カラーマーケティングとは、カラーの特性を生かしたマーケティング手法である。
企業がマーケティング活動を行っていくなかで、商品開発のためにカラーをパッケージに効果的に使う場合もあれば、企業のイメージ戦略や販売促進活動に使うことがある。
21世紀を迎え、商品の変化するスピードはますます速くなってきた。
カラーの持つ特性をよく理解することで、カラーをいかに有効に使い、いかに価値を生み、売上げを上げるかが重要である。
また、他社と差別化を行うためにカラーはコスト的にも安価で、視覚的にもすぐ変化をもたせやすい。
さらに、単にカラーが目立つだけではカラーマーケティングではなく、カラーとマーケティングミックス(4P)が両立していることが必須である。
カラーが特に関わるのは、「Product」(製品)であるが、「Price」(価格)「Place」(流通経路)「Promotion」(販売促進活動)にもカラーは無縁ではなく、間接的な関わりがある。
例えば、価格の表示方法に割引しているということを消費者にアピールする際、大胆に赤や黄を用いて視認性を高める。
そして、流通経路に至っては、どの店舗で売るかによって好まれるカラーも異なってくるので、客層を十分にリサーチし、販売するカラーを選択しなければならない。
また、販売促進にカラーを効果的に利用することによって、消費者の目には製品がより良いものに見え、新鮮に感じる効果が生まれる。
間接的ではあるが、それぞれカラーを利用することによって製品の付加価値が上がり、売上げを上げることができる。
では、一番カラーと深く関わりがある製品はどうだろうか。
製品を構成する要素は、カラーだけではなく、素材とデザインも要素として加わってくる。
例えば、製品を作る際、見てすぐわかる・色があると美しいというカラーの特性を生かすことは、消費者に強いインパクトを与える。
しかし、カラーだけで製品が成立するわけではない。素材や質感(注1)、優れたデザインも踏まえた上で、それを製品コンセプトにうまくマッチさせたトータルなバランスが必要である。
カラーに少し見慣れてきた傾向にある今、これからのカラーマーケティングには、素材やデザインの選出が大きく売上げに左右してくると思われる。
84,7%もの人がものを買うときに色を第一の理由としている。
そして62〜90%の人は色のみに基づいており、その時間もわずか90秒間で購買を判断している。
このことから、色彩がいかに人の購買に大きな影響を与えているのかが分かる。
つまり色彩によって「成果」を上げるためには、いかにして消費者に「買いたい!」と思わせる様な色を使ってゆくかが重要なテーマになるのである。
左右それぞれのサイトの成果を比較したABテストとその結果である。
左では緑色のボタンを、右では赤色のボタンが利用されている。
これらのABテストを実施したとき、どちらの方が成果を出せただろうか?
正解は右の「赤色」のボタンを設置した方だ。
実験によれば赤いボタンを設置したサイトの方がクリックスルー率を21%アップさせることができたのだ。
この要因として、赤色が人に行動を起こさせるようなカラーであることが考えられる。
この赤色の特性が人の行動を導き、緑よりも成果をあげることができたと言えると思われるが
成果を上げる色が必ずしも「赤」や「オレンジ」でない場合もある。
周りのデザインと比較して「浮いた」印象のあるようなカラーリングを選択できればユーザーの目に留まりやすくなり、CVRも上昇する可能性があるのだ。
深い青い色のボタンから、明るい黄緑に変更している。
これにより明らかにボタンが目につきやすくなり、成果としても35,8%上昇しているのだ。
「明るい黄緑」のボタンから、「青枠で囲まれた黄色」に変更しています。
前の例と同じように、本テストでも黄緑を使っているが、こちらは明るすぎてかえって見づらくなっている。
よって青と黄色の方が知覚しやすくなり、CVRとしても14.5%上昇たのだと思われる。
以上のことから、大切なのはコンバージョンボタンが周囲に埋もれないこと、かつ悪目立ちしすぎない色を選択することが大切になるが、ロゴにおいてはそれでは不十分である。
より重要なのが「そのカラーはブランドイメージと一致しているか?」を考慮することである。
もちろん「安心感を与える緑を使う」など、与えたいイメージからの選択も重要だが、商品や会社のコンテキストをより考慮しながら、カラーリングを決定するのが重要になるのである。