2月に高尾山の観光案内所でボランティアしていた時のこと。

おりしも高尾山は大雪に見舞われた後で、登山道の凍結が激しく、登る場所によっては普通の靴では登れず、アイゼンが必要な状態。普通の日本人は足元が悪いことは分かっているので、高尾山には来ない。しかし、滞在期間が決まっている海外からのお客様はそうはいかない。というわけで、いつもより5割増しの海外からのお客様対応をすることに。

で、困ったのがアイゼンの英語。アイゼンというのはドイツ語で鉄という意味で、実は和製英語。「アイゼンお持ちですか?」と英語で聞いたところでわからない。案内所の備え付けのタブレットで検索すると"Climbing Iron""Crampons"または”Anti Snow Plate”と出てくる。海外の登山家のドキュメントなどでは「クランポンをかませて、ゆっくりと進む~」みたいな表現もあるので、登山家の間では多分Cramponなんだけど、高尾山に来るのはほぼビギナーの登山家なので、「クランポン持ってますか?」といっても、通じない。”Anti Snow Plate”というと大体わかってくれるのでこちらを採用。

職員さんがNさんは「アンチって言わないで、アンタイっていうんだね」と言われて、ああそういえばと気が付いた。アンチといっても通じる可能性もあるけど、アメリカ英語ではAntiはアンタイと発音する。よくニュース番組で反XX派の運動に対して~という意味でニュースキャスターのおばちゃんがデモ隊の前で”Anti XX movement”とか言っていたのを思い出しました。

しかし、日本と違ってアメリカはキャスターのおばちゃん率たかかったな。



先日、就職活動中の知人とルミネでご飯を食べてきました。
立ち寄ったバスルームの個室の額縁に色々と思うことがあったので撮ってしまった写真。







なんてことはない、聖書の一文ではありますが、新宿のおしゃれ駅ビルの中のトイレにあるべき一文ではないような。この文章を背に神の御光を浴びることのできるお手洗い。

額 縁の文章は聖書の詩編62の中の一節「彼こそわが岩、わが救い」という部分ですが、まぁトイレは確かに救いではありましょう。詩編62自体は神のみに依り 頼むことを勧めているものですから、切羽詰まった女子には心強い味方であることは間違いはありません。とはいえ、この前で用を足すのはなんか緊張してしま うのは日本だからなのか?それとも私の信心が足りないのか?またはその両方か?

まぁ、米国滞在中に知人の家のトイレや修道院の来客用のト イレにも似たようなものがかかってたような記憶はありますが、こういうところにかかってて当たり前というか、ユーモアをかました文章が多かった気がしま す。(例:Wash your hands and say your prayers because Jesus and Germs are everywhere. 直訳:手を洗って、お祈りしましょう。ばい菌と神はどこにもいるのだから)

男子トイレは入れませんし、連れも同性でしたので未確認ですが、同じような仕様なのかきになります。主の御言葉に満ちたトイレに入れば穢れも落とせて、徳が高くなり、霊的に新たなステージへ向かうということも可能かもしれません。(棒)

しかしながら、ルミネというおしゃれ駅ビルにも拘らず、このトイレがどうしてもおしゃれには思えず、どことなくダサく思えてしまうのも事実。とはいえ、ダサすぎると一刀両断にしたいわけではなく、米国での田舎修道院暮らしを思い出したり、懐かしく、安心するアットホームな感じがあります。

日本で似たような ものと思い出してみると、北陸の田舎の御屋敷を訪ねた時に入った和式トイレのイメージがぴったりな事に気が付きました。小窓にかかった日めくりカレンダー (九曜入り)と庭の花を挿した一輪挿しはまさに私の中でのこの額縁と重なりました。なるほどと一人納得しました。


日本語版のイヤホンガイドがとてもよかったので、今後訪ねてくるかもしれない米国の知人などにお勧めできるかどうかの検討の意味と英語のリスニングの勉強の意味も含めて、英語版イヤホンガイドを借りて、6月歌舞伎の夜の部を見てきました。

イヤホンガイドは会場の外でもなかでも借りることができますが、英語版については中に入らないとありません。外のブースにはありませんのでご注意を。

英語のイヤホンガイドをかりると、インクジェットプリンターで印刷された演目とガイドの名前、取扱注意事項、イヤホンガイドの簡単な説明等が記載されているパンフレットが付いてきます。夜の部のガイド解説者は以下の通り。

蘭平物狂 RAMPEI MONOGURUI "The Fight Scene of Mad Rampei"
ガイド Mark Oshima

素襖落  SUO OTOSHI "The Dropped Coat"

ガイド Tove Bjork

名月八幡祭 MEIGETSU HACHIMAN MATSURI "The Autumn Hachiman Festival"

ガイド Bonnie Dixon

尚、印刷にはありませんが、一般的な歌舞伎の説明が幕間に行われます。ただし、これは上記の3人以外の方によるものでした。多分、毎回、入れている定型説明なのだと思われます。

以下は、私のそれぞれのガイドに関する感想です。

①蘭平物狂 マーク・大島氏
日系二世の大島氏の発音は、私にとってはお馴染みの米国英語なのでとてもわかりやすかったです。

さて、彼の名前でググってみますと、いくつか英語の記事に行き当たります。

American brings kabuki to Japanese as well as foreigners
 (2002.1.20 JAPAN TIMES)

Nisei seeks ‘kiyomoto’ doctorate
Academic immerses himself in world of kabuki music
 (2002.11.05 JAPAN TIMES)

それらをざっくりとまとめますと大島氏はハーバード大学を休学して、戦前の植民地政策についての研究し、論文を書くために来日。歌舞伎を含めた様々な日本の古典芸能を観賞し、その魅力にどっぷりとはまります。そして、論文のテーマを現代歌舞伎の社会史に変更、さらに清元(歌舞伎や歌舞伎舞踊の伴奏音楽)を学び、現在ではプロの清元節演奏家、清元志磨大夫として活躍しておられるとか。彼の名前でググりますと、結構な数の講演会がおこなわれていることがわかります。上智大学やアメリカの大学でも精力的に歌舞伎についての講義を行っていて、数多くの歌舞伎脚本の翻訳や歌舞伎についての本を出しておられるとのこと。まさに、日本の歌舞伎を海外に紹介する掛け橋的な役割をされておられる模様。

ちなみにイヤホンガイドについては1982年から担当されているそうですので、32年の大ベテランでおられます。

解説ですが彼は記事の中で日本人よりも外国人の方が歌舞伎のドラマの人間性に惹かれる(歌舞伎に対してステレオタイプなイメージを持っていないことが理由とのこと)と考えていることからもわかるとおり、アクションや技に対しての説明はほとんどなく、むしろ無音です。これは聞くよりも見たほうが良いとの考えからではないかと思います。周囲の外人さんもおおとか言って楽しんでましたしね。ガイドの内容ですが、、主にドラマを理解するために必要な場面の説明とセリフの翻訳で構成されています。が、合間合間に尾上菊五郎劇団の歴史やそれぞれの俳優についての説明等、社会史研究家としての大島氏ならではの解説が入っていました。これは日本語版の酒井孝子氏の説明にはなかった部分です。

②素襖落 Tove Bjork氏

女性のガイドさんでした。自分の英語の発音はよく他の人にヨーロッパ系の発音(ただしヨーロッパに滞在経験はなし)と言われるのですが、聞く方は結構苦手です。例によってこの方の発音も割とフラットで、慣れるまでにちょっと時間がかかりました。

ビョークという発音を聞いた時にあの歌手のビョークを思い出しましたが、検索で名前が引っ掛かるページはドイツ語が多いこと、フンボルト大学ベルリンで修士号を取得されているというプロフィールが紹介されていること、また、「二代目市川團十郎の日記(江戸時代1700年)」という題で講演を行ったり、大学で講義しているところを見るとドイツの歌舞伎研究者だと思われます。

ビョークさんはちょっと滑舌が悪いところもありますが、ユーモアも交えつつ、説明をされていました。日本語版の園田栄治さんの解説がとても好きだったので、ちょっと物足りない気もしましたが、外人向けということを考えれば、全然よいのではと思いました。むしろ、園田さんレベルのものを英語で提供するって無理でしょうから。

③名月八幡祭 Bonnie Dixon
女性の方です。米国英語の発音だったので多分、アメリカ人の方だと思われます。若い方ではないと思います。いろいろ調べてみたのですが彼女のプロフィールは謎です。名前でググるとバイリンガルの弁護士さんの名前が出てきて、在日年数も長さそうなのでもしかするとのこの方なのかな?と思いたくなりますが、そこでは弁護士としてのプロフィールしか書いていないので確証は得られませんでした。

さておき、ガイドの内容です。
スタイルとしては大島氏と同じタイプです。衣装や小道具の説明は全くなく、セリフや場面の説明をメインに、幕が上がる前や幕間に俳優の紹介と作品の紹介が入ります。俳優や作品の紹介が日本語版よりも詳しいのはこれまた大島氏と同じ感じです。特にこの歌舞伎はドラマがメインなので、セリフや場面説明がメインになるのは当然と言えば当然ですね。

発音が聞きやすかったせいもありまして、とても楽しめました。

英語版イヤホンガイドですが一つ難を言えば、セリフの翻訳や場面の説明が俳優のセリフにかぶってしまうことが多く(これはオペレーターの問題かもしれませんが)、日本語でのセリフをじっくり堪能できません。ただそれを除けば、英語自体は難しいことをしゃべっているわけではないので、大好きな歌舞伎で英語の勉強を!という人にはお勧めできると思います。もちろん、日本語がわからない外人さんにもお勧めです。

私はバレエが好きなのですがバレエのような西洋舞踊に対する理解が日本人はない、という意見をよく耳にします。でも歌舞伎を見て思ったことは、歌舞伎があったから、むしろ西洋舞踊にたよらなくてもよいのだともいえるのではないかということです。

歌舞伎もバレエも同じぐらいの歴史がありますが、歌舞伎や能は日本人に合った踊りなので、そちらを重視する文化であることはそこまで嘆くことではないと思います。もちろん日本でも素晴らしいバレエダンサーがたくさんいますので応援していますん。ただ、坂東玉三郎氏なんかは歌舞伎の役者としても一流ですが、バレエダンサーとしてもプロの腕前であるなどと耳にしますし、そうすると歌舞伎役者もバレエダンサーも、踊り手が観客を魅了するもの、踊り手としての才能はバレエも日本の古典芸能もそこまで違うものではないのかなとも思うのです。そこを棚に上げて、日本人は分かってないと言われてもなぁと思うのです。昔から日本の文化としてある歌舞伎がバレエより重視されるのは仕方がないんじゃないと思います。バレエ後進国=文化的後進国ではないですしね。はてさて。