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僕はしゃべれない。
障害者というよりも、むしろ異常者と言った方がいいかもしれない。
僕には母のぬくもりというのがわからない。
母の葬式に父親の愛人が線香をあげにきた。
以前何回か寝泊りしにきてた人だ。
僕にそっと会釈をして、あたかも線香花火が散るかのように
怒り狂った顔を僕に睨みきかせ 帰っていった。
彩、僕は彩がいなくなってまた一人ぼっちだよ。
この口も彩がいないなら いらないかな なんて言ったら
その大きな口で バカ野郎ー なんて叫ぶんだろうな。
彩、ごめんな。ごめんなって言葉を聞かせてあげられなくて。