「タバコやめたら?」
「そんな簡単にはやめられへん」
「やめる気はないん?」
「ないなぁ」
「タバコやめるのってそんなに難しいん?」
「難しいよ」
「どれくらい?」
「どれくらいとは?」
「タバコをやめる難しさを、他の何かにたとえて表現するとすれば」
「するとすれば・・・たとえばタバコを吸うのをガマンするということは」
「ということは?」
「虫に刺されたとこをかかないということくらい難しい」
「・・・爪で×点つけるのもなし?」
「なしやな」
「・・・それでもガマンできそうやけどな。かいたら余計にひどくなることわかりきってるんやから、俺割りとかかへんで。ムヒとかなくてもそのままでガマンするで。そう考えたらタバコやめるんはたいしたことないんちゃうかな」
「待って待って。それやったら俺が心弱い人みたい」
「でもそうなっちゃいますよね」
「じゃあ朝起きるのがしんどいって人いるよね」
「あぁ俺とかそのタイプやわ」
「じゃあそれ。冬の朝に早起きすることくらい難しい」
「まぁでも仕事やなんやで絶対起きなあかんねやったら起きるけれども」
「じゃあ仕事以外で。早起きして本を読むとか勉強するとか」
「本とか勉強でも自分が興味持ってやってることやから、起きるって決めたら起きれるんちゃうかなぁ」
「じゃあ興味ないことって言ったらなに?」
「・・・インド映画?」
「じゃあインド映画にしよう。寒い冬の朝に興味のないインド映画を2時間見るために布団から抜け出すこと、できる?」
「あぁそれは・・・難しいなぁ」
「それを毎朝やで」
「それは不可能やな」
「やろ?タバコをやめるってのはそれくらい難しいねん」
「そうかぁ。タバコをやめるってのは寒い冬の朝に興味のないインド映画を2時間見るために毎朝早起きすることくらい難しいんや」
「そういうことよ。わかってくれたね」
「そうやな。でもってことは、タバコを吸ってない俺は今毎朝2時間のインド映画を見てるってことになるんかなぁ」