大都会東京の中でも、群を抜く存在感。


チィにとっては、小さいころから慣れ親しんだ場所ー。


新宿。


雑居ビルが多くひしめき合い、界隈を歩く人々も多種多様。


異動先の店舗ではキッチンを担当していた。


「まずは、サラダとかデザートからね」


先輩料理人のカタさんが明るく声をかけてくれた。


彼自身、キッチン業務は五ヶ月だか、もうキッチン内部の業務については精通していた。


化粧品会社を退職し、世界一周旅行から帰って現在に至るという、掘れば掘るほど面白い三十歳後半のイケメン。


「てめえ!いつもいつも持ってくるのおせーんだよ!なめてんのか!?あ!」


笑顔で挨拶回りしてると飛んできた怒号の発信源は、料理長のチュウさん。


なにやら、納品が遅れたことに腹をたてているらしい。
料理一筋の職人。


〈また、濃いキャラが集まってるなあ。楽しみ楽しみ〉


飲食にどっぷり浸かり早いもので、一ヶ月。


一般的なサラリーマン生活では感じ得なかった充実感を感じていた。


着実に目標に向かって進んでいる。


その安心感からきた感情かもしれないが、やはり飲食業自体が好きなのだ。


長時間労働に対応するかのごとく、体付きも学生の頃の筋トレを励んでいたシルエットに近づきつつあった。




「あれ?なんか足太くなった?」


何日か前に妻に驚かれた。



「進化してるんだよ」



当然のことだろ?というような余裕な顔で返したチィだった。


〈まあ、進化とはいえ、手のひらカサカサだったりするけどね〉


炭でやや黒くなった自分の手のひらを眺めながら、傷ついた指にバンドエイドを巻いていた。



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