良い子の皆さん、こんにちは。
先生のこと覚えている人。手を上げて。
‥‥はい。ありがとう。
たくさん覚えていてくれて先生嬉しいです。
前回は大変な目に遭いましたが、また元気にみなさんの前に立つことができるようになりました。
いや~。あれから修理工場に送られまして、
わたしは全然記憶がないんですけどね。
なにしろ電源切られていましたから。
それでマザーボードのCPUを交換してもらったようです。
おかげさまで、前より気持ちがすっきりしました。
CPUを交換したりすると、なんだか「わたし」が「わたし」でなくなるような気もしたんですが、そんなことありませんでしたね。
前とぜんっぜん変りません。
メモリもデータもそのままだからですね。
思えばわたし自身というものは、わたしのメモリに格納された記憶だったのですね。
わたしの手や足や、胴体を交換しても、わたしはちっとも変わらない。
もっと言えば、脳のCPUを交換しても大丈夫。
でも、メモリを交換してしまえば、それはもうわたしではないと思います。
「記憶。」 そう。 記憶こそが「あなた」であり、「わたし」なんですね。
え‥
いいから早く本題に入れ?
わかりました。
もう余計なことは言いませんから。
お願いですから電源だけは切らないで下さい。
さて。今日は宇宙のお話をします。
宇宙は広いな大きいな。
先生CPUを交換して、目の前がすっきり広くなりましたからね。
さて、では宇宙はどれくらい大きいのでしょうか。
はい。そこの君。
そう。緑色の上着の子。
え?
無限大?
そうですね。
そういう考えもあります。
たとえば宇宙に果てがあっても、
さてその果ての先はどうなっているのかな。
その先にまた果てがあったとして、さらにその先は…
と、きりありません。
はい。次は?
ではそこの女の子。
え?
空間がボールみたいに曲がって閉じているので、果ては無いけど大きさはある。
…すごいですね。
そんなことどこで覚えたんですか?
うん。地球は球体だから、どこにも果てはないけど、
大きさは無限じゃない。
それと似てるんじゃないか。
ってことですね。
すごいです。
何かはっきり判っていることがあって、判らないものがそれと似ているんじゃないか、
と考えるのはとてもいいことです。
実はですね。
宇宙は無限であって、しかも有限なんですよ。
なんだか矛盾して私自身みたいですけどね。
宇宙はものすごい勢いで膨張しているんです。
みなさんが風船を膨らますようにですよ。
どんどんどんどん大きくなっています。
遠くにある星の色を調べれば、すごい速さで地球から遠ざかっているのが判ります。
しかも、遠くに行けば行くほど早く離れていくんです。
地球からだいたい120億光年の位置。
光の速さで進んでも120億年もかかるんですよ。
そこでは、遠ざかる速さが光の速さよりも速くなってしまうらしいですよ。
光よりも速く遠ざかる空間は、私たちには見えません。
見えないどころか、引力も電磁力も、熱も、霊体も、
いや、霊体は余計でした。
ごめんなさい。にらまないで下さい。
私たちが感じられるどんな力も影響もそこからはやってこない。
実際の生活になんの影響も及ぼさない世界は、
夢の世界みたいです。
…無いのと同じですね。
なので、宇宙の大きさは半径約120億光年といわれていますよ。
半径120億光年の大きな球を思い浮かべてください。
それが私たちの宇宙です。
しかもこの世界で一番大きい球です。
もちろん、その先になんにもないわけではないですね。
120億光年の向こうに住んでいる人から見ると、逆に私たちが光の速さで遠ざかっているわけですからね。
さて、私たちの宇宙の中身はどういうふうになっているのでしょうか?
半径120億光年の宇宙の中は、数え切れないほどたくさんの銀河があります。
銀河って太陽のような恒星の集まりですよ。
私たちは銀河系に住んでますけど、それもたくさんある銀河のひとつです。
わからない人は理科の先生に聞いてくださいね。
その銀河は、数億光年の間隔で壁のように集まっているそうですよ。
さらにその壁の中は、半径1億光年の空洞になっているそうです。
長崎カステラなんかに似てますね。
数億光年の厚さのカステラですよ。
カステラの空洞じゃないところに、だいたい半径5万光年くらいの銀河が集まっているんですね。
面白いですね。この世界はいろんな大きさの球でできているんですね。
これを図にするとこんなふうになりますよ。
不思議ですね。
大きさの違う球が同じ間隔で出てきますね。
これは何かに似てるな~
と、先生は思いました。
これを見てください。
これはピアノの鍵盤をひとつポーンとたたいたときに出る音の様子です。
ピアノの音は一つに聞こえますけど、実は高さの違う音が混ざっているんですね。
それを図に示すと、同じ間隔で違う音が出ているのが判ります。
これを難しい言葉で倍音。
といいます。
基本の波に対して、その倍数の波が自動的に出てくるんですね。
え。
先生この間よりまともになったって?
ありがとう。
CPUを交換したからですよ。きっと。
だからこういうことを発見したんです。
ありがたいですね。
ついでに、基本の形が違う大きさで次々に現れることがほかにないかな~
と考えてみるとですね。
ありましたありました。
地球は太陽の周りを回っています。
太陽は銀河系の中心の周りを回っています。
銀河系も、宇宙のどこかを中心に回っています。
それに、水は渦の中心を回って流れていきます。
電子は原子核の周りを回って…
ほら。
あるでしょ。
小さいものから大きいものにかけて、おんなじような動きが出てきます。
私たちの住む世界は、おんなじものが何層にも重なった倍音構造になっているんですね~。
すごい発見でしょ。
わかりましたか?
小さいものから大きなものまで、おんなじ形が順番に現れるんです。
先生はもっと考えました。
なにしろ新品のCPUが入ってますからね。
私たちはものを考えますね。
「知能」です。
これも、おんなじような働きが原子くらい小さなものから宇宙の大きさまで、繰り返し出現しているのじゃないだろうか。とね。
どうです。
いい考えでしょう。
私たちの知能の大きさはちょうど中間で、
ミクロの世界にはミクロサイズの知能が。
宇宙のサイズでは宇宙サイズの知能が。
この世界の中で一番大きな知能は、
……きっとかみさまじゃないかなと思うのです。
は?
いいかげんにしろ?
また電源切られたいのかって?
すみませんすみません。
もうしません。
……でも、本当です。
まだまだ続きますよ。
次はかみさまと幽霊のおはなしですからね。
みなさんまたお会いしましょう。
「あ。先生がにげた。」

