平成27年9月16日
市民と対話する政治を作ろう~「市民マニフェスト」
橿原市のことはみんなで決めよう会まとめ
① 【住民自治・税金ビジネスホテル】
市民と行政、議会の間には、情報共有・意思疎通が不可欠です。どんなまちにしたいか、というビジョンを話し合い、実現するための基本的なルールをつくりましょう。そして、ルールに従ってまちづくりを進めましょう。総合計画に示されず、パブリックコメントもとらず、住民説明会もなかった税金ビジネスホテルは、白紙にして考え直しましょう。
② 【市庁舎・防災】
耐震強度が足りない市庁舎対策は、待ったなしです。車を持たない市民の利便と、財政上の効率・事務効率の点から、あるものを活用しつつ、可能な限り一ヶ所に集約しておきましょう。八木駅・八木西口駅周辺のほか、進捗状況により、医大病院前新駅周辺も検討に加えましょう。
③ 【財政・福祉・人口】
お金の出入りを厳しく管理することは、税金で給与を貰う人たちのもっとも基本的なつとめです。可能な限り借金残高を減らして、浮いたお金で少子高齢化対策を行いましょう。子育て中の現役世代を応援し、橿原市に住んでもらうことで、経済活性化・税収を維持します。ノンステップバスを増やす、旅行者でもわかりやすいバス路線図を備えたバス停にするなど、公共交通の見直しなどにより、高齢者の外出機会を増やし、健康寿命を延ばすことで医療費の抑制をはかりましょう。
④ 【都市計画】
八木駅周辺では、渋滞解消と駐車スペースの確保を計画的にすすめましょう。代替案のないまま、八木駅前北駐車場を取り壊すのは無謀です。また、目的税である都市計画税の使い道が市民に丁寧に説明されていませんが、利便性の高い駅周辺の高さ制限を緩和していけば、固定資産税が増え、将来的にはこの税をなくしていくこともみえてくるでしょう。
⑤ 【教育の充実】
市内小中学校の各教室のほとんどに設置されていないエアコンを設置しましょう。また、公立中学校女子生徒の自殺問題は、第三者委員会が大きくつまずき、報告が出るまでに二年を要しました。法改正により、市長が今までよりも強く教育に携わる仕組みとなった今こそ、部活動や学外活動のあり方など、教育の建て直しが必要です。
⑥ 【観光・世界遺産】
税金でホテルを作るよりも、まずはお客さんがリピートしたくなる観光政策、住民自身がこの町の魅力を語ることができる政策を進めましょう。こうした政策の先に、飛鳥・藤原の世界遺産化を見据えましょう。
たとえば……
・藤原京跡で持統天皇の田んぼアートを行う。青森県田舎館村の田んぼアートは小学生が植えており、集客力は年25万人だそうである。
・藤原京跡などで羊による除草を行い、観光客・子どもたち・高齢者・動物の触れ合いのきっかけを作る。
・観光キャンペーンガールや観光案内所の受付ユニフォームを古代衣装にする。雨風に強く着やすい古代衣装を開発して、観光客や観光ボランティアガイドの方に着てもらえるようにする。
・在日外国人の方に勉強をして頂き、外国人のガイドを母国語で対応する。美味しくて安い夕食といった口コミ情報は、人づてにしか伝わらない。また、有料ガイドは資格が必要だが、在日外国人の方の職業にできる可能性もある。
・パンフレットを作るだけでなく、見てもらえる場所に置く。関西空港には飛鳥・橿原のパンフレットすら置いていない。八木西口駅には、今井町のパンフレットがあったが現在は置いていない。
・八木~今井町~橿原神宮、藤原~飛鳥といった観光客が散策するルートについて、wi-fi整備・歩道整備・電線電柱の地中化・ガードレールの木製化ないし擬木化・民家の瓦屋根・勾配屋根の維持といった美観に配慮したまちづくりを進める。
・観光消費額を伸ばすため、駅・ホテル周辺に免税店を増やしていく。
・今井町の空き家を活用して民泊ができるようにする。
【ホテルと観光についての市民の声】
この数ヶ月で、当会に最も多くのご意見が寄せられたのは、「八木駅南の税金ビジネスホテル」についてで、市民の関心の高さがうかがえました。
・「白紙にせよ(八木町・男)」
・「行政が一般市民に知らせていない。公約にない大事業をするなら市民の意見を募集すべき。長期の維持管理費用は次世代に重たくのしかかる。(南八木町・女)」
・「民業を税金で行うことは理解できない(栄和町・男)」
・「市役所の近くにある民間ビジネスホテルを倒産させるのです か?(膳夫町・女)」
・「八木駅から30分で便利な大阪に出られるので、八木という立地では、優先的に選んでもらえる宿にはなれない(複数)」
・「足元の意見を聞かないのですか。民間の建替えで新たにホテルをやろうとしてくれている人達もいるのに。本当に市民が大事なら、市長・市議は選挙の時のことを思い出して下さい。市民が選挙にいかなくなるのは政治家のせいだと思います。みんなで輪をもとう(匿名)」
といった、否定的意見が圧倒的で、賛成意見はゼロでした。また、
・「都市や外国の人に優先的に選んでもらえるのは、里山や奈良市内など美術的な鑑賞価値がある宿なのでは(白橿町・不明)」
・「増えていく空き家を宿にすれば有効活用できる(新賀町・女)」
というご意見もありました。
【観光客の現状と、税金ビジネスホテルの採算性】
中国・韓国からの訪日客が増えており、これからも増えていくであろうという予測ですが、最近の中国の株価低下など、先行きは楽観できません。
また、欧米人と違って、彼らは日本の歴史・文化にはさほど興味がなく、電化製品などの買い物を好むという傾向があります。
彼らの訪問先は、東京―名古屋―京都―大阪という東海道新幹線の沿線上の主要都市です。京都は世界的な観光地、京都以外の三都市は空港を備えています。
彼らが宿泊先を探すときは、まず京都、京都に泊まれなければ大阪、それもいっぱいなら神戸や奈良市、という順番です。橿原が選ばれるのはかなり後になります。
橿原に泊まる場合、彼らの行動パターンはどうでしょう。関西空港からバスで八木駅前にたどり着き、橿原ロイヤルホテルなどに宿泊して、朝一番で京都に出発します。夕食はホテル近辺のコンビニエンスストアで簡単にすませるので、ホテル近辺の食事処にはお金が落ちません。
つまり、大都市に魅力を感じている彼らは、橿原を単に安く泊まれる中継地点とみているのです。
税金でビジネスホテルを建てて、その料金が安ければ、客の多いシーズンは彼らも泊まるでしょうが、シーズンオフの時、彼らは大都市や奈良市に向かいます。大した稼働率は見込めないということになるでしょう。また、近辺の観光消費額がさほど伸びるわけでもありません。
地元に魅力のあるものがあり、付近に泊まる、ということがなければ税金をいくら投入しても、橿原市民への見返りがありません。中国などからの客が単に泊まるだけでなく、橿原にとどまってお金を使ってもらえる具体的な計画が見えない現状では、本計画はいったん白紙に戻すべきです。
【観光消費額を伸ばすためには、今井町を活用する】
訪日外国人の中でも、中国人・韓国人の旅行客にターゲットを絞ると、免税店が必須ですが、橿原の売りである歴史・文化を活かした観光政策との兼ね合いを考えるのであれば、飛鳥の民泊にならって、重要伝統的建造物群保存地区・今井町の中で、空き家を改修した宿泊施設を民泊に近い形で提供するのが良いのではないかと思います。
橿原・今井町自身が「観光目的地であり、宿泊地であり、観光消費地」になることができ、景観への今までの投資がすべて生きてきます。
【総合計画・市民と対話する政治を作る】
市長も、議員も、自分たちのお金を使って政策を行っているわけではありません。使われているのは、あくまで市民の税金です。失敗をしても、政治家は責任をとれません。だから、大きな事業を行う時には、市民の同意が必要です。観光にかぎらず、この町の総合計画の作成を、ほんの数人の地元を知らない有識者に頼るのではなく、幅広く市民の声を聞き、市民と対話することによって、まちづくりの新しいアイデアが生まれ、活路がひらけてくるものと確信し、「市民と対話する政治を作る」ことを最大の理念として、ご提案申し上げます。
以上
【連絡先】橿原市のことはみんなで決めよう会 中村 正之
〒634-0824 橿原市一町1140-1