】
世の中には、思想信条にはとても賛同できないけど一緒に飲んだら楽しそうなオッサンや、関わりたくないけど一緒に飲んだら楽しそうなオッサン、という人間がおります。

私にとって、前者の代表はブッシュ前大統領、後者の代表は許永中であります。


私も、今まで断片的に許永中やイトマン事件を題材にした文章を読んだことはあったのですが、許永中をダイレクトに題材にしたものは本書が初めてでした。

本書を読んだ印象は上記と同じであり、恐らくは関わった瞬間にがんじがらめにされるのでしょうが、人間的魅力があった人なんだろうな、という感じです。

本書に出てくる、許永中の道連れになったり、被害に遭った人たちも、多分、この人の魅力にやられてしまった人たちなのだろうと思います。


肝心の内容もそれなりに良かったかと思います。
特に、イトマン事件は、有名なのに事実関係を把握できていなかったので、その意味で本書は、関係者などを理解する一助になりました。

なお、読んでいて何となく違和感があり、読後しばらくしてから気づいたのですが、当時は携帯電話があまり普及しておらず、メールもなかったのですね・・・。
スキームを組むにも連絡をするにも、何かというと実際に人が良く動いている様は、時代を感じました。


【結論】
★3.5です。
昭和末期の妖怪の物語として、一読の価値ありだと思います。

犬はどこだ/米澤穂信

犬はどこだ (創元推理文庫)/米澤 穂信

¥777
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【レビュー】
2005年度「このミステリーがすごい!」で8位という評価を受けた作品とのことです。

ある青年が銀行を辞めて探偵屋を開いた。
そこに、別の青年がサブとして加わった。
2件の事件を、それぞれが担当して調査することになった。
ところが、その2件がリンクして・・・。

というのが大まかな説明になるでしょう。


で、リンク先のAmazonでは高評価のようなのですが、私は、個人的には、あまり楽しめませんでした。

まず、主人公のキャラがあまり立っていない。
探偵業を開くに至った経緯などはそれなりに書かれているのですが、性格や行動パターンなどがあまり明確でないため、入り込めませんでした。

また、ラストのプロットも、それなりに練りこんであるという印象は受けたのですが、唐突に過ぎた感があります。
要は、ある登場人物が色々と罠を張っていたわけなのですが、単なる一介の市民が、こんな複雑な罠を張るか?という疑問がちょっと残ってしまいました。

あと、細かいですが、主人公が時々対話するチャット上の話し相手が「いつ現実世界に出てくるか」と期待していたのですが、ついに出ずじまいで、脱力してしまったのも、あまり印象がよくなかった理由かと思います。
まあ、これは、個人的な思い込みなのですが。


色々書きましたが、筆力はあるのでは、という感じはしますので、あと2,3作は読んでから評価を決めたいな、と思います。


【結論】
★2です。
ブックオフで見かけたら、買ってみてもいいかと思います。

映画「黒部の太陽」全記録/熊井啓

映画「黒部の太陽」全記録 (新潮文庫)/熊井 啓

¥740
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【レビュー】
石原裕次郎と三船敏郎主演、今日に至るまでソフト化されていないという幻の映画「黒部の太陽」。
本書は、その監督を務めた熊井啓氏の回想録、のようなものです。

結構分厚いですが、後半はシナリオが転載されているので、本文自体はそれほどの量ではありません。


私自身あまりチェックしないで購入したのですが、熊井氏は、監督という当事者的立場にあり、その立場から書かれた書物です。
おおまかには、五社協定の縛り、撮影現場での苦労、等がメインとなっています。なので、「黒部の太陽」をめぐるアウトラインは分かります。

しかし、「黒部の太陽」をめぐる騒動や謎は、監督からの視点ではほんの一部しか分からないわけで。

日活サイドの主張や本音、撮影に全面協力した関電の視点、そして石原・三船両名の撮影にかけた思いなどに詳細に踏み込むことで、初めてその一端が分かる類のものと思われます。

上記のような、多方面から突っ込んでいれば「黒部の太陽」は相当面白い題材だと思うのですが、単なる年寄りの思い出話にとどまっていて、もったいない感じです。

映画の上映と同様、ジャーナリスティックな視点からこの題材を扱うのは最早困難なのでしょうかね。



【結論】
★1.5。
監督自身の言葉は貴重なモノなのでしょうが、あえて読む必要はないかと。
いつか、もっと突っ込んだ本が出れば・・と思います。

ヒップホップ・ジェネレーション/

ヒップホップ・ジェネレーション 「スタイル」で世界を変えた若者たちの物語/ジェフ・チャン

¥3,360
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【レビュー】
本文だけで747ページ、その他資料あり。
中身も、実際の重量も重い本でした。
私自身、読み通すのに3ヶ月以上かかりました。

要はヒップホップの歴史を追った書物なのですが、いきなり、ニューヨークが都市計画に失敗し、治安が悪化したという内容から入ります。

ここで、いきなり、本書がただのヒップホップ賛歌ではない、という警告が出されたようなものです。

その後も、ジャマイカのラスタの話、アメリカ国内の思想、政治の話など、周辺事情が非常に細かく描かれていて、読み応え十分。
特に、ロス暴動にからんだ、当時の黒人や韓国人に関する記述は、私自身よく理解していなかったこともあり、衝撃的なものでした。

肝心のヒップホップの描写も非常に丁寧です。
なかでも、Public Enemy と N.W.A.のメンバーの証言など、当時の雰囲気を表現する、非常に貴重なものだと思います。


ヒップホップも、ここまで議論の俎に乗っかる存在になったのだな、と感心するとともに、他の音楽ジャンルでも、こういった書物が出ればいいのに、と節に思いました。


【結論】
★5です。
CDを2枚スルーしてでも読むべきかと思います。

オバマ・ショック/越智道雄・町山智浩

オバマ・ショック (集英社新書 477A) (集英社新書 477A) (集英社新書)/越智 道雄

¥735
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【レビュー】
今、オバマの演説集とかが本屋に平積みになっています。
しかし、いくらアメリカとはいえ、異国の人のスピーチを金を出して買うものなんでしょうか、という驚きがあります。

それはさておき、本作は、そのオバマの当選を機に、アメリカの内部・現実・本音等を、学者である越智氏とコラムニストの町山氏が語ります。

町山氏が話している内容は、他の書物と結構かぶっているので、新鮮さはそれほどありませんでした。
ただ、越智氏が適宜口を挟んでくれているので、それほど損をした、という気分にはなりません。
むしろ、町山氏の本を読んだことのない人にとっては、いい感じに彼のアクが抜けているので、読みやすいかもしれません。

ちなみに、町山氏のブログは、彼のえげつない部分が前面に出ており、これはこれで面白いです。


一番感覚的になるほど、と思ったのは、オバマは、白人に引け目を感じさせない黒人である、という部分でした。
確かに、彼は金持ちに成り上がったのでしょうが、不思議とセルアウトした雰囲気はありません。
違和感のなさ、というキャラクターは、彼の今後の活躍に影響を与える重要なファクターかもしれません。



【結論】
★4です。
新書で読みやすいですし、損はないかと思います。
年月が経っても、アメリカの歴史的部分がありますので、風化しない部分もあるかと思います。

筋肉少女帯自伝/大槻ケンジ他

筋肉少女帯自伝/大槻 ケンヂ

¥3,000
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【レビュー】
最近復活した、筋肉少女帯のメンバーが語った、当時のバンドの内幕本です。

そもそもがバンド本、しかも、筋少はかなりファン層が限定されていたバンドなので、興味のない人は全く興味がなく、あまり売れるモノではないでしょうが、結構貴重な本だと思われます。


まず、大槻以外のメンバーが語っていること。
大槻は、自他共に認める結構なウソつきで、主観・客観をあえてごちゃごちゃにする癖のある人なので、その他のまとも(?)な人の言葉は結構貴重です。
特に、橘高氏の話は、精神的に参ってしまった話や脱退の経緯など、読み応えがあるというか、「なるほど・・・」と感じられます。

それと、地味ながら珍しい写真が結構入っています。
高校生時代のケラの写真がありますが、結構貴重ではないでしょうか。


大槻氏がああいう、良くも悪くもいい加減な人なので、新筋肉少女帯もいつ分解するか分からず、とにもかくにも復活のタイミングでで本にしておいたことは、非常にナイス判断だと思います。


【結論】
★3.5です。
個人的にはいい本なのですが、あまりに読む人を選ぶ本なので、減点しました。

ZEEBRA自伝/ZEEBRA

ZEEBRA自伝 HIP HOP LOVE/ZEEBRA

¥1,600
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【レビュー】
日本のHipHop界の先駆者、横井英樹の孫、で有名なZeebraの自伝本です。

特殊な出自と、色々な意味で際だったキャラクターゆえ、思わず購入してしまいました。

内容は、思ったよりも面白かったです。

幼少期のこともそれなりに書いてあるし、例の「公開処刑」のディス(→Wikipedia)についてもある程度踏み込んだ話を書いてあります。

ただ、やはり、押さえてある感は否めません。
本人も、あとがきで「書けないこともあるし」と言っているのですが、この人には数百倍面白いエピソードがあるはず。

尋常ではない金持ち(だったはず)の家に生まれた幼少期は?
小遣いはいくらもらっていたのか?
青年期には、書かれているよりももっと派手な遊びをしていなかったのか?
MTVとのやりとりの内幕は?(Youtube

また、文章が、ため口をベースにした、ステレオタイプなHipHopの人の文章になっているのが残念。
本人が道化を演じているのか、本当にそういう人なのか、編集サイドの意図なのか分からないですが、音楽でならともかく、文章でこういった口の利き方をされると、読んでいてもあまりいい気分はしません。

日本に HipHop を普及させたのもこの人でしょうが、伸び悩みがあるのも、この本のようなパブリックイメージのせいなのだろうな、と思いました。


【結論】
★3。
もちっと年をとって、もうちょっとぶっちゃけた話を、普通の文章で出してくれたら、是非読みたいと思います。

共生者/松本弘樹

共生者 株式市場の黒幕とヤクザマネー/松本弘樹

¥1,000
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【レビュー】
先日レビューした「ヤクザ・マネー」を受けて書かれた、アングラマネーの実録本です。

著者は元証券マンとのこと。

本作は、「ヤクザ・マネー」よりは、多少踏み込んだ内容となっています。
一部実名、社名入りですし、錬金術のスキームも少し書かれています。
その意味で、裏経済の一部を理解する平易な本として、役に立つところがあります。

他方で、書けるものではないでしょうが、本丸の部分はかわされている感じがします。
最終的に誰が儲けていたのかとか、後藤組の関わりの詳細などがぼやけているのが少し残念です。

また、著者が、ちょっと自己保身に走っているのも鼻につきました。
自分は適法に行こうとしていた、という趣旨の記述が散見されるのですが、仮にそうだとしても、こういった本では書かないべきだと思います。



【結論】
★3.5。
儲けのスキームについて、会計や会社法の解説なども含めて更に詳しく説明してもらえれば、もっと良かったかと思います。