砂時計と迷ったけど

砂時計は昼ドラで見てたから


朝まで特命係長 只野仁 傑作選
を見ることに決めた!


見ながらレポートがんばるぞ!

絶対レポート終わらせる。

「それが今回の特命だ!」
最寄駅を少し歩いたところに、少し大きめの国道が通っていて、夜中だからか、イヴの夜だからか人通りが少ない歩道橋があって、

黄昏たくて、その歩道橋の上から夜の街を眺めてた。ただぼ~っと眺めてた。

行き交う車のヘッドライトや赤色のテールランプがめっちゃきれいで、最近近視、乱視ぎみの目にぼんやり映りこむ無数の光は幻想的で。
もうこれはイルミネーションっていってもいいんじゃないかなって思った。


タバコなんて普段は吸わないんだけど、なんか自虐的な夜は吸ってしまう。タバコをふかして、煙の行方を追っていると自分の世界にinできる。
虚しい夜はもっと虚しく。
自虐ナルシシズムってやつ。


その歩道橋から見えるラブホテルが二つある。
わたしがぼ~っとしていると、わたしと同い年くらいのカップルがわたしの後ろを通って行った。なんとなく目で追っていると、そのラブホテルに消えていった。

なんか興奮した。

その後も何組かのカップルがわたしの後ろを通ってラブホに入っていく。ラブホから出てきたカップルはわたしの後ろを通って駅の方に向かう。

それを見ていると本当に世の中にはいろんなカップルがいることが分かる。
禿げあがったおっさんと、ギャルっぽいお姉さんが腕を組んでラブホに入っていく。
酔っ払った中年カップルがラブホから出てくる。その後に大学生風カップルが出てくる。

これがセックスした直後の恋人たちか。

うん、なんか興奮した。


でも、やっぱり虚しかった。

わたしはイヴの夜に何してるんだろ?


またタバコに火をつける。

吐き出してるのは、タバコの煙か、ため息かわからないよ。


そんな感じで歩道橋から国道沿いを見下ろしていたら、視界の右上の隅の方に流れ星が流れたのが見えた。
道路を見ていたから、はっきりと見たわけじゃないんだけど、焦点はあってなかったんだけど、
あれは絶対に流れ星だ。


空を見上げるとめっちゃ綺麗な星空だった。都会の空ではめったに見れないような、本当に綺麗な星空だった。オリオン座がはっきりわかった。


やっぱりさっきのは絶対に流れ星だ。


いや、もしかしたらサンタクロースがソリに乗って飛んでいたのかも。なんてね。なんてね。


うん、下ばっか向いてちゃ駄目だね。上を向いて歩こう。



それから家に帰って明石家サンタを見た。

笑った、笑った。

明石家サンタがある限り一人のイヴも悪くないよね。
きっと君は来ない。ひとりきりのクリスマスイヴ。Silent night,Holy night


さみしいさみしいさみしいさみしい。

なんだよ。あいつ。


クリスマスってのはさ、大事なのはね、醍醐味はね、誰が何と言おうとイヴの夜なんですよ。25日じゃないんだよ。25日では駄目なんだよ。
恋人同士はイヴの夜は一緒に過ごさなきゃいけないんだよおおお。

あたしほったらかして今頃あいつなにしてんだ?ばかか?馬鹿なのか?


「24日は学童サークルで子供たちとクリスマスパーティ、夜は22時までバイト。25日なら一日空いてるからその方がゆっくり会えるから25日に遊ぼ」


って何?Why?だよ。Why?

わたしは24日に会えると思って、友達の誘い断って待ってたんだよ。
バイト22時までなら会いに来れるだろ!会いたいの、わたしは!


でも、そんなこと言えない。
素直になれない。


「分かった。25日楽しみだねっ」


って。はぁ~。ほんと素直じゃないな、わたし。かわいくない。

なんで彼氏相手につよがってるんだろ?

「会いたい」

っていえばよかった。このくらいのわがままは許されるはず。ちょっと困らせるくらいが可愛いはず。



やっぱり君は来ない。一人きりのクリスマスイヴ。
聖なる夜に、まさにSilent nightだよ。