月夜の晩。
緋眼町の細い路地をゆらゆら、と足取り軽やかに爍が歩く。
その隣で、彼とは正反対に真っ直ぐと道を灯は歩いていた。
「ねぇ、爍」
灯が爍へと問いかける。
「どうしたのじゃ、灯」
灯は何かを言いかけた。
しかし、言葉が突っかえたの灯が首を横に振る。
「いい、やっぱりなんでもない」
そう、呟けばそっぽを向いた。
爍よりも先へと歩みを進める。
この胸のモヤモヤは何なのだろう。
言葉に表せないのが悔しかった。
そんな彼女の姿に爍は愛おしそうに瞳を細める。
「矢張り、儂が見込んだ女だけあるのぉ」
夜はまだ終わらない。
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