一九一七年アメリカ・ミューチュアル社作品
チャップリンの冒険
Charles Chaplin in The Adventurer

説明 山城秀之
監督・脚本 チャールズ・チャップリン
撮影 ローランド・トサロー
脱走した囚人 チャールズ・チャップリン
判事 ヘンリー・バーグマン
判事の娘 エドナ・パーヴィアンス
家令 アルバート・オースチン
太った客 メイ・ホワイト
ヒゲの求婚者 エリック・キャンベル
看守 フランク・F・コールマン
運転手 高野虎市

解説 チャップリンがミューチュアル社で撮った最後の作品。自作からはファースト・ナショナル社へ移ることになる。
「消防夫」の消防署長や「移民」でのレストランの給仕長など、ミューチュアル時代のチャップリンの作品に強烈な悪役として登場したエリック・キャンベルは、この映画に出演後、自動車事故で亡くなっており、本作が遺作となってしまった。
また、今作でエドナ・パーヴィアンスの運転手を演じた高野虎市は、実際にチャップリンの秘書をつとめている(たまたま配役した役者が出られなくなったため急遽やることになった)。
(大正七年一月一日浅草電気館封切)

略筋 何とか刑務所から逃げ出したチャーリー。しかし、看守たちは必死に追いかけてくる。浜辺で砂に潜り込んでやり過ごそうとしたが、すぐに見つかってしまう。崖の上での鬼ごっこを経て、海に逃げるチャーリー。
さて、令嬢エドナは母親と、求婚者のエリックと海辺に来ていたが、母親が海に落ちてしまう。エリックは口ばかりで一向に飛び込もうとはせず、しびれを切らしたエドナは自ら海の中へ。
助けを求めるエドナの声を、浜辺に泳ぎ着いたチャーリーが聞きつけ、救助に向かう。全員無事に助け出したチャーリー。しかし、最後に助けたエリックに海に突き落とされ、気を失ってしまう。エドナは運転手の高野にいってチャーリーを車に乗せて自宅へ。
目覚めたチャーリーを、エドナや母親は命の恩人として歓待する。エリックはそれが気に入らず、なんとか邪魔しようといろいろ企むも、ことごとくうまく行かない。
一方チャーリーは、エドナの父自分にに判決を下した人物であることやメイドの恋人が看守であることにビクビクする。
チャーリーにやり込められたエリックが、むゃくしゃしながら新聞を広げると、そこには「脱獄犯チャーリー」の記事が。
エリックは早速通報する。

The man hunt
Tここに逃亡者がひとり。
(海岸。複数の警官。銃を撃つ)(ヒゲの警官、アップ)

警官「(手を振って)おーい、あっちだ!追えーっ!」

(砂浜を探す警官ふたり)

警官「どこだどこだ?」

(ヒゲの警官も向かう)(砂浜)

ヒゲの警官「ちきしょう、どこに隠れてるんだ(砂浜に腰を下ろす)」

(腰を下ろした警官が置いた銃の先の砂が動いて)(顔を出したのはチャーリー)追われているのはわれらがチャーリーくん。彼は刑務所を逃げ出したのでありました。(気づかずタバコを吸うヒゲの警官)


チャーリー「(手を払い)ふう、やっと……(銃口を見て)うわっ!まずいまずい(顔に砂をかける)!」

(ヒゲの警官大欠伸)しかしさすがのタフな警官も、ついウトウト。

チャーリー「(砂から抜け出す)よし、このすきに、と……(広がった穴に倒れるヒゲの警官)」
ヒゲの警官「むむ、な、なんだ?」

(崖の方へ逃げて行くチャーリー)

ヒゲの警官「待てーっ!この野郎!(銃を撃つ)」

待てといわれて素直にいうことをきくチャーリーくんではありません。(崖の上に辿り着く。下を覗き込む)

ヒゲの警官「(崖の下まで走ってきて)待てーっ!(撃つ)」
チャーリー「(避ける。石を落とす)これでもくらえ!」
ヒゲの警官「ちくしょーめ!(崖を登れない)」
チャーリー「ははは、がんばれがんばれ!」

(別の警官が後ろから近づく)

チャーリー「よし、もう一個(石を落とす)えい!はははは」
警官「(チャーリーの手を踏む)おい」
チャーリー「ん?(警官の靴を見て)靴なんか見てないぞ(砂をかける)」
警官「おい!待て!この!(つかみかかるがチャーリーくんにヒップアタックされて)うわっ!(ヒゲの警官の上に落ちる)」
チャーリー「(逃げる)やばいやばい!」
警官「ちくしょー!追え!(走り出す)」

(坂道を駆け下りるチャーリー)(降りたところで警官と鉢合わせ)(再び坂道を上るチャーリーくん)

警官たち「待てーっ!」

(崖の上までやってきたチャーリーくん)

チャーリー「ああ、行き止まりだ。どうかお助けください神様ぁ!」

(警官、撃つ)(チャーリーくん撃たれて倒れる)

警官「やったぞ……うむ、確かに死んでるな」

(チャーリーくん、警官のお尻を蹴る)

警官「うわー(崖を落ちて行く)」

(懲りずに崖に向かう警官)(崖の上についた警官ふたり)

警官たち「いないぞ?」
警官たち「どこに消えた?」
チャーリー「しめしめ……」
警官たち「あ、待てーっ!(追いかける)」

(崖の下で警官③とぶつかる)(チャーリーくん警官③をまく)(崖下で警官三人がぶつかる)逃げるチャーリーくん。

警官たち「あっちだ、追えーっ!」

(海岸の岩場の隙間に逃げ込むチャーリーくん)(警官たちが見回るところから顔を出す)

ヒゲの警官「この辺にいたぞ」
チャーリー「まずい(引っ込む)」

(隙間の入り口を見張るヒゲの警官)

チャーリー「(ヒゲの警官の足の間をくぐる)失礼(穴に戻る)」
ヒゲの警官「ん?」

(チャーリーくん、別の出口から出てくる)(二人の警官が見張っている)

チャーリー「(警官の背後に回って銃を奪う)おい!大人しくしろ!手を上げろ!動くなよ!足あげて(完全に銃を奪い取る)動くと撃つぞ(じりじり海へ、転んだ瞬間に撃ってしまう)あっ!」
ヒゲの警官「(尻に当たる)痛っ!」
チャーリー「しまった!(海に逃げる)」
警官たち「待てーっ!(銃で撃つ)」

意外と泳ぎの達者なチャーリーくん。(海中に潜る)

警官たち「いかん、追うぞ!」

(ボートを出そうとする警官たち)慌ててボートで追いかけようとしますが……(大波でボートが転覆)うまく波に乗れず……
A morning dip
T早朝スイミング
逃げたはいいものの、囚人服は目立ちます。(ボートの上で上着を着替えようとしている男)

チャーリー「(男の服を手に取り)助かった!僕はついてるぞ(潜る)」

Her brave admirer
T勇敢な求婚者
(力こぶを見せるエリック)お嬢様エドナと婚約者のエリック。(海で溺れるエドナの母)

母「助けてー!誰かー!」
エドナ「この声はママ?(エリックに)大変!(ふたりで桟橋へ)」

(エドナ、桟橋から海を見る)

My mother! Save her!
Tエドナ「ママが溺れてる!エリックお願い、ママを助けてちょうだい!」
エリック「(覗き込む。溺れる母)もちろんさエドナ。お安い御用だよ!」

(エリック、服を脱ぎ出す)(溺れる母)

エドナ「グズグズしないで早くして!」
エリック「いや、でも」

(溺れる母)

エドナ「もういいわ!私が行く!(桟橋から飛び込む)」
エリック「ああ、エドナ!(立ち泳ぎするエドナ)おーい!だれかー!溺れてるんだ!」
パイプ男「どれどれ?(腹を柵に乗せる)」

(二人して柵ごと海に落ちる)さてこちらはチャーリーくん。やっとのことで陸地に到着。(溺れているエリック、母、パイプ男、エドナ)

母「助けてー!」
チャーリー「ん?誰かが助けを求めているぞ!(飛び込む)(母を助けようとする)大丈夫ですか?」
エドナ「だれかー!助けてー!」
チャーリー「(エドナに気づき)まずは彼女だ(エドナの方へ)」

チャーリーくんの中で確固とした優先順位が決まった瞬間。

チャーリー「やあお嬢さん、ボクが来たからにはもう大丈夫」
エドナ「ありがとう」

(エドナを抱きかかえて泳いで行くチャーリー)

エリック「助けてくれー!」
エドナ「(桟橋に上がってくる)(溺れる母)母が溺れているんです!」
チャーリー「わかりました(海に向かう)」
母「助けてーっ!」
チャーリー「落ち着いてください、今助けますからね!(抱える)」

(桟橋に上がってくる母)(迎える運転手コウノ)(ついに沈んで行くエリック)続いてエリック……ですが。

チャーリー「いやー、ずいぶん重そうだなあ」
エリック「助けてくれーっ!(沈みかける)」
チャーリー「危ない!さ、こっちですよ(ヒゲを引っ張って)」

(桟橋にエリックを持ち上げるチャーリー)

チャーリー「あのパイプのおじさんは楽しそうだからほっとこう。さ、ここに横になって。(母を介抱する)はい、これを飲んでくださいね。(エリックにも)はいはい、大丈夫かなあ?(ウィスキーを自分で呑んでエリックのヒゲで拭く)うん、おいしい(担架が運ばれてくる)あ、君たち、丁寧に運んでくれたまえ。さ、お嬢さん、行きましょう」

(車の横に担架を下ろす)(運転手に指示をして枕を持って来させるチャーリー)チャーリーくんの適切かつ迅速な介抱により意識を取り戻したエドナの母。

母「私は……いったい?」」
エドナ「ああ、ママ!」
チャーリー「よかったですね!」
エドナ「ありがとうございます!」
I heard your cries from my yacht.
Tチャーリー「ヨットでのんびりしていたら、あなたの声が聞こえたんです。 母を抱えて)さ、車に乗りましょう」
運転手「エリックさまがまだあそこに」
チャーリー「あ、あのでかいのを忘れてた!(担架を持ち上げようとして)じゃあ行こう!」

(桟橋で横になっているエリック)(担架、来る)(運転手とふたりでエリックを抱えて乗せる)

チャーリー「君は先に車に戻ってて!よいしょ(担架を抱える。エリック落ちる。そのまま車まで来て)あれ、あいつはどこだ?(桟橋まで戻り)あ、あんなところに!もーなんでカナヅチのくせに……!(海へ)」

再びエリックを救ったチャーリーくんでありましたが。(桟橋の上るハシゴに、先に行かせるチャーリー)

チャーリー「さ、さ、早く上がってーー」
エリック「(蹴る)うるさい!バカにしやがって!お前のせいで散々だ!オレ様をなめるな!(桟橋に上がり、下に向かって)二度と上がってくるんじゃないぞ!(車に向かう)」
運転手「大丈夫ですか?」
エリック「ああ、大丈夫だ (車に乗り込む)」
エドナ「あのお方は?」
運転手「見て参ります(桟橋から海を覗く)あっ!」

(波打ち際に打ち上げられているチャーリー)

運転手「(車に戻り)溺れています!(助けに行く)」
エドナ「まあなんてこと!」

(チャーリーを抱える運転手)エリックに蹴落とされたチャーリーくん、日本人運転手コウノに助けられました。(抱えられて車へ)そしてそのままエドナのお屋敷へ。
A tired guest.
T疲労困憊の客人。
(ふかふかのベッドの上で眼を覚ます)気を失ってエドナのお屋敷に運ばれたチャーリーくん。

チャーリー「(伸びをする)うーん……んん?これは、囚人服?……これは、鉄格子……じゃないな」
執事「(入ってくる。深々と一礼をして)お客様、お着替えをお持ちいたしました。それでは、失礼いたします」
エリック「泳ぎは得意中の得意なんですよ」

Dressed on somebody.
T来客用の晴れ着に身を包んだチャーリーくん。
(階下に降りてくる)(通りかかる執事)

チャーリー「(匂いを嗅いで)これは?」
執事「コニャックのXOでございます」
チャーリー「XO?VSOPじゃなく?ホント?(酒瓶を手に取って水を直接入れる)ふむ(グラスの灰皿代わりにして)ほら、君は次の仕事!(酒をグビリ)ふむ」
エドナ「あら、いらしたわ!(立ち上がってチャーリーのそばに行く)あの、先程は本当にありがとうございました」
チャーリー「どういたしまして(酒瓶を後ろに隠すが、中身が出る)」

(エドナ、チャーリーを連れて行く)

エドナ「紹介しますわ……こちら、エリックさん」
チャーリー「どうも」
エリック「ふん(後ろを向く)」
チャーリー「なるほど(チャーリータバコを後ろ手に持って)」
エリック「熱い!……このっ!」
チャーリー「なにか?(エドナに)変わった人ですね」
エリック「ちくしょう(チャーリーの尻を蹴る)」

エドナを巡って突如現れたライバルに、闘志むき出しのエリック。
(チャーリー蹴り返す)(エリック二回蹴る)

母「チャーリーさん、さきほどは本当に」
エリック「えいっ!(蹴る)」
母「まあ、あなた、何をするの?」
チャーリー「なんて野蛮な人だろう……エドナさん、あちらへ(母に)失礼します。行きましょう」

(エドナをエスコートする)(別室に移動するふたり)

エリック「ちくしょー!全部アイツのせいだ!」

エドナのピアノを聴くチャーリーくん。(カーテン越しにチャーリーの尻を蹴るエリック)カーテン越しの攻防。

エリック「こいつめ!(蹴る)」
チャーリー「うっ!……エドナさん、あなたのピアノは素晴らしい……邪魔者は(スプレーを吹きかける)」
エリック「うう……ちくしょう(椅子に座る)」

新聞を広げたエリックの目に飛び込んできたのは。
Criminal Escape Convict At Large
脱獄犯いまだ逃走中。
そして大きく掲載されたチャーリーくんの写真。(階下から降りてくる父)

My father is Judge Brown.
Tエドナ「父を紹介しますわ。裁判官をしておりますの(父に)
My rescuer, Commodore Slick.
パパ、この方が助けてくださったのよ!」
父「(握手して)やあどうも!ん、君は……?」
チャーリー「え……?」
Your face is familiar commodore!
T父「どこかでお会いしておりませんかな?」
チャーリー「いえいえ、初めてお目にかかります。光栄です、判事」

エリック「(立ち上がる)よし!」
チャーリー「ちょっと外の風に当たってきます(去りかける)」
エリック「(捕まえて)おい、待て!このヒゲ……目……やっぱり……!」
チャーリー「(外に出て)なんだろう……(新聞を手に取る)まずい!よし(ペンを取り出して)こうして、と」
エリック「(父に)判事、アイツは今世間を騒がしている脱獄犯ですよ!」

(新聞に書き込みをするチャーリー)(話しているエリック)(書き込むチャーリー)

父「今日の新聞に?」
エリック「ええ!(一緒に外へ。去ろうとするチャーリーを止めて)おい、お前はここにいるんだ。これです……あれ?」
父「これは……君にそっくりじゃないか!」
You need a shave.
Tチャーリー「ホントだ!ヒゲがそっくり!髭は剃った方がいいですね」
母「(出てくる)チャーリーさん、中へどうぞ」
チャーリー「わかりました。それでは失礼(去り際にエリックの腹を蹴る)」

お屋敷には、勇敢なチャーリーくんをひとめ見たいとたくさんのお客様が集まっておりました。(執事の持つトレイのグラスが取りたいがなかなか取れない)(執事の脇から手そ入れてグラスを取るチャーリー)

執事「(チャーリーの方を向いて)どうぞ」
チャーリー「ありがとう」
母「チャーリーさん、ヨットの旅の話を聞かせてくださる?」
チャーリー「もちろんです!夜になると満天の星空を見上げながら」

ホラ話をするためには、酒で舌を滑らかにするのが必要。(グラスは空)(隣の紳士の持つグラスをチラチラ)

チャーリー「(わざとグラスをぶつける)あ、失礼」
チビの紳士「いえいえ、こちらこそ失礼しました」

The prison guard is also being entertained.
Tちょうどこのとき、この家のメイドは恋人と愛を語らっておりました。
(キッチンでイチャつくふたり)

チャーリー「(グラスをトレイに置いて)あ、ちょっと。これ捨てちゃうの?」
執事「はい」
チャーリー「もったいないなあ(残った酒をまとめて)もういいよ」
エドナ「(出てくる)チャーリーさん、お腹空きませんこと?お料理が用意してあるの」
チャーリー「いいですね」
メイド「あ、お嬢様だわ!ほら隠れて!(奥の戸棚に隠す)」
チャーリー「おや、今……?」
エドナ「何を慌ててるの?」
メイド「いえ、別に」」
チャーリー「ダメだよ、隠しちゃあ。誰かいるんでしょ?ここに?(扉を開ける)わっ!」

メイドの恋人はチャーリーくんが入っていた刑務所の刑務官でありました。
(チャーリー、その場から逃げ出す)

メイド「(恋人を逃す)さ、早く逃げて!」
チャーリー「(ウロウロ)どうしよう!大変だ」

(外に出るチャーリー)(目の目にさっきの刑務官)

チャーリー「うわっと!まいったなあ(後ずさる。執事が現れてシャンパンを開ける)うわあ撃たないで!いや、何でもない、驚かせるなよ!(後ろ蹴り)」
エドナ「(二階から降りてくる)チャーリーさん、どうしたの急に?ねえ、踊りましょう!」

(二階のホールで踊っている人々)

チャーリー「行きましょう!」

(ふたり二階へ。チビ紳士とデカ淑女に阻まれて通れない)(隙をついてエドナが先に入る)(続いてチャーリー)なんとかホールの中に入れたふたり。

チャーリー「(手でレンズを作って双眼鏡のフリ)ははあ、これがいわゆるひとつのノミの夫婦ってやつですね」

しかしチャーリーくんは先ほどの刑務官のことが気になります。(怪訝な表情のエドナ)

警官「はいもしもし?」

(電話しているエリック)それはエリックによる通報でありました。(慌てて出て行く警官)一方そんなこととは知らないチャーリーくん。ようやくエドナと踊り始めました。(自分で自分の靴のつま先を踏んでいたりする)

チャーリー「ふう……ちょっと汗をかいてしまいました。バルコニーで風に当たりませんか?」

(バルコニーの下では人々が語らっている)(席に着くふたり)

執事「(アイスクリームを運んでくる)どうぞ」
チャーリー「(チップを渡すフリをする)ありがとう」

バルコニーの真下ではエリックがエドナの父たちと歓談中。

チャーリー「アイスクリームにかぶりつく)いてっ!」

(おいしそうに食べるエドナ)(口を押さえるチャーリー)実は虫歯だらけのチャーリーくん、知覚過敏にアイスは禁物です。

チャーリー「とても食べられないなあ」

(アイスクリームをまるごとすくう)(器に残ったツユを飲む)(拍子にアイスがズボンの中に)

チャーリー「あ、冷たい!」

なんともいえない気持ちの悪さ!もちろんエドナは何も気づいておりません。
(椅子の上でモゾモゾするチャーリー)しかしこのままではいけません、チャーリーくんついに、重力を味方につけまして……(立ち上がるフリをして足を伸ばし、アイスをズボンの裾から落とす)チャーリーくんのアイスはーー!

母「きゃー!冷たい!」
エリック「だ、大丈夫ですか?(背中に手を差し入れる)」
母「まあ何をするの!(叩く)」
エリック「いや、落ち着いてください(再び手を入れようとする)」
父「君、何をするんだ!」
チャーリー「なんだか騒がしいですね。中に入りましょうか」
母「(椅子に座る)ああ、冷たい!(立ち上がる)」

(バルコニーからのぞいて笑うチビ紳士)

父「むむ、あいつめ!」

(怒る父)(ホールで語らうふたり)(ズカズカ入ってくる父)

父「(バルコニーへ)こいつ!」

(バルコニーから飛ばされて来るチビ紳士)ちょうどそこへ、エリックの通報を受けた警官たちがやってきました。

エリック「ああおまわりさん(ふたり階下へ降りて来る)アイツです!」
チャーリー「あっ!(逃げる)」
警官「待てー!」

(踊り場からすぐ下に飛び降り、外へ出る)(外で警官とばったり、また中へ)(ホールに入ってくる警官たち)脱獄犯チャーリーくんを追って上を下への大騒ぎ。逃げるチャーリーくん、エドナへのキスは欠かしません。

警官「(上から飛び降りてくる)待て!」

再び二階へ逃げるチャーリーくん。(ノッポの警官、バルコニーに向かう)

チャーリー「こっちだよ!(お尻を蹴る)」

(バルコニーから飛び降りる)

ヒゲの警官「いたーっ!」

(ランプの傘をかぶって隠れるチャーリー)

警官「(気づかず通り過ぎる)待てー!」
エリック「(そこへ現れて)エドナさん、あなたは私のものだ!(キスをしようとする)」
チャーリー「(お尻を蹴り、ノックアウト)さあ、ボクと一緒に行きましょう!(外へ出る)」
ヒゲの警官「(飛び降りてくる)こいつめ!」

(チャーリー、二階へ)(ヒゲの警官も二階へ)二階での、ドアを間にした激しく静かな攻防戦ーー!(入口のドアに警官の首を挟むチャーリー)そしてなぜか顔を出すエリック。(エリックも頭を挟まれる)(警官の手錠を使って二枚のドアをくっつける)

チャーリー「(エリックにキス)それじゃあ御機嫌よう!(バルコニーから飛び降りる)よいしょっと」
エドナ「まあチャーリーさん!」
チャーリー「エドナさん、僕はーー」
エドナ「おっしゃらないで!」
ヒゲの警官「(ドアから解放されて)ちくしょう!(バルコニーへ)」
エドナ「今のうちに逃げてちょうだい」

(トボトボ歩きだすチャーリー)

ヒゲの警官「(飛び降りてくる)もう逃がさないぞ!」
チャーリー「あ(後ずさりながら)……やあはじめまして(握手)」
ヒゲの警官「ふざけるな!逮捕する!」
チャーリー「エドナさん、こちら警官のボブ。ボブ、こちらエドナさん」
ヒゲの警官「(チャーリーを放して)ああ、どうぞよろしく」

逃げる逃げるよどこまでも。チャーリーくんの冒険は永遠に続く!