生理学で人体のミクロな細胞の世界を探っていくと、まるで小宇宙ともいえるような広大で不可思議でダイナミックな物語を垣間見ることができます。今、ここに生きている私たちの身体は現在、約60兆と数えれられている細胞たちが破壊と再生を繰り返し、まるでタービンのようなエネルギー発電所があったり、細胞そのものもDNAの設計図を転写し、翻訳なんてことをしながら日々是新に保たれています。パラケルススの時代、人体図を空の星々に重ねたホロスコープや、仏教でいうところの宇宙即我というような発想には、とても納得するところがあります。

 顕微鏡を覗いた後に見上げる夜空はいつもに増して美しく、ミクロの世界から見ても星の動きから見ても「昨日の自分が今日には存在しないんだ」ってことを実感します。

 そして、日々、私たちを作り、心の動きを支え、生命活動の原動力となるもの、それが食べ物です。細川モモさんの言葉をおかりすれば「私たちは食べ物で作られている」のです。

 あまりにも当たり前で改めて意識するのは逆にとっても新鮮でした。

 そして、細胞の材料となり、エネルギーとなり、調節したり、リズムを整えたりするもの、それが五大栄養素といわれる食べ物たちで、細胞の材料となるたんぱく質はとても重要な食べ物だってことが再認識できると思います。

 更にいうと、たんぱく質には植物性と動物性の食べ物がありますが、私たちの細胞に必要な必須アミノ酸というたんぱく質のほとんどは動物性に含まれていて、動物性の方が優れた細胞材料になります。
 食べ物から摂り入れるたんぱく質という材料が不足しても細胞は破壊と再生を止めません。どうしているかというと、食べ物が新建材だとするとその新建材が足りなければその辺にある使用中の古い建材を集めて細胞の再生をするのです。その辺にある古い建材とは、例えば筋肉など体内にあるものから無理矢理ぶんどる材料のことです。無理矢理ぶんどっていくのでそれは始めは美容に影響する場所から、そして体力に関するところへ、更に不足したところは病となって表面化し、いずれは生命の危機を招くことになります。

 「年だからあっさりしたものしか食べたくない」となるのは肉・魚=動物性たんぱく質=細胞の材料を摂り入れない=死への準備をしているようなもの。
 でも、そこに問題点があって、その死への準備の方法は、寝たきりなど介護を必要とする状態を招く危険があることは、現代の超高齢社会の現実を見てもわかると思います。
 その反省に立って、これからの時代は健康寿命を伸ばすべきだと考えます。化学的に年齢で消化力が低下することは判明していますが、吸収力は低下しないこともわかっているのです。ということは、寿命ではなく、健康寿命(日常的に介護を必要としない、自立した生存期間)を伸ばすためには消化しやすい形にした(分子の小さいものの利用や調理方法などの工夫)たんぱく質を積極的に摂ることが欠かせない条件だといえます。(分子の小さい形態のもの 例=肉・魚のたんぱく質ならプロテインやアミノ酸)

 この人体のミクロな構造から考えても糖質制限は理に叶っていると考えます。

京都・高雄病院にて

 前世から受け継がれて、今この瞬間も私たちの体内で細胞作りに励んでいる遺伝子・DNAは人類誕生から、いえ、生命が誕生したといわれる40億年前からの記憶と歴史を留めていて、生存し進化するために必要だった食べ物はそのDNAに刻まれているともいわれます。

 その歴史の中で最も私たち人間に(他の哺乳類にとってはもっと)縁が無かった食べ物、それが糖質なのです。

 40億年の生命の歴史からすると、穀類を食べる農耕が始まったのはわずか1万年前のこと。それも大規模な気候の変動や動力の乏しさで安定的な供給はとても無理で、農耕に頼った日本は江戸時代に至っても、更には、戦後の経済発展を受けるまで常に飢饉・飢餓が目の前にありました。
 砂糖は江戸時代まで輸入に頼る高級品で庶民の口まで届くことはなく、こんなに甘いものが身近に存在するようになったのもやはり戦後の経済発展以後のことで、言い換えれば糖質は私たちが「食べ慣れていない物」といえるのです。
 
 その証拠に、人体には血糖値を上げるホルモンや構造は複数存在するのに、血糖値を下げるホルモンはインスリンただひとつだということが挙げられます。これは、人類が糖質という血糖値を上げる食べ物を摂取する機会がほとんど無かったということを反映した人体の明らかな証明です。
 
 付け加えると、人類の繁栄が始まるのは砂糖を大量に摂取し始めた近代からではないので、「脳の栄養はブドウ糖のみ」とするのはかなり無理があると思います。甘いもの=ブドウ糖がない時代はみんな脳が働かなくてバカだったのかって?!そんなことはないわけで。逆に甘いものだらけの日本でいえば高度経済成長時代からの60年間くらいに脳が働く天才だらけになった?…それも違いますよね。なので、これは栄養学のテキストにも明記されているし、江部先生も繰り返し説明されていますが、ケトン体は明らかにブドウ糖よりも脳に優しい栄養なのだと考えられます。

 糖質を大量摂取するようになってから登場してきた数々の病の代表が、以前は成人病と呼ばれた現在の生活習慣病です。その中でも糖尿病は昔「贅沢病」といわれて戦後の経済発展と共に爆発的に増加しました。自覚症状がない糖尿病は合併症を併発して初めて認識する人も多く、糖尿病の三大合併症の治療は、私たちが毎月支払う国民皆保険制度の逼迫にも繋がっています。


血糖値を日常生活で意識するとしたら。

 ご飯を食べた後、異常に眠くなる時は血糖値が急激に上昇しているからで、気分がハイになったり落ち込みやすくなったりするときは血糖値が上がったり下がったりしていることが影響していたりします。
 思い当たるときは、メイクしたり部屋の掃除でもするように、血糖値が急激に上がらない食べ物や飲み物を意識してみてくださいキスマーク
 
 糖質制限物語はこれでエピローグ、おしまいです。
これでもかなり大雑把なのですが、現実にはエンドレスで続いていくのでまた、何かの時に記録していこうと思います。
 おからジイ倉沢さん、良い刺激をありがとうございました('-^*)/


 最後に地上から天空へ視線を変えてみます。

 別府は函館や長崎の坂道の風景を山と海の間隔を狭くしてコンパクトにしたような街で、目前に海・振り返ると阿蘇に続く九州特有のなだらかな山並み。夜はその山の上に星々が煌めきます。星の地図が思い起こされるのはそんなときで、ホロスコープの知識がある方はおわかりにになるかと思いますが、ダンナさんのネイタルのホロスコープはグランドトラインが二つ重なるグランドセクスタイル、ほぼ六芒星とかソロモンの印章といわれる形を描いています。専門家の方によるとレアな地図なのですが、ダンナさん自身は特に突出したところはなく、穏やかな性分で、困難にも幸運に対してもソフトに接しているという感じです。ダンナさんのことなのに、必死になるのは常に周囲で、私はまさにダンナさんのなんちゃって六芒星に巻き込まれているのかもしれませんショック!あせる

 別府は虹がよく出ます(・∀・)


 
  どうか忘れないでください。

  私たちは食べ物で作られている(細川モモ) ことを。

                                       

                                    ■The end