長い間更新できていませんでしたが、私のブログの新たな試み、取り組みの一つとしてある企画をスタートさせます。独自のスタイルで未来を切り開く、熱い若者にフォーカスし、その生き方に迫る、「My style」という企画。Vol.1として今回お話を聞いたのが、IT企業でサラリーマンとして営業職を全うする傍ら、週末や平日の夜、通勤時間などの“隙間時間”を活用し、個人事業主として野球のオーダーグラブを販売するメーカー「GRANSTAR」を運営する、樋口堅太郎氏。サラリーマンと経営者という二足の草鞋を履き、「副業」ならぬ、「複業」を実践する若きホープにお話を聞かせていただきました。
―――――――― 今日はお忙し中、来ていただいてありがとうござます。
樋口:いえいえ、最近の自分の生活サイクルのなかで、こうやって自分が普段やっていることについて振り返ってお話させていただくっていう機会は多いようで意外と多くないので、逆にありがとうございますって感じです。(笑) 自分が普段やっていることを整理できるし、仕事に対して真摯に取り組めているか?無駄がないか?など自分に問いかける意味でもいいフィードバックにもなるので。
――― 質問したいことがたくさんあるのですが、いきなり聞いちゃっていいですか?(笑)
樋口:いいですよ(笑) なんでも答えますんで。(笑)
―――――――― 樋口さんは、2017年夏、甲子園大阪予選であの超名門・大阪桐蔭を驚異の打撃力で追い詰めた、府立大冠高校のご出身なんですよね?
樋口:そうです。もう5、6年も前の話ですが、私もあのユニを着て高校球児頑張っていました。(笑)去年の代はほんと強かったなぁ。
―――――――― OB目線で府立大冠の強さってどこにあるとお考えですか?
樋口:野球の場合、いろんな要素がブレンドされて「強さ」ができあがるとは思うんですが、強いて一つあげるなら「自主性」だと思います。大冠は自主練習の時間が他校に比べて圧倒的に長い。長い自主練習のなかで「主体性」「自発性」が磨かれて強さの一つになっていると思う。これはビジネスにも野球にも通ずる部分だと思うのですが、監督や上司から「指示待ち」の状態であれば、意思決定が二次的になり、勝負所の大事な瞬間にアクションが一つ遅れる。普段の練習や準備の段階から自らの考えを持って行動し、トライ&エラーを繰り返しておくことで、いざという勝負所にジャストタイムでアクションを起こせるし、日頃から自らの意思でトライ&エラーを繰り返していることで、その経験と事前の上からの意見や指示を瞬間的にミックスさせ、その場で最適の方法を即座に実践することができると思うんです。
―――――― つまりは野球でもビジネスでも「主体性」「自発性」は必要不可欠であると?
樋口:そうだと思います。物事に対し、自らのエンジンで進んでいる方と他人から与えられたエンジンで進んでいる方とでは、故障(障壁)に見舞われたときの対応力、基礎的な速力だけでなく、走ってきた道筋(経験)もだいぶ差が出てくると思います。自分の道に固執して頑固になるという意味ではなく、途中に横目で見た他人のエンジンのいい部分やアドバイスを取り入れながら、自分なりのエンジンを擁して走り抜けることで答えは見えやすくなるし、日々自分なりの楽しみを感じながら走ることができると思うんです。また主体性や自発性はモチベーションが高いことの証明的な部分もある思いますので。
―――――― そのエンジンが樋口さんの場合、「複業」である。
樋口:そうですね。色んな人がやっていることなので特別なことではないかもしれません。ただ自分なりのビジョンを明確に掲げて二足の草鞋を履いているという側面ではある意味オンリーワンのエンジンであるかもしれません。
――――― 樋口さんのその後の経歴と「GRANSTAR」を創業することとなったきっかけを教えてください。
樋口:高校卒業後は大学へ進学しました。もちろん野球も体育会の硬式野球部で続けました。大学2年生の頃くらいまでは、一流企業に就職してそれなりにいい暮らしができればいいなぁと思っていました。しかし、大学生活の中で色んな方と出会い、知見や視野を広げていく中で、人生の目標として「時間的にも経済的にも制約を受けない人生」が自分の幸せの一つじゃないのかと思うようになってきました。そのためには資産に働かせて、資産に稼いでもらうことが必要不可欠。そのための第一フェーズとして起業することが必要と考えました。ただ、起業するにもどの分野がいいのか考えたとき、今まで膨大な時間を費やしてきた野球をうまく利用できないか?好きなことじゃないと続かないのではないか?と考え、浮かび上がったのが、オーダーグローブでした。
――――― しかし、樋口さんはすぐに起業しなかった。
樋口:はい。一つに絞る理由もないですし、複数同時進行で経験することで得られることだってあると思うんです。今まさに野球の世界では「二刀流」なんて言葉が流行っていますしね(笑)一つに絞ったからって活躍できるわけでもないし、二つしているから活躍できないわけでもない。特に今はデバイスが進化していて2つが1つになりやすい環境ですし。あとは野球でも言えることだと思うのですが、ビジネスでも準備が大部分で物を言ってくる。起業する段階でも同じだと思いました。資金的な準備もそうですが、スキル面、人間性、すべて一度就職して準備した方が遠回りに見えて一番の近道になるのでは?と思いました。目の前の起業というゴールを目指すなら、すぐに起業した方が近道だし、成功しても失敗しても経営者としての経験値もあがるかとは思います。ただそこが目的ではないので。
―――――― 今はどんな感じでサラリーマンと経営者の両立をしているのでしょうか?
樋口:サラリーマンとしてはIT企業で営業職をしています。電話でのアポの取り方や顧客との商談、スケジュール管理など基礎的な部分について学ぶことが多いです。また周りの同僚や先輩も学歴や経歴が様々で会社内外含め、人との関わりのなかで勉強すべきことはたくさんあります。経営者としては「GRANSTAR」は創業間もなく、認知していただく段階です。今の状況はプロモーションや受注等はネット利用が100%なので、休日や通勤時間など隙間の時間を見つけて仕事をしています。甲子園出場校の選手や、大学で日本一になったチームの選手にグラブを使用していただいており、少しずつGRASTARを知ってもらっている段階です。
写真1 自らのブランド「GRANSTAR」のグラブを手にする樋口氏。
写真2 インタビューの休憩中にもスマホを使って顧客対応、取引先へのレスポンスを行う樋口氏。
―――――― 大手メーカーも含めてオーダーグラブ事業はたくさんの企業が参入しているなか、どういった差別化を樋口さんは現在お考えですか?
樋口:今後、グラブの性能面で何か目新しく、特別なことをしていくのは難しいと思っています。グラブはあくまでもプレーにおいてボールをキャッチするという目的であるものです。その性能面をより向上させるという努力はグラブ提供する者である以上当たり前だからです。じゃぁ、どこで違いを出していくの?と考えたときに、私は「売り方」、「魅せ方」、の2つだと思っています。
―――――― 一つ目の「売り方」について聞かせてください。
樋口:例えば、今考えているのは「分割払い」携帯電話の分割払いと同じです。最初の購入金額を最少に抑えて、残額を月々定額で分割払いにする。そうすることでお客さんはグラブを買い替える意思決定において最初のハードルが下がりますし、複数所有が容易にできるようになるかもしれません。また一括購入では価格的に手を出しにくいアマチュアの方や学生のお客様なんかにもオーダーしていただきやすくなります。他には性能面をアピールして売るのでなく、「グラブはあくまでプレーの一部」であることをアピールして売る。言い換えると、プレースタイルを提案するようなグラブを売るということです。例えばスラッガーなんかは「内野手の当て捕り」というプレースタイルを提案し、一つの地位を築きました。このように「グラブ製作を通して新たなプレースタイル、目的を提案する」売り方をする。今はポジション別に売られているのが一般的ですが、プレースタイル別や対戦相手の特徴対策別、試合状況別にグラブを作ってもおもしろいと思います。
―――――― なるほど。ある業界では当たり前となっていることも、違う業界に導入するとなると、特別なことはしていないのに何となく目新しく感じてしまいますね。では2つ目の「魅せ方」での差別化とはどういう意味合いなのでしょうか?
樋口:今はグラブ業界を含めたどの業界でもSNSでの広告・宣伝が必要不可欠な時代となってきていると思います。そういう意味では「GRASTAR」のグラブも性能だけでなく、ビジュアルの良さをより身近に感じていただくために、サンプルの写真や動画の質を上げる。背景を野球関係の背景にとどまらず、自然やおしゃれな場所にしてみるとか広告や宣伝の段階から製作段階まですべての段階で他社にない「魅せ方」にこだわりをもってやっていきたいと思っています。どれだけファッショナブルに魅せるかは非常に重要です。価格も質も同じなら、少しでもかっこいい方を選びたいですよね?同じスポーツ用品のカテゴリーでも、ランニングブームの火付け役となったのは女性用ウェアのおしゃれ度向上だったと聞きます。「実用性に特化したダサいウェア」というイメージが「おしゃれで着ると可愛く見えるウェア」に変わったことで競技人口が増え、市場に変化が起こった。それだけ質や価格と同じくらい「魅せ方」、「ファッション性」は大切なわけです。性能面+ファッション面の双方においてお客様自身が最適・最高に感じられるオーダーグラブを手にしてほしい。だからこそGRANSTARはここでは言いたくても言えないような(笑)様々なアイディアを駆使して「魅せ方」においても差別化していきたいと考えます。
写真3 実際のオーダーメイドされたグラブ。レッドを基調としたカラーにホワイトのラインが映える。紐はブラックを使用。このようなカラーリングもオーダーメイドならでは。
―――――― その面白そうなアイディアに突っ込みたいところですが(笑)企業秘密的な部分もあると思いますので、最後に今後の目標や展望を聞かせてください。
樋口:事業全体としてはやはり今後より良いサービス、製品の向上のため資金投入は絶対的に必要だと思っています。なので来年春ごろに法人化を予定しております。よりお客様に満足してもらうグラブを提供するためにそこに向けて準備を進めています。目標としては短期的なもので言えば今と変わらず、認知してもらうということ。そのために何人かのYoutuberの方々にも声を掛けさせていただいてますし、アマチュアの有望選手へのグラブ提供も考えています。中長期的な目標や戦略はありますが、今は自分の中でも手探りな部分と明確に定まっている部分が混在しているのでしっかりと整理させてもらってからお話しできればと思います。とにかく目まぐるしく過ぎる毎日と向き合って頑張っていきたいと思っています。(笑)
―――――― 今日はお忙しい中本当にありがとうございました。終
【インタビューを終えて】
樋口氏はインタビュー後も、大手スポーツメーカーの直営店を視察し、メモを残すなどして研究していました。また街中を歩いていても業種に限らず、長蛇の列を作っている飲食店の店員に話かけ、その原因は何なのかと常に学ぶ姿勢があり、少しでもプラスになることはないかと日々の行動からも貪欲さが伺えました。既存の複数の老舗メーカーが品質の信頼においてもカスタマーサポートを含めた顧客との濃い関係においても存在感を示す中、その間に割って入るのは並大抵ではないかもしれません。ただ今回のインタビューを通して彼なら何か起こしてくれるかもという期待感は大いに感じましたし、応援したくもなりました。今後の彼の活躍そして事業の発展を祈り、終わりとさせていただきたいと思います。今回も最後までお読みいただきありがとうございました。ではこのへんで。
「GRANSTAR」公式instagram : https://www.instagram.com/granstar_japan/
「GRANSTAR」公式Twitter : https://twitter.com/granstar_japan


