皆さん、こんにちは。

主の御名をたたえます。

しばらくぶりの更新ですが、お元気でしたでしょうか。


さて、やや時間がたってしまいましたが、2022年4月10日(日)の春日部グレイスチャーチでの聖日礼拝で、信徒のN兄(教会では、血のつながりがなくても、同じクリスチャンであれば、「兄」(きょうだい)とか「姉」(しまい)ということにしている。)が証をしてくださいました。
その内容がとてもすばらしかったので、記録し、N兄承諾の上で、皆様に分かち合いたいと思います。

4月2日(土)、N兄のご両親の家に、警察を装った詐欺男が来た。
そのときは、母親しかおらず、父親は不在だった。
母親が詐欺男の言いなりになってしまい、通帳もカードもすべての情報も渡してしまった。
銀行預金は全額、すべてが引き出され、ゼロとなった。

そこで銀行からN家に電話があり、残高がゼロだが、騙されていないか、といわれ、事件が発覚した。
N兄とその兄はそのことを聞いて何かの間違いだろうと思いつつも実家に駆け付けた。
事実を知らされ、N兄は非常に怒り、その詐欺男に対する怒りでいっぱいになった。
コツコツと働いて、老後のために貯めてきたお金を、すべて奪ってしまうなんて赦せないと怒った。
あまりに怒ったので、これではいかんと、まずは祈ることにした。
「主よ、私はその詐欺男が赦せません!我慢できません。」
すると不思議なことに、神様からお言葉があった。
ルカ10章30-37節の良きサマリヤ人の話がどっと頭に飛び込んできた。
主は言われた。
「人を裁くのは私のすることだ。おまえは、良きサマリヤ人のようであれ。」

(良きサマリヤ人:
強盗にやられて傷ついた旅人を見た祭司やレビ人は、面倒に巻き込まれたくなかったので、無視した。
しかし、サマリヤ人は、傷ついた旅人を介抱し、宿屋に連れてゆき、助けてあげた。
この旅人の隣人になったのは、良きサマリヤ人であった。)

すると、これまで詐欺男に対する怒りに満ちていたのに、祈りの内容を変えることにした。
「主よ、まずは母の命が守られたことを感謝します。今回、詐欺にあってお金を奪われてしまいましたが、この詐欺男が、いつの日か、心から罪を悔い改め、謝りに来ますように。
また、両親もお金がなくなってしまいましたが、神様が両親を守ってくださいますように。」
こう祈って、この祈りはまさに神からの導きだと感じた。

そこで、N兄は、いったん職場に戻り、K兄にそのことをすべて話した。

それから数日後、N兄の兄から電話があった。
「父親がいない。朝から出かけてまだ帰って来ない。
これはもしかすると、自殺でもしようとしているのかもしれない。」
するとN兄は言った。
「親父が自殺などするはずがない。私は神様に祈ったから、神様が必ず守ってくださるのだから、そんなことが起こるはずがない。
それに、彼はこんなことで自殺するような心の小さい人物でもない。」
こうは断言したものの、父親が行きそうなところをくまなく探してもいないし、夜になってもまだ帰らなかったので、兄がまた言った。
「これはもしかすると本当に自殺したかもしれない。万が一のこともあるかもしれないから、お前も覚悟しておけ。」
N兄は、神様が導いて守ってくださるように祈ったから大丈夫だという確信があったのだが、不安に駆られたり、神に信頼したりと、不安定な状態だった。

それからすぐ、また兄から電話が来た。
「親父は今、警察にいることが分かった。なんと、詐欺男と一緒にいるようだ。」
「ええ!!」

N兄は父親から話を聞いた。
父親の話はこうだった。

今日、家の玄関に見知らぬ男が来た。
彼は黙っていたが、震えていた。
誰だと聞いても応えられないほど震えていた。
お前は俺を知っているか?と聞くと、うなづいた。
4月2日に、うちに来たか?と聞くと、うなづいた。
そのとき、警察を装ってきた男か?と聞くと、うなづいた。
何しに来た?と聞くと話したいことがあるから入れてくれという。
知らぬ者を家に入れられない。
お前は車に乗るか?と聞くと、軽くうなずいた。
免許はあるか?と聞くと、またうなずいた。
見せろというと、見せた。
そこで父親は、免許を確認し、「これは俺が預かるから」と言って、男の免許を自分のポケットにしまった。
身元が分かったので、中に入れた。そして話を聞いた。

彼は北海道に妻と子供たちがいて、仕事がないので、東京に出稼ぎにきたのだそうだ。
世田谷に住み、土木作業員をしているが、北海道の家族に仕送りすることができない。
家族はこのままでは飢えてしまう。何とかしなければ、という気持ちで、インターネットで「高収入」というアルバイトに応募した。
そしたら、この詐欺の受け子の仕事だった。
そして警察を装って、こちらのお宅に来て、うまくだまし、カードやすべての情報を得た。
すぐに銀行ATMで99万円を下ろした。次いでコンビニで下ろしまくった。残高ゼロ円になるまで下ろした。
その金はすべて本部に渡した。
しかし、それから、心が異常に苦しくなり、夜もまったく眠れなくなり、あまりに心が苦しくて耐え切れなくなった。
そこで友人に相談したら、友人は言った。
「お前は、その被害者のお宅へ行って、すべてを話し、罪を償え」
彼はそれを聞いて、大泣きに泣き続けた。

そして、その通りに、彼はN兄の両親宅へやってきたそうだ。
そして彼はN兄の父親に、すべてを話した。
金を本部に渡したことを聞いた父親は、「じゃあ、もう金はもどって来ないな」と言った。
男は、うなづいた。そして、申し訳なかったと言って、大泣きに泣いた。

父親は言った。
「で、おまえは今日、何のために来たのか?」
「心が咎められて、夜も眠れず苦しみ続け、耐えられなくて、友人に相談したら、こちらに来てすべてを話し、罪を償うように言われました。
どうか、わたしと一緒に警察に行ってください。」
「お金はもう帰ってこない。俺はもうこの先長くはないが、お前は若いから、やり直せる。
これに懲りて、もう二度と過ちを犯さないように。
俺はもうお前を赦したから、もうよい。はやく逃げなさい。」
「それでは私の気持ちが収まりません。どうかわたしと一緒に警察に行ってください。」
「しかし、お前が逮捕されたら、北海道の妻や子供たちが生活していけないだろう。警察に行けばお前は逮捕されるぞ?」
「もうどうなってもかまいません。私を警察に突き出してください。」
「そこまで言うなら、じゃあ、行こう。」

というわけで、警察に行っていたそうだ。
警察で、父親はその男のために言った。
「お願いします。どうか彼を赦してやってください。私は訴えません。彼はもう十分反省しています。」
すると警察は言った。
「そうは言っても、すべてはまず逮捕してからだ。でないと、犯罪組織がまたどこかで同じようなことをしてしまう。
だから、まずこの男を逮捕して、犯罪組織を検挙するために、あなたはどうか、この男といっしょに協力してほしい。」
父親は、彼を逮捕しないでくれ、と頑張った。しかし警察からN兄のところに電話があった。
「お父さんに説得してください、犯罪組織を検挙するために、まずは彼を逮捕しなければならない。協力するように言ってください。」
そしてN兄は父親を説得し、男は逮捕された。

この出来事から、神が祈りを聞いておられ、そして速やかに応えて下さるということを知った。
犯罪者であっても、その人も被害者でもある。傷ついた人を裁くのではなく、介抱し、救いへと導いてやることが大切だ、ということを知った。
すべてを神様にゆだね、神様に信頼することの大切さを知った。

主がこの先、罪を悔いたこの男を導いてくださり、イエス様と出会い、救われるように、またその北海道の家族が守られ救われるように、また、犯罪組織も全員自首して悔い改めるよう期待して、祈りましょう。
すべてを神様が導いてくださると信じます。

ハレルヤ!
アーメン。
シャローム!