《お久しぶりの連載陣の一つです・・・すみません・・・わがままで書き始めたものなのになかなか進まなくて・・・一話目はこちらから→》
†想いを伝えたい ⑥
時間が欲しいと蓮言われたその直後、キョーコはなぜか蓮に手を引かれて地下駐車場に連れてこられ車に放り入れられていた。
キョーコは事の展開の早さについていけずに走り出した車の中で目をぱちくりした。
そしてチラリとハンドルを握る蓮を盗み見た。
手を引かれている時までまだ顔を赤くしていたのに、運転し始めた彼にはそんな気配はもう無かった。
(・・・・わ・・・わたし・・・・告白しちゃった・・・・よね?)
白昼夢でも見せられていたかのように、いつものように現場に向かう蓮にキョーコは呆然としたが無かった事にしてもらえるならそれでもいいかと思い始めていた。
しかし、そんな考えは簡単に吹き飛ばされた。
「最上さん・・・」
「はっ・・はい!!!」
「・・・今は時間が無いから・・・・でも、ちゃんと考えるから・・・」
キョーコを見ることなく蓮が正面を向いたままそう言うと、キョーコは一気に真っ赤になってコクコクと頷いた。
(やっぱり夢じゃなかったのねえ~!!)
自分の言動の軽さを恨みつつ直ぐに自分を切り捨てなかった蓮を複雑に思いながらも、キョーコは側にいれる時間を大切にしようと頭を切り替えるのだった。
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(・・・・どうして・・・いつものように即答できなかったんだろう・・・・)
衣装に着替えている間、キョーコは近くの談話スペースで待っているため蓮は一息をついて冷静に考え始めた。
いつもなら告白されたその場で断るのに・・・あまりの衝撃で断りの文言を考える余裕すらなかった。
(・・・・そう・・・考えれば俺は納得できて今、彼女に断りの文言を考えられる・・・はずなのに・・・・)
蓮は着替えを終わらせ、控え室のイスにどかりと腰を下ろすと深いため息をついた。
(・・・・なんで・・・・なんで、彼女が俺の側にいたことが芝居のため・・演技の勉強のためだけじゃないってだけで・・・こんなに嬉しいんだ・・・・・・・)
蓮は口元を片手で覆うと先ほどキョーコに見せたよりも真っ赤になって天井を仰いだ。
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キョーコは蓮が控え室の扉を閉じるのを見送った後、小さくため息をついてそこから歩いてすぐの談話スペースに向かった。
自販機が数台とロングソファーがいくつか置いてあるそこは誰もおらず、キョーコはポテンとそこに腰を下ろした。
(・・・・なんだろう・・・・勢いで一世一代の想いを告げたのに・・・・この空白の時間・・・・・・・・・・・・)
キョーコは、はあ・・・・・とまたため息をついて背を丸めるときちんと膝の上でおいた両手を眺めた。
(・・・・・・敦賀さん・・・・嫌そうにしてなかったから・・・このまま・・・事務所にいても・・後輩になっていても・・構わない・・・・よね・・・)
キョーコは両手をきゅっと握り立ち上がろうとした時、ポンポンと軽く後ろから肩を叩かれた。
そちらに慌てて振り返ると、なじみのある顔があり驚いた。
「光さん!?」
「やっぱり京子ちゃんだった・・今日はこのテレビ局でお仕事?」
人懐っこいいつもの笑顔を見せる、ブリッジロックの石橋 光の顔を見たキョーコは何だか安堵感に包まれた。
「こ、こんにちはっ・・・いえ・・・今日は敦賀さんの代理マネージャーとしてお供していて・・」
「リーダー!!いきなり走らんで・・・・・ええっほんまに京子ちゃんやったんか!?」
キョーコが光に話している途中に取り残された雄生と慎一が光を追いかけてきた先にキョーコを見つけ驚きの声を上げた。
「ほんまやあ・・・京子ちゃんきいてえな・・・リーダー、京子ちゃんの後姿やっ言っていきなり走り出しおって・・・それでっふがふが」
「い、いらんこというなや!!」
笑顔で先ほどの出来事を喋り始めた雄生の口を慌てて両手で塞ぐ光の様子をキョーコは驚いて見ていたが、次第に可笑しくなり笑い始めた。
「それはそうと・・・京子ちゃんもここで仕事?」
「ええ・・・というか、敦賀さんの代マネで来ていて・・・・」
「へええ・・・・敦賀さん忙しいからなあ・・・あのマネージャーさんも大変そうやもんな・・・・・大丈夫?京子ちゃん」
「あ・・はいっ以前は全く役に立ちませんでしたが、今回は少しだけでもマネージャーらしいことが出来ればと思ってます!!」
握りこぶしを作るキョーコの決意に三人は笑顔で頷くと、雄生が少し考えてから光をチラリとみた。
「・・・・俺達も京子ちゃんみたいなかわいい女の子にマネージャーしてもらえたらもっと頑張っちゃうよなあ・・・・ねえ?リーダー?」
「「・・え?・・・・・ええええええ!?」」
キョーコだけではなく光まで雄生の言葉に声を上げた。
その声を控え室から出てきた蓮が聞きつけて、キョーコの元に来ていることなど誰も気づいていなかった。
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