~あとがき的なアレ~ | なんてことない非日常

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駄文ばかりの辺境館ですが、広いお心で読んでいただける方歓迎しております。

~あとがき的なアレ~




 「カット!カットだそうですよ!?敦賀さんっ!!!」


「え?そうだった?」


「はいぃっ!!だから・・・もう、お放し下さいませんか~!!?」


グルングルンと廻る目で必死に訴えると、ようやく蓮はキョーコから渋々手を放した。


「洋くんもお疲れ様だったね?」


片手に抱いていた少年を蓮がそっと下ろすと、少年の方は放された事を不服そうにした。
どうやら、蓮が抱き上げた高さは周囲を見下ろせて気持ちがよかったらしい。


今しがた、撮影が終了した『桃見乃宴』に出演していたキョーコと蓮はその少年の様子に微笑んだ。


「お疲れ様でした・・敦賀君、京子さん」


「緒方監督・・・すみません・・・社長の我がままに付き合っていただいて・・・」


「そんなっ、僕もお世話になりっぱなしだったから・・何か恩返しできたらと思ってたんだよ」


今回の発案者であるローリィは、平安貴族の格好に至極満足していた。


「このまま花見にするか!!酒だ酒を持てぃ!!」


急に、原点に立ち返ると宣言し平安貴族の格好をしたらそのまま一本映画を撮りたくなってしまったローリィは色んな人を巻き込みながら本当に撮りきってしまったのだ。


「あ~っもう!!この十二単重いのよ!!脱いでもいいでしょう!?」


奏江がかつらを外しながらドタドタとセットから出てくると、一緒に出てきたマリアに諭された。


「きっとこのまま花見ですから、おじい様が脱ぐのを断固拒否しますわよ?」


その言葉に、奏江がうんざりした表情をしたのを見届けてクルリと体を翻すとマリアは走り出した。


「お父様!とってもお似合いですわ~帝の衣装」


「・・・なぜ・・私までこんな格好に・・」


「おじい様と血が繋がっている宿命ですわ」


ガックリとになだれる父を、マリアは辛らつな言葉で慰めるのだった。


「なんだか・・・皆さん疲れてますね?」


「一人だけだよ・・元気なのは・・・」


今の状況にキョーコと蓮がため息をついたのだが、もう一元気な人物が現われた。


「蓮ちゃんも、キョーコちゃんもと~ってもお似合い!やっぱり私、センスいいわあ~でも、一番はダーリンよね~♪」


((まだいた・・・元気な人・・・・))


テンが女房姿でスキップしながら、セットを走りローリィの元に向かうのを二人は呆然と見送った。


「京子さん・・・あの人何ものなんですか・・・・」


元気なテンに千織が度肝を抜かれてそう溢すと、キョーコが同情しながら苦笑いで返した。


「でも、楽しかったですっ敦賀さんと演じられて・・元になったお話・・とは随分違うものになっちゃったみたいですけど・・・・」


キョーコはやっと落ち着いた周囲の様子を眺めてから、苦笑いをしつつ蓮に振り返った。


「・・・・お姫様・・・だね?」


「え?マリアちゃんですか?可愛いですよね~」


皇貴と戯れる、着物姿のマリアにホクホクと表情を綻ばせたキョーコを蓮は目を細め見つめた。


「・・・・最上さんが、だよ?」


小道具の桃の花びらを頭に乗せ、驚きの表情で見上げるキョーコに蓮はスッ・・・とその花びらを摘もうと手を伸ばした。
その時。

ドガッ!


「きゃあ!?」


キョーコの背中が激しく蹴られた。


「おい!何で俺が悪役なんだっ!!」


「ったぁ・・・・・ショータロー!!アンタこそ何勝手に出演しちゃってんのよ!?歌しか歌えないシンガーソングライターなんでしょう!!?」


「なっ!こ、この周辺を散歩してたら急に変な集団に拉致られたんだよっ!!」


「だったら断ればいいじゃない!」


「うるせ~!!!お前こそ・・・あんなシーン演じるんじゃね~よ!!」


「!!今、それ言わなくてもいいでしょう!?やっと忘れたのに!!」


蓮の存在を忘れ、ついそうキョーコが叫んだ途端・・ひゅ・・・っと周辺の温度が下がった。


「・・・へ~忘れたんだ・・・俺との大事なシーンを・・・」


「!!ひいっ!?い、いえっはいっあのっし、心身上好ましくない状態になりますので」


「好ましくないってどの状態?」


「ひ・・え・・・そ・・・の・・・」


「うん?」


「おらっ!今、こいつは俺と喋ってんだよ!!」


「役者同士の話に首を突っ込まないでもらえるかな?」


「か、勝手に巻き込んだくせに!!」


「それは悪かったね?もう、終わったから帰ってくれて構わないよ?」


「なっ~っ!!!!」


さらっと要らない宣言をして、手の甲でしっしっと払われた尚が絶句している間に蓮はキョーコに向き直った。


「さて、最上さん・・・演じたことを忘れるとはどういうことかな?」


「はっひぃ!!・・・お・・・」


「お?」


「~っおっ、思い出すだけで破廉恥なんですもの敦賀さんが!!」


がっ!が!が・・・っとキョーコの声がスタジオ中に響くと、キョーコに同情するかのように周りの視線が蓮に降り注いだ。


「確かに・・・あの子にそこまでしなくても・・・」


「脚本に聞いたら、そこまでは書いてないって聞いたぞ?」


「京子さん・・かわいそう・・・」


「敦賀君・・・・今年も抱かれたい男№1でしょうね・・・」


急にアウェーになった蓮が呆然としていると、矛先をキョーコに向けたかった尚はやる気を削がれつまらなさそうにその場を後にするのだった。


「京子ちゃん・・敦賀くんだって男の子なんだし、多めに見てあげないと」


「貴島さん・・・」


「なんなら俺と記憶の塗り替えしちゃう?」


「は?」


「貴島君っ・・・最上さんはそんなことしないよっ・・・社さんも何か言って下さいよ・・・ちゃんと演出だったって・・」


いつもなら、亥の一番に会話に混じってくる社の姿が見えず蓮は周辺を見渡した。

すると、社はセットの隅でブツブツと赤くなったり青くなったりしていた。


「なんで、蓮のマネージャーなのに俺まで役をやらないといけないんだっ嫌だ~社長宅で鑑賞会とか絶対あるっ嫌だ~~っ」


「・・・・・・」


蓮は、社をそっとしておくことにした。

その近くにも同じようにセットの隅でブツブツ言っている人影が見えた。


「キョーコちゃんがっキョーコちゃんがあんなシーン・・・しかも敦賀さんと・・そのうえお似合いだなんてっ」


「しっかり!リーダー!!いくら牛飼い役だったとはいえ、キョーコちゃんと共演できたんやしっ」


「そうそう!たとえ、一瞬しか映らなくても俺らの目にはちゃんとリーダーの演技は焼き付いたで!?」


光を囲んでなにやら慰め会が始まっているのを、蓮はさらに見なかったことにした。

そうこうしている間に、貴島の手がキョーコの肩を抱き寄せているのを見て蓮は作った笑顔を顔に貼り付けた。


「貴島君、悪いけど・・・最上さんとふ・た・り・で、反省会をしないといけないんだ。返してもらうよ?」


そういうが早いか、蓮は顔を引きつらせるキョーコを貴島から奪い返した。


「ええ?京子ちゃん嫌がってるように見えるよ?敦賀君も案外無粋だね?」


「そうですか?この間言ったじゃないですか・・・俺は最上さんの声を直接聞きたい、話がしたいんだって」


「俺だって、直接聞きたいし?聞けないときはメールで繋がっていたいんだけど?」


「「・・・・・・・・・・・・・・」」


青白い火花を散らしている二人に、キョーコはただオロオロするだけだった。


(なにやってるんだ・・・アイツは・・・)


そんな様子を遠目に見ていたローリィの後ろから、テンがしがみついた。


「ダーリン!今年もいい春を迎えられそうね?」


「ん?・・・・・・・・そうだな・・・今年も面白くなるだろうなあ」


にやりと笑ったローリィの気配を全員、その時感じ取ったが誰も関わりたくないので口にしないことにしたのだった。



「もう、敦賀さん・・いつになったら瑠璃のこと迎えに来てくれるのかしら・・・」


一人・・忘れられたまま・・・・・。




end



《~本当のあとがき的ないいわけ~

こちらはアイミルにはなかった部分なので、別アップですw
アイミルの素敵なテイストでは、こんなの書いたら台無しだよ!でも、ウチのサイトはこっち系なので♪

こういうのが一番楽しいです。ドタドタ感www
収拾付かなくなるくせに・・・

収拾付かなくなるといえば、今回の大筋ですが・・・話を反らしていくつもりがガッツリのっかてますね・・・。
きっと気づかれた人もいますよね~
スキビの前に大好きになったお話の一つです。(同じ白泉社ですねw)
いいのか!?・・・とも思いながらも・・・もう既にがっつりスキビは乱用しているわけで・・・・。
不快に思われた方がいらっしゃったら申し訳ございません!!
スキビ同様、素敵なお話しなのでご一読をお勧めしたいぐらいです♪
この作品のお陰で古文がよい成績でしたw

こんな風に毎回すんなりアップできないのが心苦しいですが、これからも遅筆ながらボチボチ書いていきますのでこれからもよろしくお願い致します!!

ここでぽろっと・・・アメンバー様が700名まで5名を切りました。
これも一重に皆様のお陰だと思っております。
心より感謝申し上げます。

ユンまんまでした。》