彼が片割れだと知った時

 

彼に対する全ての気持ちが腑に落ちた。

 

初めて会った日に

 

彼に好かれる女の子になりたいと思った。

 

彼にとっての大切な誰かが羨ましいと思った。

 

自分の生き方が

 

こんなにも彼と違う事に嘆いた。

 

なんで私はこんなんなんだろう、

 

なんでもっとまともに生きてこれなかったんだろう。

 

恥ずかしくて釣り合わない自分と正反対に

 

心は会わない間にも

 

どんどん惹かれていく。

 

彼との出会いは

 

漫画の主人公にでもなったような気持ちで

 

今まで待ち焦がれていた人に出会ったような

 

切なさと息苦しさとなんとも言えない気持ちだった。

 

人より何も持たない私は

 

未成熟のまま彼と付き合った。

 

未成熟な私は

 

彼の友人達からすると異物で

 

好奇な目で見られているような

 

恥ずかしい気持ちになる。

 

私はどうにか自分を取り戻そうと

 

資格を取ったり

 

疎遠になっていた読書を始めたり

 

少しでもインテリっぽい彼に近づきたくて

 

足掻いていた。

 

けど、そんなもの剥がれてしまう。

 

自分のことは自分が一番よく知ってる。

 

今までの生き方と中途半端な自分が嫌になる。

 

彼と出会ってこんなんじゃダメだと思っていた感情が

 

これではダメなんだ、に変わった。

 

そこから6年、彼と付き合う事になる。

 

別れて10年後、片割れだと知った。

 

あの時苦しくてもがいて

 

もがきながら別れて

 

ずっと心の奥に閉まっていたこの感情の答えが

 

少しずつ分っていった。